プロ野球のコーチは、チームや選手を影からサポートする職業です。コーチには種類があり、その仕事内容は多岐にわたります。 本記事では、プロ野球におけるコーチの仕事内容と種類についてまとめました。コーチになるための資格やよくある質問とあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

プロ野球におけるコーチの仕事内容とは

プロ野球におけるコーチの基本的な仕事内容は、以下のとおりです。どのような役割があるのか、わかりやすく解説します。

練習のサポート

プロ野球のコーチは、練習のときに選手一人ひとりをサポートします。アドバイスや指導によって、より優れた選手を育成するのが役割です。

バッティングやピッチングなど、コーチの種類ごとに指導の内容は異なり、選手たちはより専門的な指導を受けられます。コーチの指導による日々の練習は、チームの勝敗を大きく左右する要素の一つです。

監督の補助

試合中はコーチもベンチに入れます。試合中の監督を補助することも、コーチの大事な役割です。監督の戦略を選手たちに伝え、声がけなどで選手のモチベーションを高めます。

また、試合に出ていないピッチャー(投手)が試合練習をするブルペンの管理は、コーチがするのが一般的です。投球練習の球数や内容を管理して、万全の状態で出場できるように準備を支援します。

ベースコーチ

ベースコーチとは、バッター(打者)やランナー(走者)に指示を出す攻撃チームのメンバーです。試合中の役割なので、肩書や職業ではありません。一塁ベースコーチと三塁ベースコーチの2人がおり、サインやジェスチャーで指示を伝えます。

一塁ベースコーチ走者に二塁に進むタイミングを指示する打者走者に一塁で止まるか進塁するか指示をだす
三塁ベースコーチベンチ内にいる監督の指示を打者に伝える本塁に進塁させるべきか判断する

ベースコーチがいるコーチャーズボックスは、一塁および三塁近くのファウルゾーン内に配置されています。「コーチャーズボックスにとどまるべき」との規定がありますが、「走れ」や「戻れ」など指示出しのときにコーチャーズボックスから出ることは黙認されています。

プロ野球におけるコーチの種類:基本編

プロ野球におけるコーチには、以下のような種類があります。基本的なコーチの種類とそれぞれの役割をまとめました。

ヘッドコーチ

監督の補佐をするコーチです。日本プロ野球(NPB)では監督に次ぐ役職で、監督代行を務めることも。監督が退場や急病などで不在になったとき、チームの指揮をとって作戦や交代など指示出しをします。

メジャーリーグ(MLB)には、ヘッドコーチがいません。近い役職としてベンチコーチやダッグアウトコーチがいますが、こちらは作戦の提案が主な役割です。

総合コーチ

野手総合コーチや打撃総合コーチなど、各ポジションを総括する役割のコーチです。球団によっては、ヘッドコーチと同様に作戦面で監督をサポートすることも。次期監督として経験を積むために、総合コーチに就くケースもあるようです。

作戦コーチ

作戦面のサポートに特化していて、ベンチコーチや戦略コーチと呼ばれることもあります。スコアラー(記録員)の資料を参照して、勝つための戦略を提案することが役割です。

ただし、作戦コーチがいなかったり、ヘッドコーチと同じ役割だったりすることもあります。このように作戦コーチの定義や役割は、球団によってさまざまです。

打撃コーチ

バッター全員の指導や育成を担当するコーチです。一人ひとりのスイングをチェックして、打撃技術の向上をサポートするのが役割。近年では映像解析が導入されたことで、スイングの問題点や改善点をすぐ確認できるようになりました。

投手コーチ

ピッチャーの指導や育成をおこないます。ピッチャー一人ひとりの実力と特性を評価し、投球をアドバイスするのが役割。シーズン中は、登板前の調整やコンディションチェックまでおこないます。

日本プロ野球の場合、1人がベンチ、もう一人がブルペンというように2人で担当するのが一般的です。稀ではありますが、リリーフ投手を専門とするブルペンコーチを登録している球団もあります。

バッテリーコーチ

キャッチャー(捕手)の育成や指導を担当するコーチです。キャッチングとスローイングの基本や配球・リードの仕方など、指導内容は多岐にわたります。バッテリーコーチを設置していない球団では、投手コーチが兼任するのが一般的です。

守備走塁コーチ

キャッチャーを除く、野手の守備と走塁を指導します。守備陣のウォーミングアップとしておこなう試合前のノックも、守備走塁コーチの役割です。試合中はベースコーチを担当して、コーチャーズボックスから指示をおこないます。

プロ野球におけるコーチの種類:その他編

プロ野球では球団によって、設置しているコーチは異なります。

コーチの種類役割
育成コーチ選手の育成を支援するコーチで二軍・三軍に設置することが多い
テクニカルコーチ投手全体もしくは野手全体を総合的に指導するコーチ
特命コーチ外国人選手の育成や指導に特化したコーチ
トレーニングコーチトレーニング専門のコーチ
アナリスト兼任コーチ数字・データを分析して戦力向上をサポートするコーチ

球団によっては、選手の育成や戦力向上のために独自のコーチを設置しているケースも。どのようなコーチがいるのか確認したい場合は、各球団の公式サイトをチェックしてみましょう。

プロ野球のコーチになるための資格とは

ではプロ野球のコーチになるためには、どのような資格が必要なのでしょうか。方法とコーチになれる人物について解説します。

特別な資格は必要ない

プロ野球のコーチになるために、とくに資格は必要ありません。サッカーと違ってライセンス制度もなく、規定上では誰でもなれるといえます。

ただし、プロ野球のコーチは狭き門なので、なるためには経験や実績が必要です。実際はプロ野球選手を指導できる知識やスキルをもったプロフェッショナルがコーチになります。

元プロ野球選手が多い

プロ野球のコーチはほとんどが元プロ野球選手です。自らの経験をもとに指導します。元ピッチャーなら投手コーチ、キャッチャーならバッテリーコーチなど、現役時代のポジションを活かすのが一般的です。

気になるコーチがいる場合は、現役時代にどのような選手だったか調べてみるとよいかもしれません。なお、トレーニングコーチの場合、元プロ野球選手ではなく野球経験がない人がつとめることもあります。

プロ野球のコーチに関するよくある質問

プロ野球のコーチに関する疑問をまとめました。コーチについて気になることがあるときに、ぜひチェックしてください。

Q1. 各球団でのコーチの人数は?

球団によって異なりますが、一軍と二軍をあわせて20人ほど所属しています。試合中にベンチ入りできる人数は8人までです。

人数がオーバーする場合は、コーチとしてではなく、マネージャーやスコアラーなどチームスタッフとしてベンチ入りします。この場合だとユニフォームは着用できません。

Q2.プロ野球におけるコーチと監督の違いは?

監督はチーム全体の戦略や采配をおこない、コーチは監督の指示に従って特定分野を指導します。監督のほうが責任は重く、コーチはより専門的なのが主な違いです。コーチが経験と実績を積み、監督に昇格することもあります。

Q3. コーチの年俸はいくらくらい?

球団によって異なりますが、1,000〜1,500万円が相場です。資金力がある球団の場合は、2,000〜3,000万円になることもあります。

Q4. コーチがユニフォームを着用する理由は?

プロ野球では、監督やコーチはユニフォームを着用するのが一般的です。諸説ありますが、コーチもチームの一員でフィールドに入ることがあるからとされています。

選手と同じように背番号がつき、日本プロ野球だと基本的に70・80・90番台です。ユニフォームの着用を定める規定はありませんが、ベースコーチに限りユニフォームの着用が義務付けられています。

コーチの役割に注目して試合を観戦しよう

プロ野球のコーチは、練習中から試合中に監督や選手をサポートする役割があります。打撃コーチや投手コーチなど種類があり、それぞれ専門分野に特化しているのが特徴です。

元プロ野球選手がほとんどなので、球団の公式サイトでチェックしてみましょう。勝利に貢献大きく貢献するコーチの役割に注目して、野球観戦をぜひ楽しんでください。

ENSPORTS fanでは、野球観戦をたくさんの方々に楽しんでいただくために、観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらぜひチェックしてみてください。