バスケットボールの審判とは?

バスケットボールの審判は、具体的にどのような役割を担っているのでしょうか。
はじめに、審判の役割やチーム構成を解説します。
審判の役割
審判の最も重要な役割は、試合の公正さを保つことです。
ファウルやバイオレーションを判定し、ルールに基づいてゲームを進行させます。
しかし、審判の役割はそれだけではありません。審判は、試合の空気感もコントロールしています。
具体的には、試合が荒れそうなときに落ち着かせたり、選手が熱くなりすぎたときにクールダウンさせたりするなど、試合の雰囲気全体をコントロールする存在でもあるのです。
審判の冷静な判断と存在感が、試合全体の秩序を支えています。
試合を支える審判のチーム構成
バスケットボールの公式戦では、2人制または3人制の審判体制が採用されています。
2人制は主に中高生バスケや地方大会、3人制は大学・Bリーグなど高度なレベルで採用されています。
3人制では、各審判がそれぞれトレイル(後方から全体を確認)、センター(中盤の角度を確保)、リード(ゴール下を関し)のポジションをローテーションしながら、試合全体をカバーします。
審判の主な仕事と判断基準

バスケットボールの審判は、ファウルやバイオレーションを即座に判断するのが仕事です。
ここでは、審判の主な仕事と判断基準を解説します。
ファウルの判定
ファウルとは、相手選手への不正な接触行為のこと。
ボディコンタクトの多いバスケットボールでは「正当なディフェンス」と「ファウル」の線引きが難しい場面も多いといわれています。審判はそんな状況のなかで選手の体の向き、手の使い方、ポジションの状況などを一瞬で見極めます。
審判の見極めの精度が試合の流れを左右するため、経験と集中力が必要不可欠なのです。
バイオレーションの判定
バイオレーションとは、身体的接触などを除いた反則です。
具体的には、ドリブルのやり直し(ダブルドリブル)やボールを持ったまま歩くトラベリングなど。
審判はプレイヤーの足元や手元までしっかり注視し、ちょっとした反則も見逃しません。
審判の正確な判定こそ、フェアでスムーズな試合進行の鍵なのです。
試合進行のコントロール
審判は、単に笛を吹くだけではなく、試合のテンポや空気感を整える存在。
試合が荒れそうなときは一呼吸置かせでクールダウンを促し、停滞しているときはテンポを戻すように笛のリズムを作ります。
選手や監督とのコミュニケーションも欠かせず、ルールと人間関係の両面から試合を支えているのです。
審判が使う主なジェスチャー

バスケットボールの試合では、審判が笛とともに行うジェスチャーが非常に重要です。
ここでは、審判が使う主なジェスチャーを見ていきましょう。
ファウルのジェスチャー
ファウルを宣告するとき、審判はまず笛を吹き、片腕を真上に上げてプレーを止めます。
その後、どの種類のファウルなのかを手の動きで明確に示します。
- ホールディング:手首を握って下げる
- チャージング:握った拳で手のひらを叩く
これにより、どのチームの誰がどんな反則をしたのかをスコアラーに伝えます。
バイオレーションのジェスチャー
身体的接触などを除いた反則、バイオレーションの主なジェスチャーは次のとおりです。
- ダブルドリブル:両手で交互にドリブルする動作
- トラベリング:両手を回す
- キャリイングザボール:手のひらを上下に繰り返す
- キッキング:足を指さす
- オーバータイム3秒:3本指を見せて腕を伸ばす
- オーバータイム5秒:5本指を見せる
- オーバータイム8秒:8本指を見せる
- オーバータイム24秒:指で肩に触れる
審判は観客がプレーの流れを理解できるよう、大きくはっきりとした動作を心がけます。
得点のジェスチャー
- 1点:指1本を下に振る
- 2点:指2本を下に振る
- 3点:両手で3本指を立てて掲げる
3ポイントシュートを狙う際は、事前に片手で3本指を立てるため、観客も得点意図を把握できます。
その他のジェスチャー
- タイムアウト:両手で“T”字を作る
- 選手交代:体の前で腕を交差させる
- 24秒リセット:人差し指を上で回転させる
バスケットボールでは、試合の再開や時計の管理に関するジェスチャーも多く存在します。
たとえば、タイムアウトを示す「T字ポーズ」、交代を知らせる「体の前方で腕をクロスさせる動作」など。
24秒計をリセットする際は、人差し指を立てて上方で腕を回転させます。
バスケットボール審判に求められること

試合を支える審判の仕事は、見ているよりもハードです。
コート上で選手と同じように動き回りながら、瞬時に状況を判断し、正しい判定を下さなければなりません。
ここでは、審判に求められるスキルを見ていきましょう。
一瞬の判断力
バスケットボールの審判には、即断即決の判断力が求められます。
判断の遅すぎれば危険なプレーを見逃し、早ければプレーの可能性を奪うことにもつながります。
スピードと正確さ、その両立が理想の判断を生みます。
冷静さと集中力
選手や観客の感情が高ぶる中でも、審判は冷静さを失ってはいけません。
抗議やブーイングを受けても感情的にならず、常に中立であることが求められます。
1プレーごとにリセットし、次の判断に集中できるメンタルが必要不可欠です。
メンタルの維持
審判にとって、メンタルの維持も重要な課題です。
審判は約40分間走り続け、すべてのプレーを見続ける必要があります。
試合中にどのような判断をしても、片方のチームから批判を受ける可能性があります。
そのため、強い精神力と自信、そして自分の判断を信じる力が必要不可欠です。
審判になるためにライセンスは必要?

地区大会、全国大会、B.LEAGUEなどで審判を務めるには、ライセンスを取得してJBA(公益財団法人日本バスケットボール協会)公認審判員として登録する必要があります。
ライセンスには6つのレベルがあり、初心者向けの「E級」から始まり、上位の「A級」「S級」まで段階的にステップアップできます。
各レベルによって担当できる試合が異なり、経験を積むことで全国大会やプロの舞台にも立つことが可能です。
ライセンスは学生や社会人でも取得可能で、プレーヤー経験がなくても挑戦できます。
観戦時に注目したい審判のポイント

バスケットボールを観戦する際は、審判の動きにも注目してみましょう。
観戦時に注目したい審判のポイントを3つ解説します。
笛を吹くタイミング
審判にとって笛を吹くタイミングは、最も神経を使う瞬間のひとつです。
早すぎるとプレーの流れを止めてしまい、遅すぎると危険な接触を見逃すことになるためです。
笛のタイミングを観察することで、審判がどのような基準で試合を見ているのかが分かります。
位置取りと動き方
審判は、常に最適な位置からプレーを見ようと動いています。
たとえば、ボールサイドに合わせてポジションを変えたり、死角を避けて角度を取ったりします。
試合のスピードに合わせて動く、審判の位置取りにもぜひ注目してみましょう。
チームや選手とのコミュニケーション
優秀な審判ほど、選手や監督との信頼関係を築いています。
たとえば、軽い会話やジェスチャーで選手を落ち着かせたり、注意を与えるだけで流れを戻したりします。
人間的なやり取りが試合の安定感につながるといっても過言ではありません。
審判を知ると試合の見え方が変わる
審判は、試合のリズムを作り、選手の安全を守り、スポーツマンシップを保つ存在です。
審判の動きやジェスチャーを理解することで、「なぜ今笛を吹いたのか」「どんな意図があったのか」が分かり、試合の奥深さが見えてきます。
次にバスケットボールを観戦するときは、ぜひ審判の目線でも試合を楽しんでみてください。
あなたの観戦体験が、きっとワンランク上のものになるはずです。
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