ユーロリーグは、NBAに次ぐプロバスケットボールリーグ。ヨーロッパ全土の強豪クラブが集まり、各国の代表選手やNBA経験者などがしのぎを削っています。本記事では、ユーロリーグの成り立ちから仕組み、NBAとの違いなどをくわしく解説します。

バスケットボールのユーロリーグとは?

ユーロリーグ(EuroLeague)は、男子プロバスケットボールのヨーロッパ最高峰リーグ。

ユーロリーグ・バスケットボールが主催しており、正式名称は「ターキッシュエアラインズ・ユーロリーグ(Turkish Airlines EuroLeague)」です。

FIBA(国際バスケットボール連盟)ルールを基本とした形式で運営され、欧州各国リーグで優秀な成績を収めたチームや、ULEBユーロカップで優勝したチームが参加します。

ユーロリーグは単なるヨーロッパ内の大会ではなく、NBAに次ぐ競技レベルと評価されます。国際色も豊かで、ヨーロッパ外のスター選手が活躍する場面も少なくありません。

ユーロリーグの歴史

世界中のバスケファンを魅了するユーロリーグは、半世紀以上前にスタートした歴史あるリーグです。

ここでは、ユーロリーグの創設から現在までの歴史を解説します。

1958年に前身リーグがスタート

ユーロリーグの起源は、1958年にFIBAが主催したFIBAヨーロッパチャンピオンズカップに遡ります。

この大会は当時のヨーロッパ各国リーグのチャンピオンチームによるトーナメント形式で、クラブレベルの国際大会としては最古のものです。

度重なる改称

その後、FIBAヨーロッパチャンピオンズカップの名称は時代ごとに変遷していきました。

1991年に「FIBAヨーロッパチャンピオンシップ」に改称。

そして1996年には「FIBAユーロリーグ」に改称されました。

2つの大会を「ユーロリーグ」に統合

2000年、欧州バスケットボールリーグ連合(ULEB)がFIBAから独立します。

その結果、ULEB主催の「ULEBユーロリーグ」とFIBA主催の「FIBAスプロリーグ」の2つの大会が開催される事態となりました。

しかし、2001年には2つの大会は「ユーロリーグ」に統合され、欧州クラブバスケの頂点を決める大会となっています。

ユーロリーグの仕組み

ユーロリーグは日本での知名度が低く、参加資格や日程を把握している方は少ないかもしれません。

ここでは、ユーロリーグの仕組みを4つのポイントに分けて解説します。

ユーロリーグの参加資格

ユーロリーグは、サッカーでいう「チャンピオンズリーグ」のような位置づけです。18チームによるリーグ戦形式で開催されます。

参加資格は、原則として各国リーグ戦の前年度チャンピオンです。

ただし、次の基準によって参加資格が与えられるケースもあります。

  • ULEBユーロカップで優勝したチーム
  • 過去2~3年間に国内リーグで優秀な成績を収めたチーム
  • 前年度に高いパフォーマンスをしたチーム
  • ULEBとの契約

ユーロリーグのディビジョン構成

ユーロリーグには明確なディビジョンは存在せず、1部リーグのみで構成されています。

参加18チームは全て総当たり戦(レギュラーシーズン)を行います。

ユーロリーグの大会方式

参加18チームはまずレギュラーシーズンを戦い、上位6チームが準々決勝に進出。

また、10位までの4チームはプレーオフへと進出します。

準々決勝では、3勝先取したチームがファイナルフォーへ進出。

ファイナルフォーでは、4チームによるトーナメント制で勝者を決定します。

ユーロリーグの日程

ユーロリーグのレギュラーシーズンは、10月から翌年4月にかけて開催されます。

国内リーグとの併用日程となるため、選手には過密スケジュールが課されるケースも少なくありません。

プレーオフは4月から5月にかけて、そしてファイナルフォーは5月の週末に開催されます。

ユーロリーグとNBAの違いとは?

項目NBA(アメリカ)ユーロリーグ(ヨーロッパ)
地域・運営アメリカ中心の世界最高峰リーグ欧州各国のトップクラブが参加する国際リーグ
選手層世界の精鋭、スーパースター揃い欧州の技巧派や若手、元NBA選手など
プレースタイル個人技・スピード・フィジカル重視組織力・戦術・パスワークが中心
試合展開派手でハイスコア(110点超えが普通)ロースコア(70〜80点)で接戦が多い
試合時間12分×4Q=48分10分×4Q=40分
コートサイズやや広い(3Pラインも遠め)少し狭めでルールもFIBA準拠
観客の雰囲気エンタメ感満載。音楽や演出も派手サッカーのような熱狂応援・チャント文化あり

世界最高峰のバスケットボールリーグとして知られるNBA

ユーロリーグとNBAの違いをざっとまとめると上表のとおりなのですが、この章ではバスケ観戦初心者が楽しむために注目すべき3つのポイントに絞って解説します。

プレースタイルが違う

ユーロリーグはどちらかというと戦術的で、戦術やパスワークなどチームプレーに重点を置いています。選手たちのプレーは「職人技」と形容されることもあり、戦術の妙を楽しめる点が魅力です。

一方のNBAは、個人技が重視されるエンターテインメント性の高いリーグです。チームプレーよりも個人技やスピード、フィジカルなど個人の能力を重視したプレースタイルとなっています。

試合を視聴・観戦する際は、ぜひユーロリーグとNBAのプレースタイルを見比べてみてください。バスケ観戦がより楽しめるかもしれません。

ルールが違う

ユーロリーグは、原則としてFIBAルールで試合をおこないます。1クォーター10分間ではありますが、ルールの時間的な縛りが少ないぶん、守備と戦術の妙が際立つ試合展開が楽しめます。

一方のNBAには3秒ルール、ディフェンスの3秒ルール、クォーター時間が12分間など独自ルールが数多く存在します。そのため展開が早く、ハイスコアリングなゲームが多い点が特徴です。

なかなか得点が入らないからこそ1ゴールごとに盛り上がれるのも、ユーロリーグのポイントです。

観客の雰囲気が違う

NBAは演出もエンタメ性重視で、観客もさながら音楽ライブ会場のようなノリです。

一方のユーロリーグはサッカーの応援文化が色濃く残っており、応援スタイルもチャント(応援歌)やフラッグで行います。ファンはクラブチームへの忠誠心が高く、クラブと地域の結びつきが強いのも特徴です。

ユーロリーグの注目チームと選手

ユーロリーグには、ヨーロッパ各国の強豪チームが集います。

ここでは、ユーロリーグの強豪チームや注目選手を紹介します。

強豪チーム

ユーロリーグの最多優勝チームは、スペインの名門レアル・マドリード(優勝11回)です。スペインの国内リーグでも37回の優勝を果たしています。

優勝回数8回を誇るCSKAモスクワは、ロシアのモスクワを本拠地とする強豪チームです。フィジカルでタフなプレースタイルが持ち味で、熱狂的なファンに支えられています。

優勝回数7回を誇るパナシナイコスBCは、ギリシャ・アテネを本拠地とする歴史あるチームです。資金力もあり、NBA帰りのスター選手を獲得することもあります。

注目選手

ユーロリーグでは、これまで数々の名プレーヤーたちが活躍してきました。

その年のユーロリーグで最も活躍した選手に贈られるのが、ライジングスター賞です。

スペイン代表のニコラ・ミロティッチ選手は、レアル・マドリード・バロンセスト在籍時に2年連続優勝を果たし、ライジングスター賞を受賞しました。

現在NBAで活躍するルカ・ドンチッチ選手も、レアル・マドリード在籍時にライジングスター賞を受賞しています。

ユーロリーグの楽しみ方

「ユーロリーグを観戦したい」と感じた方もいるかもしれません。

ユーロリーグの主な楽しみ方は、現地観戦もしくはアプリ・配信での視聴のいずれかです。

現地で観戦する

1つ目の楽しみ方は、現地まで足を運んで観戦する方法です。

各クラブのアリーナではサッカー並みの熱気を味わえます。

ユーロリーグのチケットは公式サイトから購入可能です。

個人旅行はハードルが高いと感じる方は、観戦ツアーを探してみるとよいでしょう。

アプリ・配信で視聴する

日本国内からユーロリーグの試合を視聴する場合は、アプリや配信がおすすめです。

Euroleague tvでは、ユーロリーグの全試合を配信しています。

インターネットとクレジットカードさえあればすぐに契約でき、1日パスや月間パスも選択可能です。

ユーロリーグに関するよくある質問

最後に、ユーロリーグに関するよくある質問に回答します。

Q1.バスケットボール・チャンピオンズリーグとの違いは? 

A.バスケットボール・チャンピオンズリーグ(BCL)は、FIBAヨーロッパが主催するもうひとつの欧州大会です。

かつてユーロリーグはFIBAヨーロッパが主催していました。

しかし、ユーロリーグは2000年よりULEB主催となり、ULEBは2016年に代わり大会となるバスケットボール・チャンピオンズリーグを創立しました。

バスケットボール・チャンピオンズリーグは、ユーロリーグよりも競技レベルや注目度がやや低いとされています。

Q2.NBAとユーロリーグはどちらが上?

A.競技レベルでいうとNBAが上とされています。

ただし、ユーロリーグも非常に高いレベルで、特にチーム戦術やディフェンス面ではNBAと一味違う魅力があります。

両方を見比べることで、よりバスケ観戦が楽しめるでしょう。

Q3.日本人選手がユーロリーグでプレーする可能性は?

A.可能性は十分にあります。

過去には琉球ゴールデンキングスなどで活躍した石崎巧氏が、ドイツリーグで経験を積んでいました。

今後も日本人選手がヨーロッパでプレーする可能性はありますし、ユーロリーグに参加する機会があるかもしれません。

ユーロリーグは男子プロバスケットのヨーロッパ最高峰リーグ

ユーロリーグは、ヨーロッパにおける男子プロバスケットボールの最高峰リーグです。

チーム戦術や地域に根づいた応援文化が融合した唯一無二の舞台で、NBAとは異なる魅力を持ちます。

日本では知名度の低いリーグですが、バスケファンなら一度は触れておきたいリーグといえるでしょう。

ENSPORTS fanではバスケットボールの基本ルール観戦マナーについての記事も公開中。そちらもあわせてチェックしてみてください。