バスケットボールのドリブルとは?

バスケットボールにおいて、ドリブルとは片手でボールを連続して床に弾ませながら移動するプレーを指します。
選手がボールを持って規定歩数以上動くことはルールで禁止されており、コート上でボールを運ぶためにはこのドリブル動作が必要です。
ドリブルは単なる移動の手段ではなく、試合の流れを操るための重要な技術でもあります。
プロの試合では、ドリブルのスピードやリズムひとつで試合の流れが大きく変わることも少なくありません。
バスケットボールにおけるドリブル3つの目的

ドリブルの基本を理解したところで、次はその「目的」に注目してみましょう。
バスケットボールにおけるドリブルの主な目的は次の3つです。
1.ボールをゴール前に運ぶ
ドリブルの最も基本的な目的は、自らボールを運んでゴールに近づくことです。
バスケットボールでは、ボールを手に持った状態で規定歩数以上動くプレーが禁止されています。つまり、効率的にボールをゴール前に運ぶためにはドリブルが欠かせません。
特に速攻(ファストブレイク)では、ドリブルスピードが勝敗を左右します。コートを縦にすばやく駆け抜ける選手のドリブルは、観客を一瞬で熱狂させるプレーのひとつです。
2.ディフェンスをかわす
ドリブルの2つ目の目的は、相手ディフェンスをかわすためです。
相手を抜いたあとは、ゴールへと向かう、あるいは見方へパスを出してチャンスを生み出すことができます。
ディフェンスをかわすためには、ただ速くドリブルするだけでは不十分。
優秀なドリブラーほど相手の体の動きや重心を読み、一瞬のズレを見逃さず抜き去るテクニックを持っています。
ただし、時間を掛け過ぎると相手守備陣形が整ってしまうため、スピードと判断力のバランスが求められます。
ディフェンスをかわすためのドリブルには高い技術が必要です。
3.チームの攻撃リズムを作る
ドリブルは、攻撃のテンポを整えるためにも欠かせません。
一気に攻めたいときは速いテンポで、時間を使いたいときはゆっくりとドリブルをつきます。
また、リズム感を高めることにより相手をかく乱し、突破のきっかけを作ることも可能。
ガード(司令塔)ポジションの選手は、まさにこの「リズムを作るドリブル」でチームをコントロールしているのです。
バスケットボールのドリブルの種類と特徴

ドリブルは一見するとどれも同じに見えるかもしれません。
しかし実際には、シーンに応じて使い分けられており、さまざまな種類のドリブルが存在します。
ここでは、代表的なドリブル技とその特徴を解説します。
フロントチェンジ(クロスオーバー)
フロントチェンジは、ドリブルにおいて基本中の基本ともいえる技。
右手から左手、左手から右手へと、体の前ですばやくボールを切り替えます。
相手の重心が動いた瞬間に逆を突くことで、ディフェンスを抜き去ることが可能です。
インサイドアウト
インサイドアウトは、フロントチェンジをするように見せかけて、実際は外側に切り返すフェイント技です。
内側にドリブルで切り込むと見せかけ外側に逃げることで、相手をずらして突破口を開きます。
見た目以上にタイミングが難しく、リズムと駆け引きが鍵となる高度なテクニックです。
ロールターン(スピンムーブ)
ロールターンは、体を軸に回転しながら、相手を背中でブロックしてかわす技です。
片手でボールを引き込みながら、手首のスナップをうまく使ってディフェンスのいない方向へ運びます。
コンタクトを受けてもバランスを崩しにくく、フィジカルの強い選手ほど得意とする技です。
レッグスルー
レッグスルーは、両脚の間でボールを通して手を切り替える技です。
密着ディフェンスの中でも安定したボールコントロールができるため、相手との距離が近い状況で有効。
体と脚でボールを守りながら方向転換できる点が特徴です。
ビハインド・ザ・バック
ビハインド・ザ・バックは、ボールを背中側に回してドリブルを切り替える技です。
体の後ろを通すことでボールをディフェンスから隠し、抜ける角度を作ります。
NBAトッププレイヤーの試合では、ビハインド・ザ・バッから華麗にドライブへ入る場面も多く見られます。
バスケットボールのドリブルに関する主な反則

ドリブルはバスケットボールは、少しの判断ミスや手の動きで簡単に反則をとられることがあります。
ここでは、バスケットボールのドリブルに関する反則を3つ紹介します。
ダブルドリブル
ダブルドリブルとは、一度ドリブルを止めて両手でボールを持ったあとに、再びドリブルを始める反則です。
バスケットボールには「一度ドリブルを終えたら次のパスかシュートしか選択できない」という原則があります。
初心者に最も多いミスで、練習や試合でもよく見られる反則です。ひとつです。
トラベリング
トラベリングは、ドリブルしていない状態で3歩以上進む反則です。
たとえば、ドリブルを止めたあとに軸足をずらしたり、ジャンプストップ後に体勢を立て直すために足を動かしたりしたときに反則をとられます。
観戦時には気づきにくい反則ですが、審判は選手の足元を常に注視しています。
キャリー(パーム)
キャリーは、ボールを手のひらで持ち上げて一瞬止めてしまう反則。
手の下にボールが入り、コントロールが止まったと見なされると笛が鳴ります。
上手なドリブラーほど、この境界をギリギリで保っているため、観戦時に「今のキャリーでは?」とざわつく場面もみられます。
観戦で注目したいドリブルの見どころ

バスケットボール観戦時にはドリブルに注目すると、選手の技術や判断力の高さがより鮮明に見えてきます。
ここでは、プレー中のドリブルの見どころや注目ポイントを解説します。
重心の低さと安定感
1つ目の注目ポイントは、選手の重心の低さと安定感です。ドリブルが上手い選手は共通して腰が低く、姿勢がブレません。
重心を低く保つことで、相手にボールを奪われにくくなり、切り返しのスピードも上がります。
試合中に「ブレない姿勢」でドリブルしている選手を見つけたら、その選手はかなりの実力者です。
選手の視線の位置
2つ目の注目ポイントは、選手の視線の位置。
優秀なドリブラーほど、ボールを見ずにドリブルができる特徴があります。
常に周囲を見ている選手は、次のプレーを読んで動いていています。
「ドリブルしながらコート全体を見渡しているか」は、ゲームメイク力を判断するポイントのひとつです。
フェイントやチェンジの滑らかさ
3つ目の注目ポイントは、フェイントやチェンジの滑らかさです。
ドリブルチェンジの動きが滑らかで、無駄がない選手ほどボールコントロール力が高いといえます。
ドリブルを得意とするプロ選手たちは、フェイントやチェンジの瞬間のリズムの美しさで観客を魅了します。
試合展開中のドリブルの意味
ドリブルは単なる移動手段ではなく、試合の流れを作る“リズム操作”の役割もあります。
たとえば試合終盤、リードしているチームはゆっくりドリブルして時間をコントロール。
その一方、速攻ではでテンポを上げ、勢いを保つためにドリブルの回数を最小限にします。
また、攻撃を組み立てるポイントガードのドリブルには「味方の動きを待つ」「相手の陣形を探る」といった戦略的意味も。
観戦中に「なぜこの場面でドリブルしているのか」を意識して見ると、プレーの意図が見えてきて、試合の理解がぐっと深まるでしょう。
ドリブルを理解すると観戦がより楽しくなる
ドリブルはバスケットボールの中でもとくに多彩で、選手の個性が表れる技術です。
バスケットボールを観戦する際は、「なぜそのドリブルをしているのか」「どのタイミングで仕掛けるのか」などを感じ取ってみてください。
あなたの目の前で繰り広げられるドリブルのひとつひとつが、試合の展開を左右する伏線。
次に試合を観るときは、ぜひその“ドリブルの意味”にも注目してみてください。プレーがより立体的に、そしてドラマチックに見えてくるはずです。
また、ENSPORTS fanでは、バスケットボール観戦をたくさんの方々に楽しんでいただけるように、バスケの観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらぜひチェックしてください。