日本女子サッカーは長い歴史を持ち、現在ではプロリーグである日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)を筆頭に多くのクラブが存在しています。一方で「仕組みが分からない」「プロとアマチュアの境目は?」などの疑問を持つ方もいるはずです。本記事では、日本女子サッカーのリーグ構成や歴史について解説し、各リーグの特徴や所属クラブについても紹介します。

日本女子サッカーの歴史

日本女子サッカーの歴史は古く、大正時代には日本各地で女性がサッカーを楽しんでいたとの記録があります。

しかし、昭和に入り戦争に向かう頃になると、サッカーを楽しむ雰囲気は消失。

戦後の混乱期を経て、1960年代から1970年代にかけて日本女子サッカーは本格的に発展します。

1966年には兵庫県にて日本初の女子サッカーチームが2チーム発足しました。

どちらのチームも小中学生で構成されており、翌年には初対戦を行います。これが日本女子サッカー最古の試合となりました。

時は過ぎ、1979年に日本サッカー協会が女子チームの登録受付を開始。翌年の1980年3月には、第1回全日本女子選手権(現在の皇后杯)が開催されました。

1989年には日本女子サッカーリーグが創設され、日本女子サッカーの大きな転機を迎えます。

その後、日本代表が2011年のFIFA女子ワールドカップで優勝したことを契機に女子サッカーへの注目が高まり、2021年には日本初の女子プロサッカーリーグ発足につながるのです。

日本女子サッカーのリーグ構成

日本女子サッカーリーグの仕組み 2025年現在

日本女子サッカーのリーグの仕組みは、男子サッカーリーグと同様、上図のようなピラミッド形式となっています。

日本女子サッカーの頂点に君臨するのは、プロリーグであるWEリーグ。

WEリーグの下のなでしこリーグは、日本女子アマチュアサッカーのトップリーグとなっています。

さらにその下には地域リーグ(9地域)、都道府県リーグ(47都道府県)がある形です。

日本のサッカー競技はこれと同様に、女子サッカーやフットサルにおいてもピラミッド型のリーグ構造が構築されています。

日本女子サッカーリーグの構造

先述のとおり、日本女子サッカーは複数のリーグによって構成されており、トップリーグから地域リーグまで多層的な仕組みとなっています。

2025年現在、日本の女子サッカーリーグは次のような構成です。

  • 日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ):日本初の女子プロサッカーリーグ
  • 日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ):アマチュア最高峰のリーグ
  • 地域リーグ:各地域で開催されるリーグ
  • 都道府県リーグ:地域リーグの下に位置するリーグ

この章では、各リーグの特徴や所属クラブについて解説します。

日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)

WEリーグは、日本初の女子プロサッカーリーグ。公益財団法人日本サッカー協会(JFA)と、公益社団法人日本女子プロサッカーリーグが主催しています。

日本女子サッカー界初のプロリーグとして2021年に発足。日本女子サッカーの発展と選手の待遇向上を目的に設立されました。

WEリーグは9月開幕・5月閉幕で、ホーム&アウェイ方式による全チーム総当り戦で行われています。

なお、リーグ名称の「WE」は「Women Empowerment」の略です。

 WEリーグの所属クラブ

WEリーグには日本各地のクラブチームが参加しており、プロ契約のもとで競技が行われています。

2025年現在、所属しているのは以下の12クラブです。

WEリーグ所属チーム一覧(2025年現在)
  • マイナビ仙台レディース
  • 三菱重工浦和レッズレディース
  • 大宮アルディージャVENTUS
  • ちふれASエルフェン埼玉
  • ジェフ千葉レディース
  • 日テレ・東京ベレーザ
  • ノジマステラ神奈川相模原
  • AC長野パルセイロ・レディース
  • アルビレックス新潟レディース
  • セレッソ大阪ヤンマーレディース
  • INAC神戸レオネッサ
  • サンフレッチェ広島レジーナ

リーグが安定するまでの数年間は降格を行わず、新規参入クラブを受け入れていません。

各クラブは選手の育成や地域との連携を大切にしながら、リーグの発展に貢献しています。

日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)

なでしこリーグは、日本女子サッカーのアマチュア最高峰リーグ。公益社団法人日本サッカー協会 (JFA) と、一般社団法人日本女子サッカーリーグが主催しています。

WEリーグ創設前まで、国内女子サッカーの最高峰リーグとして運営されていました。

現在は、アマチュア最高峰のリーグとして選手の育成や競技力向上に貢献しています。

2020年までは3部制を導入していましたが、現在はなでしこリーグ1部となでしこリーグ2という構成になっています。

なでしこリーグ1部

なでしこリーグ1部は、12チームによる2回戦総当たりリーグ戦(全22節)です。

国内の強豪クラブが集まっており、WEリーグに次ぐレベルの高い試合が繰り広げられています。

2025年現在所属しているのは、以下の12クラブです。

なでしこリーグ1部 所属クラブ(2025年現在)
  • オルカ鴨川FC
  • スフィーダ世田谷FC
  • 日体大SMG横浜
  • ニッパツ横浜FCシーガルズ
  • 静岡SSUボニータ
  • 朝日インテック・ラブリッジ名古屋
  • 伊賀FCくノ一三重
  • スペランツァ大阪
  • ASハリマアルビオン
  • 岡山湯郷Belle
  • 愛媛FCレディース
  • ヴィアマテラス宮崎

リーグ戦終了後、なでしこリーグ1部の12位クラブと、なでしこリーグ2部の1位クラブは自動入れ替えとなります。

また、なでしこリーグ1部の11位クラブと、なでしこリーグ2部の2位クラブは入替戦を実施します。

なでしこリーグ2部

なでしこリーグ2部も、12チームによる2回戦総当たりリーグ戦(全22節)。1部昇格を目指すクラブが競い合っています。

2025年現在、所属クラブは以下のとおりです。

なでしこリーグ2部 所属クラブ(2025年現在)
  • JFAアカデミー福島
  • バニーズ群馬FCホワイトスター
  • VONDS市原FCレディース
  • 南葛SC WINGS
  • 大和シルフィード
  • SEISA OSAレイア湘南FC
  • FCふじざくら山梨
  • ヴィアティン三重レディース
  • ディオッサ出雲FC
  • 吉備国際大学Charme岡山高梁
  • ディアヴォロッソ広島
  • FC今治レディース

地域リーグとの入れ替え戦も行われており、仕組みが少々複雑なのも特徴。

なでしこリーグ2部12位チームと2部入替戦予選大会1位チーム、なでしこリーグ2部11位チームと2部入替戦予選大会2位チームの入替戦が行われ、その勝者が2部に昇格もしくは残留する仕組みとなっています。

地域リーグ

地域リーグは、なでしこリーグと都道府県リーグの間に位置するリーグです。

全国を9つのブロック(北海道、東北、関東、東海、北信越、関西、中国、四国、九州)に分け、各々の地域でリーグ戦を開催しています。

各地域リーグの上位チームは入替戦を経て、なでしこリーグ2部へ昇格するシステムです。

ただし、書類審査や理事会による承認を経て、加盟相当とされたクラブのみが日本女子サッカーリーグ(なでしこリーグ)へと加盟可能となっています。

日本女子サッカーリーグの魅力

日本女子サッカーリーグ魅力と楽しむためのポイントまとめました。

フェアプレーとスポーツマンシップ

女子サッカーには、フェアプレーの精神が色濃く表れています。

男子サッカーに比べて、強引なタックルや激しい接触プレーが少なく、選手同士の礼儀正しい振る舞いが多くの人々を惹きつけているのです。

このようなプレースタイルは、観戦する側にも安心感を与えます。そして、若手のプレーヤーにとってもスポーツマンシップを学ぶ良い機会ともいえるでしょう。

親しみやすい雰囲気

WEリーグの試合は、家族連れや子どもたちが安心して観戦できる環境が整っているのも魅力。

サポーターのブーイングが少なく、スタジアムの雰囲気も穏やかです。初めてのサッカー観戦でもリラックスして楽しむことができるでしょう。

技術の高さとプレーの美しさ

女子サッカーは、選手たちの技術力が非常に高いことで知られています。

細やかなテクニックや戦術的なプレーが展開されるため、観戦中はその美しさに思わず魅了されてしまう人も多いそうです。

特に、WEリーグでは日本人選手のテクニカルなプレーが際立っており、観戦初心者でも楽しめるでしょう。

選手たちの個性

女子サッカーは選手たちの個性が見えやすく、多様性に富んでいるのも魅力。

スター選手たちが活躍する姿は、特に若い世代にとってのロールモデルとなっているようです。

WEリーグが設立されたことによって女子選手がプロとして活躍できる環境が整い、これからの世代に夢を与える存在となっています。

地域とのつながり

WEリーグは地域密着型のリーグ。そのため、地域の活性化にも寄与しています。

地元のクラブチームを応援することで、地域社会とのつながりを感じることができ、観戦がより一層楽しいものになるでしょう。

国際的な舞台での活躍

日本女子代表「なでしこジャパン」は、国際大会での成功を収めており、その影響で女子サッカーへの関心が高まっています。

特にFIFA女子ワールドカップでの活躍は、女子サッカーの認知度を大きく向上させました。

これにより、WEリーグの選手たちも国際的な舞台での活躍を目指すようになっています。

日本女子サッカーリーグに関するよくある質問

最後にインターネット上で目にした、日本女子サッカーリーグに関する質問にお答えします。

Q1.プロとアマチュアの境目は?

WEリーグが日本女子サッカーのプロリーグとされています。

ですので、プロとアマチュアの境目はWEリーグとなでしこリーグということです。

Q2.クラシエカップとは?

クラシエカップは、WEリーグの主要タイトルのひとつ。WEリーグの優勝チームをのぞく11チームを3グループに分かれて行われ、各グループ1位の3チームとWEリーグ優勝チームで優勝を争います。

準決勝・決勝はノックアウト方式で一発勝負ですので、リーグ戦とはまた違った試合展開が魅力のひとつです。

Q3.WEリーグはいつ開催されるの?

WEリーグは9月中旬に開幕し、翌年の5月にシーズンが終了するのが慣例。全22節合計132試合が開催されます。

試合は基本的には土曜日・日曜日・祝日に組まれていることが多いです。

Q4.女子サッカーリーグのチケットはどこで買えるの?

日本女子サッカーリーグのチケットは、専用のチケット販売サイト、コンビニエンスストア、現地で購入できます。

専用のチケット販売サイトなら、パソコンやスマートフォンから手軽にチケットを購入できておすすめです。

日本女子サッカーを応援しよう

日本女子サッカーは、日本女子プロサッカーリーグ(WEリーグ)を筆頭に複数のリーグによって構成されています。

あなたが住む地域にもクラブチームがあるかもしれません。

試合を観戦して応援することで、日本女子サッカーのさらなる発展に貢献できます。

スタジアム観戦やメディアを通じて、日本女子サッカーを応援しましょう。