バスケットボールの試合を観ていると、突然笛が鳴りプレーが止まることがあります。 審判が手でドリブルをつくような動きをしたときは「ダブルドリブル」の反則です。 しかし、実際のところ「何がダブルドリブルなのか」「どこまでOKでどこから反則なのか」と疑問に思っている方も多いでしょう。 本記事では、ダブルドリブルの定義・反則になるプレー例・観戦時の注目ポイントまで、初心者にもわかりやすく解説します。

バスケットボールのダブルドリブルとは?

バスケットボールのダブルドリブルとは、具体的にどのような反則なのでしょうか。

はじめに、ドリブルの基本ルールやダブルドリブルの定義を確認してみましょう。

ドリブルの基本ルール

ドリブルとは、ボールを片手で連続して床に弾ませながら進む動作です。

バスケットボールでは、ボールを持った状態から3歩以上歩くことはできません。そのため、ドリブルは選手が移動しながら攻撃を展開するための基本スキルです。

ただし、ドリブルにはいくつかの制限があります。

ダブルドリブルの定義

ダブルドリブルとは「一度ドリブルを終えたあとに、再びドリブルをすること」です。

バスケットボールの競技規則では、次の2つをドラブルの終わりと定義しています。

  • 片手もしくは両手でボールを支え持ったとき
  • ドリブラーの両手が同時にボールに触れたとき

一度ボールを手で保持してしまうと「ドリブル終了」の扱いに。その状態からもう一度ドリブルを始めると、ダブルドリブルに該当するため審判は笛を鳴らします。

また、左右の手で同時にボールをつく行為もルール上は“二度つき”と見なされるため、同様にダブルドリブルの反則です。

なぜ反則なのか

バスケットボールは、攻撃と守備の公平性を保つために細かくルールが設けられています。

もしダブルドリブルを許すと、攻撃側はボールをキープし続け、守備側はほとんどボールを奪えません。

つまり、ダブルドリブルのルールを設けることで、試合の公平性とゲーム性が維持できます。

ダブルドリブルになるプレーの例

ダブルドリブルの定義を理解しても、観戦中に見分けるのはなかなか難しいもの。

ここでは、実際にダブルドリブルと判定される代表的なプレーを紹介します。

ドリブルを終えた後に再びドリブルをする

もっとも一般的なのは、ドリブルを終えた後にドリブルをする行為。

ドリブルをやめてボールを両手で持った時点で、ドリブルは終了となります。

その状態からもう一度ドリブルを始めると、即ダブルドリブルと判定されます。

初心者や緊張した場面では、ボールを持ったままもう一度仕切り直そうとして反則になるケースが少なくありません。

両手で同時にドリブルをつく

両手でボールを同時についたり、両手で挟んでコントロールしようとしたりする行為もダブルドリブルです。

ドリブルはあくまで片手で連続してつくことが原則。両手が同時に触れた瞬間に、ドリブルは終わりと判定されます。

転がったボールをつく

ドリブル中にボールが転がった場合、そのまま床を1回叩くようにボールを扱うと、ダブルドリブルと判定されます。

バスケットボールでは、自分の体に当たってボールが転がった場合も、他の選手が触れない限り「まだドリブル中」と見なされるためです。

とくに勢いの強いドリブルや、ディフェンスとの接触後に起きやすくなっています。

下からボールを持ち上げるようにドリブルをつく(キャリー)

ボールを下から支えるようにドリブルをつくと、審判は「キャリー」としてダブルドリブルと判定する可能性があります。

ボールを支えすぎると、実質的に「持ち運んだ」と判断されてしまいかねません。下から支え持つクセがある選手は、注意しましょう。

ダブルドリブルにならないプレーの例

観戦中に「今のプレー、ダブルドリブルじゃないの?」と感じても笛が鳴らない場合があります。

ここでは、見た目は似ていても反則にならないプレーを紹介します。

パワードリブルを行う場合

パワードリブルとは、 両手で力強くボールを叩きつけ、ディフェンスに体をぶつけるプレー。

一見すると“二度つき”のように見えますが、パワードリブルはルール上問題ありません。

パスを受けたりリバウンドを取った直後、一度だけ両手でボールをつく行為は認められています。

リバウンド後

リバウンドとは、リングやバックボードに当たって跳ね返ったボールを取ること。

シュートリバウンドをキャッチしてからのドリブル再開は、ダブルドリブルではありません。

ボールがリングやバックボードに当たった瞬間にドリブルはリセットされるためです。

ボールをコントロールできなくなった場合

相手選手にボールをはたかれたり、転がってしまってボールをコントロールできなくなった場合、ドリブルはリセットされます。

よって、再び拾ってドリブルしても、ダブルドリブルの判定を受けることはありません。

具体的には、相手選手にスティールされて転がっているボールをキャッチした、相手選手の体にボールが当たったなどのシチュエーションが該当します。

トラベリングとの違い

ダブルドリブルとよく混同されるのがトラベリングです。

どちらもボールの扱いに関する反則ですが、ルール上の焦点が異なります。

トラベリングは、ボールを持った状態で3歩以上動く反則です。

上半身の反則がダブルドリブル、下半身の反則がトラベリングと覚えるとわかりやすいでしょう。

ダブルドリブルに関する観戦時の注目ポイント

ダブルドリブルのルールがわかってくると、選手の動きを見るのがより楽しくなるはず。

ダブルドリブルに関する観戦時の注目ポイントを紹介します。

パワーポジションができているか

ダブルドリブルを防ぐには、ボールを持ったときの姿勢が大切。

腰を落とし、足を広げてバランスを取る「パワーポジション」ができている選手は、落ち着いてパスやシュートの判断ができます。

観戦時にはプレーヤーがボールを止めた瞬間の姿勢に注目すると、その後のプレーの選択肢やリズムまで見えてくるでしょう。

ドリブルのつき方

2つ目の注目ポイントは、ドリブルのリズム。

一流プレーヤーのドリブルは、ボールと手の間に「押す」「弾く」「引く」などの絶妙な感覚があります。

このリズムを崩すと、無意識の二度つきを犯しやすくなります。

観戦中は、選手のドリブルリズムに耳を傾けてみてください。

テンポが一定でリズミカルにボールが弾んでいれば正しいドリブル、テンポが途切れて再び弾んだら反則の可能性が高いシーンです。

ダブルドリブルを理解して観戦をもっと楽しもう

ダブルドリブルは、初心者にとってわかりにくい反則のひとつです。

しかし、ルールを理解すると、試合の流れや選手の判断力を深く味わえるようになります。

ボールをつくという単純な動作に、技術や冷静さが凝縮されているのがバスケットボールの醍醐味です。次に試合を見るときは、ぜひ選手がドリブルを止めるタイミングや姿勢に注目してみてください。

また、ENSPORTS fanでは、バスケットボール観戦をたくさんの方々に楽しんでいただけるように、バスケの観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらぜひチェックしてください。