野球の試合時間に関する基本ルール

野球の試合時間に関する基本のルールを紹介します。試合時間における制限の有無や、延長戦についても理解してから野球観戦に行くのがおすすめです。
試合時間に決まりはない
サッカーやバスケと違い、野球の試合時間は決まっていません。攻撃と守備を1回ずつおこない、9回が終わったときに点数が多いほうのチームが勝ちます。また、5回裏終了後には、グラウンド整備のための5分ほどの休憩が入ります。
時間制限もないため、いつ終わるのか正確な時間はわかりません。最長は1992年9月の阪神対ヤクルト戦で6時間26分、最短は1946年の大阪タイガース対パシフィック戦で55分です。
延長戦によってさらに長くなることも
野球では、9回までに勝敗が決まらないときに延長戦をおこなうのがルールです。日本プロ野球では12回制を採用していて、12回を限度に試合を継続しています。片方のチームが多く得点するまで繰り返し、12回になっても同点ならば引き分けになります。
メジャーリーグや日本の高校野球で採用しているのは、点が入りやすい状態から攻撃を始めるタイブレーク制です。タイブレーク制の詳細なルールはリーグや大会で異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。
野球における試合時間の平均

野球における平均の試合時間をまとめました。試合を観戦するときの目安として、ぜひ参考にしてください。
小学生野球:1時間30分
小学生野球の試合時間は平均で1時間30分です。2022年に学童野球のルールが改正され、6イニング制と1時間30分の時間制限が導入されました。子どもたちにかかる体の負担を軽減することを目的としています。
中学野球:2時間
中学野球の平均試合時間は2時間が目安です。9イニング制のプロと違い7イニング制を採用しているため、かかる時間は短くなります。大会や連盟によっては時間制限が設けられることがあるので、確認しておきましょう。
高校野球・大学野球:2時間~2時間半
高校野球・大学野球の試合時間は2時間~2時間半が目安です。素早く移動する傾向があるうえに、複雑なサインがないため、同じ9イニング制のプロ野球より短くなります。とくに時間制限はありませんが、2024年の夏の甲子園では暑い時間帯を避ける朝夕2部制が導入されました。
プロ野球:3時間
2024年の日本プロ野球の試合時間は、平均で3時間2分です。これは延長試合やコールドゲームを除いた、9イニングの試合のみで計算しています。
選手交代やサイン交換などに時間を要することから、平均時間は高校野球・大学野球より長い3時間超えという計算に。一方で試合時間を短縮するための取り組みが実施されており、近年は少しずつ短くなってきています。
野球の試合時間が長くなる要因

実はボールが動いている時間は、昔からあまり変わっていません。野球の試合時間が長くなる理由は、プレー以外にあります。
球種が増えた
昔と比較すると、ピッチャーが投げる球種は多彩になっています。1人の選手が投げられる球種が増えたことから、サインの交換に時間がかかるようになりました。球種の増加によりバッターによるファウルが増えたことも、試合時間が長くなる要因の一つと考えられます。
戦術が多彩になった
攻撃や守備の戦術が多彩になったことで、野球の試合時間は長くなりました。さまざまな戦術を踏まえたサイン交換は複雑になり、時間がかかるように。ピッチャー交代や代打、代走、守備固めなど戦術的な選手交代が増えたことも、試合時間に影響しています。
イニング間の演出が増えた
プロ野球では、観客を楽しませるためにイニング間の演出を実施しています。球団の応援歌・選手の登場曲を流したり、チアリーディングチームがダンスを踊ったりと、盛り上げるためのパフォーマンスは試合時間が長くなった理由の一つです。
試合時間短縮のための取り組み:NPB編

NPB(日本野球機構)では、試合時間短縮のためにさまざまな取組を実施しています。時間を短くするためのルールをまとめました。
登場曲を10秒以内にする
打者が打席に向かうときに流れる登場曲を、10秒以内とするルールです。しかし、選手が自分で選んだ登場曲に、深い思い入れがあるファンも。曲によっては半端なところでブツ切りになることから、否定的な意見を持つファンは多いようです。
攻守交代を2分15秒以内にする
イニングが変わるときには、攻守交代(イニングインターバル)を行います。前の攻撃の第三アウトが宣言された時点から計測を始め、2分15秒以内にプレーを再開するルールです。ただし、7回表終了後およびグラウンド整備を実施する回では適用されません。
イニングの際の投手交代は2分45秒以内にする
投手交代の際には以下のような時間制限があります。
イニング間での投手交代 | 3分15秒以内にプレー再開 |
イニング途中の投手交代 | 2分45秒以内にプレー再開 |
イニング間での投手交代では、前の攻撃の第3アウトが宣告され時点で計測を開始します。一方でイニング途中の投手交代の場合は、投手交代のシグナルを出したタイミングで開始です。
30秒ルールを徹底する
前打者の打席が終わってから次の打席に入りバットをかまえるまでの時間を、30秒以内とするルールです。打者と打者の間隔を短くすることで、全体の試合時間を短縮することを目的としています。
試合時間短縮のための取り組み:MLB編

試合時間短縮のために、MLB(メジャーリーグベースボール)ではさまざまなルールを取り入れています。それぞれの内容をわかりやすく解説するので、チェックしておきましょう。
ピッチクロック
ピッチクロックとは、ピッチャーがボールを受けとってから投球動作をスタートするまでの制限時間のことを指します。
ランナーなしのとき | 15秒 |
ランナーありのとき | 18秒 |
時間制限を超えてしまうとピッチクロック違反になり、ピッチャーはボールを宣言されます。バッターは制限時間残り8秒時点でピッチャーに注意を向けないと、ストライクが宣言されるルールです。
牽制ルール
牽制とは、ピッチャーがボールをランナーがいるベースへ投げる行為です。投手が牽制球を投げる、または投手板から足を外す行為は、1打席あたり2回までに制限されています。
ピッチャーが一打席で3回目以降にランナーをアウトにできなかった場合は、ボークを宣言されることに。ランナーは次の塁に進むことができます。
タイブレーク制
野球のタイブレーク制とは、延長戦において試合の早期決着をつけるためのルールです。延長戦に突入した場合、点が入りやすい状態から攻撃を始めます。
MLBでは毎回走者を二塁においた状態(無死二塁)からスタートすることで、延長戦が長引くのを防いでいます。なお、日本ではタイブレーク制が採用されているのは高校野球のみです。日本プロ野球では、1軍はまだですが、2軍公式戦で試験的に導入されています。
野球の試合時間を把握しておこう
日本プロ野球の場合、平均の試合時間は3時間が目安になります。試合時間に制限はなく、延長戦に突入すれば想定以上に長くなることもあるかもしれません。
「野球の試合時間は長い」という声もあり、近年では短くするためのルールも取り入れられています。試合時間の平均時間やルールを把握したうえで、野球観戦を楽しみましょう。