サッカーの試合では、セットプレーが勝敗を左右することがよくあります。基本のルールを知ってボールの行方に注目すれば、サッカー観戦を新しい視点で楽しめるはずです。 本記事では、サッカーのセットプレーの基礎知識や種類を紹介します。試合における重要性や、成功率を高めるための要素とあわせてまとめました。

サッカーのセットプレーとは

セットプレーとは、ファウルやボールがラインから出たときに適用される試合の再開方法です。ボールを規定の位置にセットして再開することから、セットプレーと呼ばれています。

日本では、チャンスとなるプレースキック(置いたボールを蹴る再開方法の総称)をセットプレーとするのが一般的。PKやチャンスにならないプレーの場合は、セットプレーという言葉を使用しないこともあります。

セットプレーの種類によってそれぞれ規定の位置や与えられる条件が異なるので、よくチェックしましょう。基本的なルールを確認しておくことで、サッカーの試合の流れがよく把握できるはずです。

サッカーのセットプレーの種類とルール

サッカーのセットプレーは全部で6つあります。

それぞれのセットプレーの動作や基本的なルールをチェックしておきましょう。

フリーキック

フリーキックとは、サッカーにおける反則(ファウル)への対応のひとつ。反則があったとき、主審の判断で受けた側に与えられます。

反則を受けた位置から、相手選手に邪魔されずに静止したボールを蹴って再開です。

直接フリーキック

直接フリーキックとは、ゴールを直接狙えるフリーキックのこと。

以下のような反則(ファウル)があったとき、反則があった場所からボールを蹴ります。

反則名該当する行為
ハンドリング故意に手または腕でボールに触る
トリッピング故意に相手選手をつまずかせたり倒したりする
キッキング故意に相手選手を蹴る
ストライキング故意に相手選手を殴ったり殴ろうとしたりする
ジャンピングアットジャンプして相手選手に飛びかかる
プッシング相手選手を強く押す
ホールディング故意に相手の体や服をつかんで押さえる
ファウルチャージ肩以外の部分や乱暴な方法で相手のバランスを崩す
ファウルコンタクトタックルの際にボールより先に相手選手に接触する
スピッティング相手選手にツバを吐きかける

上記のような身体的接触のある反則が、不用意に・無謀に・過剰な力で発生したときに直接フリーキックが与えられます。主審のシグナルは、攻撃方向へ斜め上に片腕を伸ばすことです。

間接フリーキック

間接フリーキックでは、キッカー以外の選手がボールを触ったあとでないとゴールが認められません。

以下のような身体的接触がない反則や自分たちのミス、ゴールキーパーに関連する反則に対して与えられます。

反則名該当する行為
オフサイド攻撃チームの選手が得点のために相手のゴール前で待ち伏せする
シミュレーション反則を受けた演技をする
二度蹴り同じ選手が連続して触ってはいけないときにボールに触れる
オブストラクションボールを奪う動作をせずに相手の進路を妨害する
GKの反則一度手を話したボールを相手選手が触る前に再度手で触る6秒を超えて手でボールを保持する
GKへの反則GKが蹴ったボールに味方選手が意図的に手で触る選手がGKの邪魔をする
危険なプレー足を頭より上にあげるなど

直接ゴールを狙えないため、直接フリーキックと比較すると得点につながりにくい傾向があります。主審のシグナルは、上をまっすぐ片腕を上げることです。

PK(ペナルティーキック)

サッカー ペナルティエリア
赤枠内がペナルティエリア、赤枠内の白点がペナルティマーク

PK(ペナルティーキック)は、キッカーとゴールキーパーが1対1の状態でボールを蹴ります。ゴール前にある2つの長方形のうち、外側のエリア(16.5m×40.32m)がペナルティエリアです。

ペナルティマーク上に置いたボールを相手選手の妨害がなく蹴ることができるため、得点につながりやすいセットプレーといえます。主審は、片腕でペナルティーマークを指すことでシグナルを示します。

コーナーキック

サッカー コーナーエリア
赤い部分がコーナーエリア、コーナーエリアを最短で結ぶ線がゴールライン

コーナーキックは、フィールドの四隅にあるコーナーエリア(コーナーアーク)から、ボールを蹴るセットプレーです。守備側の選手がボールに触れてゴールラインを割ったときに、攻撃側のチームに与えられます。ゴールラインとは、長方形のフィールドのうちコーナーエリアを最短で結んでいる線のことです。

主審が手、副審が旗で示したコーナーアークから蹴って試合再開となります。ファーサイド(奥側の遠いサイド)やニアサイド(ゴールに近い手前)、ショートコーナー(コーナーに近い位置)など、蹴る方向や蹴り方に応じた戦術があります。

ゴールキック

赤い部分がゴールエリア
赤い部分がゴールエリア

ゴールキックとは、ゴールエリア内からボールを蹴るセットプレーです。攻撃側の選手が最後にボールに触れて、ゴールとならずゴールラインを割ったとき守備側に与えられます。たとえば攻撃側の選手のシュートが、枠から外れたときなどです。

ゴールエリアは、ペナルティエリアの中にある長方形のエリア(5.5m×18.32m)のこと。主審はシグナルとして、ゴールエリアの方を指します。

スローイン

サッカー タッチライン サイドライン
赤線部分がタッチライン

サッカーのスローインでは、両手で持ったボールをタッチラインを超えた場所から手で投げ入れます。最後に触れた選手の相手チームに与えられるルール。タッチラインとは、フィールドの長辺の境界線(サイドライン)のことです。

頭の上から頭上を通して投げる、両足を地面につけるなど、投げ方には決まりがあります。投げ方を間違えると反則(ファウルスロー)となり、同じ場所から相手チームにスローインが与えられることに。主審は、スローインをするチームの攻撃方向を手で示すことでシグナルを出します。

サッカーでセットプレーが重要な理由

サッカーでは、セットプレーを重要視するチームも少なくありません。

なぜ重要視されるのか、理由を解説します。

セットプレーからの得点率が高いから

セットプレーは戦局を大きく左右します。

リーグ戦やチャンピオンズリーグの得点のうち、20%がセットプレーからとされています。大会によっては、40%を超えることもあるほどです。

与えられたチームにはチャンスに、相手チームにとってはピンチになるわけです。

とくにフリーキック、コーナーキック、ペナルティキックはゴールに近い場所からのセットプレーですので、得点につながりやすくなっています。サッカー観戦の際にはぜひ注目してください。

静止したボールを蹴ることができるから

セットプレーでは、地面に置いて静止した状態のボールを蹴ることができます。

プレースキックが得意な選手であれば、狙った地点に高い精度でボールを蹴り出すことが可能です。

チームごとの戦術が観られるから

セットプレーは、蹴ったり投げたりするまでにある程度の時間があります。

そのあいだに、チーム全体で意図してアクションを起こすことも。

相手チームとの駆け引きやチーム戦術によって、セットプレーの成功率は高まります。

セットプレーの成功率を左右する3つの要素

サッカーにおけるセットプレーの成功率は、さまざまな要素に左右されます。影響を与える3つの要素について、チェックしておきましょう。

試合前の分析と戦術練習

セットプレーでは、攻撃・守備ともに、あらゆるパターンに備えることが重要です。

チームや相手選手の分析や戦術練習など、事前の準備がセットプレーの成功率を左右します。

チーム全体で対応する戦術を練習することが得点のチャンスにつながるのです。

キックの精度

セットプレーは、どこにボールを蹴り入れるかが重要。正確なボールコントロールが求められます。

回転をかけてボールの軌道を操れる選手がいれば、セットプレーの成功率は高くなります。

静止したボールを蹴るのが得意な選手(プレースキッカー)がいるチームは、セットプレーが有利に進むはずです。

なお、手で投げ入れるスローインの場合、遠くに投げる技術(ロングスロー)を活かした戦術をとるチームもあります。

予測とポジショニング

相手チームの動きを予測して、適切なポジショニングをすることが重要です。

どのように得点につなげるのかチームで意思を共有することで、セットプレーの成功率は高くなります。

一方で守備側のチームも、どのポイントが狙われるのか予測したポジショニングが必要です。

サッカーのセットプレーは勝敗を左右する

フリーキックやPK、コーナーキックなど、セットプレーには種類があります。それぞれ与えられる条件やルールが異なるので、ぜひチェックしてください。

また、セットプレーは、得点につながる可能性が高いプレーです。大きなチャンスやピンチになり、戦況を左右します。セットプレーでの選手のテクニックやチームの戦術に注目すれば、よりサッカー観戦が楽しくなるはずです。

ENSPORTS fanでは、セットプレーのほかにも、サッカー観戦初心者に役立つルール観戦マナーに関する記事を公開中。そちらもぜひチェックしてみてください。