サッカーのフェイスガードとは何か

なぜサッカー選手にフェイスガードが必要なのかをご説明します。
選手の顔面を保護する
フェイスガードの役目とは、顔面領域の怪我を保護するためのプロテクターです。
たとえば接触による鼻骨や顔面骨、顎骨の怪我などのときに、顔面をおおうように装着します。
プロのサッカー選手の場合、オーダーメイドするのが一般的。硬質プラスチックや衝撃を吸収する素材でできており、デザインもさまざまあります。なかにはファッション性を意識して個性を出してくる選手も。
インパクト抜群なフェイスガード姿がその選手のトレードマークになることは少なくありません。
怪我の保護・再発リスクを下げる
フェイスガードは、完治していない怪我を保護します。また試合中に加わる衝撃を吸収することで再発リスクの軽減する役割も。そのため、選手はフェイスガードの装着することによって、練習や試合に早期復帰できるのです。
ただし、サッカーは接触が多いスポーツです。衝撃の大きさによっては、フェイスガードをつけていても再骨折の可能性も……。
選手はそのリスクを背負って練習や試合に挑んでいます。
フェイスガードがプレーに及ぼす影響

かっこよく見えるフェイスガードですが、プレーには悪影響です。顔面をおおうように装着するので視野が狭くなり、間接視野でボールが見えにくくなります。
そのため頭を動かしてボールを探す必要があり、次のプレーまでタイムラグが生じることも。とくに足元や真上は見えにくく、ボールを見逃してしまう可能性があります。
さらに無意識に怪我がある場所をかばってしまうことがあり、装着前と同じようにプレーするのは困難です。衝突やヘディングへの恐怖心も生まれやすいため、パフォーマンスの低下は避けられません。
フェイスガードを装着していた選手【Jリーグ】

これまでにフェイスガードを装着していた、Jリーグの選手を紹介します。
選手の基本情報と、フェイスガードを装着していた理由を解説しましょう。
宮本恒靖
元日本代表のサッカー選手で、現役時代のポジションはDFです。相手チームのプレーを予想する鋭い読みと、優れたリーダーシップが特徴。日本代表ではキャプテンを務めています。
ワールドカップ日韓大会では、黒いフェイスガード姿が話題になりました。映画のバットマンシリーズのキャラクターになぞられた、バットマンの愛称が印象的。実はもともとフェイスガードは白く、黒色は油性ペンで塗ったものです。
キャスパー・ユンカー
元デンマーク代表のサッカー選手で、現在は名古屋グランパスに所属しています。プレーの正確さとインテリジェンスを備えていて、チャンスを高い確率でゴールにつなげる決定力に優れたFWです。
浦和レッズに所属していた2021年に、右頬骨を骨折しました。両頬と額をカバーする、特殊な形状のフェイスガードが印象的です。着用しながらも試合でゴールを決めています。
内田篤人
元日本代表のサッカー選手であり、現役時代のポジションはDFです。スピードと高い技術をもつ右サイドバックで、素早く攻め上がった先で多彩なテクニックを駆使します。
鹿島アントラーズに所属していた2007年に鼻骨を骨折。顔の上部をおおうフェイスガード姿でも、いつもと変わらないプレーでファンを魅了しました。
大久保嘉人
元日本代表の選手であり、現役時代のポジションはFWとMF。史上初の3年連続Jリーグ得点王など、輝かしい実績があります。FWとしてマルチな能力をもち、サイドハーフやボランチとしての能力も高いオールラウンダーな選手です。
ヴィッセル神戸所属に所属していた2010年に、鼻骨を骨折しました。顔上部をおおうフェイスガードを装着してつつ、試合で奮戦する姿が印象に残っています。
谷口彰悟
日本代表のサッカー選手で、現在はシント=トロイデンVVに所属しています。冷静な予測と鋭い読みを活かした、高い守備力が魅力のDFです。
2022年に鼻骨を骨折した際には、プレーに支障がないように配慮された特注のフェイスガードを着用。ワールドカップカタール大会の本戦では、プレーへの影響を避けるために装着しない選択をとりました。
鈴木優磨
鹿島アントラーズに所属するサッカーセンスで、ポジションはFWです。ポストプレーを得意としていて、攻守の両方でチームに貢献。シュートとアシストの両方ができるサッカー選手です。
2024年に右頬骨を骨折して、フェイスガードを着用しました。シュートを放ち、さらに守備やボールキープまで献身的なプレーでチームに貢献した姿が印象に残っています。
ジョアン・シミッチ
サントスFCに所属するMFのサッカー選手です。相手の守備を翻弄することを得意としていて、通常のキックを先読みさせて逆のコースにパスを通します。
川崎フロンターレに所属していた際に鼻骨を骨折しました。フェイスガードについて問われたとき、「つけてもつけなくてもカッコいいと言われる」と答えるユーモアをみせています。
フェイスガードを装着していた選手【海外リーグ】

フェイスガードを装着していた、海外リーグの選手をまとめました。有名な選手のフェイスガード姿に、ぜひ注目してください。
ヴィクトル・オシメーン
ナイジェリア代表のサッカー選手で、ポジションはFWです。現在はガラタサライに所属しています。スプリント能力が高く、短時間でトップスピードに到達。優れたフィジカルを活かしたポストプレーも魅力です。
SSCナポリに所属していた2021年に、顔面の複数箇所を骨折する大怪我に。失明する可能性も示唆されていましたが、フェイスガードをつけて復活した姿を見せました。
ソン・フンミン
韓国代表のサッカー選手で、現在はトッテナム・ホットスパーに所属しています。スピードにのったドリブルと、両足を使いこなす技術が魅力のFWです。
2022年に眼底骨折を負いました。同年のワールドカップカタール大会では、フェイスガードをつけてプレーしています。
ロベルト・レヴァンドフスキ
ポーランド代表のサッカー選手で、現在はバルセロナに所属しています。ドイツ・ブンデスリーガでは、1シーズンでの最多得点記録を持つFWです。ポジショニングと技術力に優れていて、高い得点能力を備えています。
バイエルン・ミュンヘンに所属していた2015年に顔面を負傷。鼻骨や頬骨、上顎を骨折したうえ脳震盪もおこしましたが、その後はフェイスガードを装着して試合に出場しています。
フェルナンド・トーレス
元スペイン代表のサッカー選手で、現役時代のポジションはFWです。サガン鳥栖でプレーしていたこともありました。スピードと決定力、多彩なフィニッシュパターンをもっています。
チェルシーFCに所属していた2013年に鼻の骨を骨折しました。7週間ほど、鼻をすっぽりとおおう形状のフェイスマスクをつけてプレーしています。
パオロ・マルディーニ
元イタリア代表のサッカー選手で、現役時代のポジションはDFです。サッカー人生のすべてをACミランに捧げ、25年間にわたってチームを支え続けました。戦術理解能力や1対1での強さ、判断力に優れていて、史上最高の左サイドバックとも呼ばれています。
2003年に鼻骨を骨折しました。練習や試合に復帰したあとは、鼻とその周囲を保護できる白のフェイスガードを装着しています。
キリアン・エムバペ
フランス代表のサッカー選手で、現在はレアル・マドリードに所属しています。圧倒的なスピードを誇るFWで、サッカー界随一と呼ばれることも。リーグ・アン年間最優秀選手賞に5回選ばれるなど、輝かしい功績を収めています。
2024年に鼻骨を骨折したことで、フェイスガードを装着することに。フランス国旗のトリコロールカラーや、フランス代表のエンブレムを取り入れたデザインが話題になりました。
フェイスガードは怪我の保護が目的
サッカーの試合でフェイスガードを装着する目的は、完治していない怪我の保護です。衝撃を吸収することで、再発防止に効果を発揮します。
フェイスガードを装着しながら試合にでるサッカー選手の姿は、痛々しくもカッコよくうつるはず。それぞれデザインも異なるため、サッカー観戦の際にはぜひ注目してください。