プロ野球の本場といえばアメリカ合衆国です。メジャーリーグでは日本人選手が活躍しているため、多くの人が注目しています。 本記事では、アメリカのプロ野球の仕組みをレギュラーシーズンとポストシーズンに分けて解説。基礎知識や日本プロ野球の違いとあわせて、紹介します。

アメリカのプロ野球とは?

アメリカのプロ野球について基礎知識をまとめました。球団数やア・リーグとナ・リーグについて解説します。

30球団によるプロ野球リーグ

アメリカとカナダにある30球団によるプロ野球リーグです。アメリカ本拠地29球団と、カナダ本拠地1球団が所属しています。正式名称はメジャーリーグベースボール(MLB)で、日本では大リーグとも呼ばれています。

アメリカはプロ野球の本場であり、世界中の野球選手の憧れ。多くの日本人選手がチャレンジすることから、日本でも注目を集めています。

ちなみにアメリカ女子プロ野球は1943年~1954年に運営されていましたが、現在は存在しません。当時はショー的な要素が強く、選手は化粧をしてスカートをはいてプレーしていました。

ア・リーグとナ・リーグで構成

アメリカのプロ野球は、ア・リーグ(アメリカンリーグ)とナ・リーグ(ナショナルリーグ)の2リーグ制です。

ア・リーグナ・リーグ
東地区ボルティモア・オリオールズ、ボストン・レッドソックス、ニューヨーク・ヤンキース、タンパベイ・レイズ、トロント・ブルージェイズアトランタ・ブレーブス、マイアミ・マーリンズ、ニューヨーク・メッツ、フィラデルフィア・フィリーズ、ワシントン・ナショナルズ
中地区シカゴ・ホワイトソックス、クリーブランド・ガーディアンズ、デトロイト・タイガース、カンザスシティ・ロイヤルズ、ミネソタ・ツインズシカゴ・カブス、シンシナティ・レッズ、ミルウォーキー・ブリュワーズ、ピッツバーグ・パイレーツ、セントルイス・カージナルス
西地区ヒューストン・アストロズ、ロサンゼルス・エンジェルス、アスレチックス、シアトル・マリナーズ、テキサス・レンジャーズアリゾナ・ダイヤモンドバックス、コロラド・ロッキーズ、ロサンゼルス・ドジャース、サンディエゴ・パドレス、サンフランシスコ・ジャイアンツ

上記のように、それぞれ3つの地区で5チームごとに分かれています。たとえば2025年の現在大谷翔平選手が所属しているロサンゼルス・ドジャースは、ナ・リーグの西地区です。

アメリカプロ野球の仕組み:レギュラーシーズン編

アメリカのプロ野球のレギュラーシーズンは、3月下旬ごろから始まります。各チームが162試合を戦う形式で、対戦相手は以下の通り。

  • 同リーグ・同地区の4チームと各13試合(合計52試合)
  • 同リーグ・他地区の10チームのうち4チーム各7試合と6チーム各6試合(合計64試合)
  • 別リーグとの交流試合(インターリーグ)合計46試合

試合結果の勝率(試合数のうち勝った試合の割合)で順位を決定します。30チームのうち、各リーグ6チームずつ、合計で12チームがポストシーズンに参加できる仕組みです。

アメリカプロ野球の仕組み:ポストシーズン編

ポストシーズン(プレーオフ)に出場できるのは、各リーグの以下のチームです。

  • 東地区・中地区・西地区の優勝チーム
  • 地区優勝チームを除き勝率が1~3位だったチーム(ワイルドカード)

10月から始まり、各チームがワールドチャンピオンを目指します。

ワイルドカードシリーズ

各地区の優勝チームを除き、各リーグで勝率が1~3位だったチーム(ワイルドカード)が参加するのがワイルドカードシリーズです。さらに地区優勝したチームの中で、勝率が3位だったチームを含めて戦います。

  • ワイルドカード1位 VS ワイルドカード2位
  • 地区優勝したチームの中で勝率が3位 VS ワイルドカード3位

ワイルドカードシリーズでは、3戦中先に2勝したチームの勝ちです。ワイルドカードシリーズを勝ち抜いた各リーグ2チームは、チャンピョンズリーグに進出できます。

なお、地区優勝チームのうち勝率1位と2位のチームはシード権を獲得しているため、ワイルドカードシリーズには出場しません。

ディビジョンシリーズ

ディビジョンシリーズでは、ワイルドカードを勝ち抜いた2チームと、地区優勝したチームの勝率1位と2位が参加します。

地区優勝で勝率1位ワイルドカード1位 VS ワイルドカード2位の勝者と対戦
地区優勝で勝率2位地区優勝で勝率3位 VS ワイルドカード3位の勝者と対戦

5戦中先に3勝したチームが勝利するルールです。ディビジョンシリーズを勝ち抜いた各リーグ2チームが、リーグチャンピオンシップシリーズに進出できます。

リーグチャンピオンシップシリーズ

リーグ優勝決定戦と呼ばれており、各リーグの優勝者を決定するために戦います。

試合は7試合制で、先に4勝したチームの勝利です。各リーグ優勝チームがワールドシリーズにコマを進めます。

ワールドシリーズ

ポストシーズンの最終戦で、ア・リーグとナ・リーグの優勝チームが対戦します。7戦して先に4勝したチームの勝利。アメリカプロ野球の頂点にたち、ワールドチャンピオンとしての栄光を手にします。

アメリカプロ野球と日本プロ野球の違い

アメリカプロ野球と日本プロ野球(NPB)には、さまざまな違いがあります。具体的な違いについて、わかりやすくまとめました。

リーグ数とチーム数

リーグ数とチーム数の違いは以下の通りです。

アメリカプロ野球日本プロ野球
リーグ数2リーグ(6地区)2リーグ
チーム数30チーム12チーム

日本プロ野球は、セントラル・リーグ(セ・リーグ)とパシフィック・リーグ(パ・リーグ)の2リーグ制です。アメリカのプロ野球も2リーグ制ですが、さらに各リーグが3地区ずつに分かれます。

下部組織

アメリカプロ野球の下部組織(マイナーリーグベースボール)は4段階に、日本プロ野球では2段階に分かれます。

アメリカプロ野球AAA(トリプルA)、AA (ダブルA)、A+ (ハイA)、/A (シングルA)、ROK (ルーキーリーグ)
日本プロ野球1軍、2軍、3軍(球団による)

アメリカプロ野球はもともと6段階に分かれていましたが、2020年に削減されました。日本プロ野球は球団によっては3軍もありますが、アメリカプロ野球と比較すると少なくなります。

試合数

アメリカプロ野球のレギュラーシーズン162試合に対して、日本は143試合(2025年)です。

アメリカプロ野球のほうが20試合ほど多く、1日に2回試合(ダブルヘッダー)を行うことも珍しくありません。シーズンを通して戦い続けるため、アメリカプロ野球のほうがより過酷といえます。

球場

アメリカプロ野球の球場はほとんどが左右非対称です。レフト側だけ狭いフェンウェイ・パーク(ボストン・レッドソックス本拠地)など、26球場が非対称になっています。

日本のプロ野球球場は左右対称が多く、扇形や円形が一般的です。アメリカプロ野球は個性的な球場が多いので、試合とあわせてぜひ注目してください。

延長戦

アメリカプロ野球と日本プロ野球の延長戦には、以下のような違いがあります。

アメリカプロ野球点が入りやすい状況から初めて決着がつくまで継続する
日本プロ野球12回を限度に延長戦を行い点差がつかない場合は引き分けとする

アメリカプロ野球で導入されているタイブレークは、ノーアウト二塁(ランナーが二塁にいる状態)からスタートします。日本プロ野球と違って引き分けはありません。

ルール

アメリカプロ野球と日本プロ野球で、ルールの違いをまとめました。

アメリカプロ野球日本プロ野球
ピッチクロックありなし
指名打者制ありパ・リーグのみあり(セ・リーグでも2027年シーズンから導入)
外国人枠なしあり
投手交代最低1人と打者と対戦最低3人の打者と対戦

ピッチクロックとは、ピッチャーが投球するまでに使用できる時間(走者なし15秒・走者あり18秒)を制限するルール。試合時間を短縮する目的で導入されました。

指名打者制は、投手の代わりに打席にでる打撃専用の選手を指名できる制度。2027年からセ・リーグでも導入することが決定しています。

アメリカプロ野球の仕組みを理解して観戦しよう

アメリカプロ野球の仕組みは複雑に思えますが、理解できればそれほど難しくありません。基礎知識をマスターしたうえで、気になるチームの動向をチェックしましょう。

どのチームがワールドチャンピオンになるのかに着目してみれば、新しい視点で野球観戦が楽しめるはずです。日本プロ野球との違いに注目してみるのも、面白いのではないでしょうか。

ENSPORTS fanでは、野球観戦をたくさんの方々に楽しんでいただくために、観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらぜひチェックしてみてください。