野球の試合では、さまざまな用語が飛び交います。野球初心者だと、「今の用語はどういう意味?」と、観戦に集中できないこともあるのではないでしょうか。 本記事では、試合の面白さがアップする基本の野球用語を、わかりやすく解説します。ポジションごとの用語も紹介するので、野球観戦のお供としてぜひ役立ててください。

野球の用語を解説:基本編

野球 守備ポジションと守備番号

「これだけは知っておきたい」という基本の野球用語を紹介します。野球観戦を楽しむ基礎知識として、チェックしておきましょう。

ポジション

ポジションとは、試合に参加する選手がつく守備位置のことです。

守備位置守備番号役割
ピッチャー(投手)1打者にボールを投球する選手
キャッチャー(捕手)2ピッチャーの投球を捕る選手
ファースト(一塁手)3一塁周辺を守る内野手
セカンド(二塁手)4二塁周辺を守る内野手
サード(三塁手)5三塁周辺を守る内野手
ショート(遊撃手)6二塁と三塁の中間を守る内野手
レフト(左翼手)7外野の左側を守る外野手
センター(中堅手)8外野の中央を守る外野手
ライト(右翼手)9外野の右側を守る外野手

ピッチャーとキャッチャーの2人をあわせて、バッテリーといいます。一塁・二塁・三塁で囲まれたエリア内を守るのが内野手、内野の後方にあるエリアを守るのが外野手です。

イニング

野球におけるイニングとは回のことで、先攻(表)と後攻(裏)に分けられます。表と裏が終わったら1イニングが終了する、という考え方です。一般的に一試合のイニングは9回ですが、延長戦により9回を超えることがあります。

延長戦

9回など規定のイニングを超えても決着がつかないときは、延長戦に突入します。延長戦には12回制とタイブレーク制があり、リーグや大会によって採用ルールが異なります。違いとしては以下の通りです。

12回制12回を限度として延長戦を行う形式
タイブレーク制塁に走者がいる状態から初めて決着がつくまで続ける形式

ルールの違いについて、野球観戦前にあらかじめ確認しておくことをおすすめします。

コールドゲーム

コールドゲームとは、試合が打ち切りになり続行できなくなることです。コールドゲームは以下の2種類に分けられます。

点差コールド逆転が不可能とされる点差がついたとき試合を打ち切りにする
悪天候コールド悪天候や日没で試合続行が不可能になったとき打ち切りにする

5回以降に悪天候などで試合続行が困難な場合は、ノーゲームではなくコールドゲームとして成立します。

点差コールドは日本プロ野球(NPB)にはありません。ですが、大会やリーグによっては適用されるため、観戦をする前にチェックしておきましょう。

ノーゲーム

ノーゲームとは無効試合のことです。悪天候や日没によって試合続行が不可能になったとき、試合成立の条件を満たしていなければ適用されます。

日本プロ野球の場合は、イニング数が5回に満たないとノーゲームになるルールです。コールドゲームと違って記録に残らず、後日あらためて再試合を行います。

選手交代

野球における選手交代とは、プレー中の選手と控えの選手を交代することです。ベンチに控え選手がいる限り、交代人数に制限はありません。ただし、一度交代した選手は、再出場ができないルールです。

サイン

野球では、動作によるサインによって指示を伝えます。野球観戦では、監督やキャッチャー、コーチが使用する場面が多く見られるはず。

プロ野球の場合は、相手チームに戦略を知られないように複雑なブロックサインを使用します。

野球の用語を解説:ピッチャー編

守備の要であるピッチャーに関する用語をまとめました。ルールについて理解するためにも、ぜひチェックしてください。

ストライクとボール

ピッチャーが投球したとき、ストライクゾーンを通過するとストライク、通過しないとボールになります。ストライクが3回宣言されると、バッターアウトです。ボールが4回だとフォアボール(四球)となり、バッターは一塁まで進塁できます。

先発

試合開始のとき最初にマウンドに立つピッチャーが、先発ピッチャーです。チームの中でも優れた投手がつくことが多く、長いイニングを投げる傾向があります。先発ピッチャーをどの試合に登板させるのか、あらかじめ順番を決める(先発ローテーション)のが一般的です。

リリーフ

先発ピッチャーが交代したあとに登板するピッチャーを、リリーフピッチャーといいます。リリーフピッチャーの種類は、大きくわけて以下の2つです。

中継ぎ(ミドルリリーフピッチャー)先発と抑えの間に投球するピッチャー
抑え(クローザー)試合の最終盤に登板するピッチャー

さらに中継ぎは、セットアッパーやロングリリーフ、ワンポイントリリーフなどの種類に分かれます。現代の野球ではピッチャーの役割分担が基本なので、投手交代のタイミングが重要です。

ボーク

ボークとは、投球や牽制のときピッチャーに与えられる反則です。主にバッターを騙す行為が該当します。ランナー(走者)がいる場合は全走者が進塁し、ランナーがいなければボールとしてカウントされるルールです。

反則球

反則球(反則投球)とは、ルールで禁止されているピッチャーの動作を指します。ボールへの細工など、バッターが不利になる可能性がある行為に適用されるルールです。

ボークが主に投球動作そのものの違反であるのに対し、反則球はボールへの不正行為など物理的なルール違反を指します。

反則球と判断された場合は、ランナーがいればボーク、いなければボールをカウントされます。

牽制球

盗塁や進塁を防ぐため、ピッチャーがランナーのいる塁に投球することです。リードしたランナーを元の塁に戻すことや、ランナーと接触してアウトにすることが目的。

ちなみに、あまり多くありませんが、捕球したキャッチャーが牽制球を投げることもあります。

野球の用語を解説:バッター・ランナー編

ピッチャーの投球を打つバッターと、盗塁のために走るランナーに関する用語をまとめました。それぞれの用語について、一つひとつわかりやすく解説します。

打順

打順とは、バッターが打つ順番のことです。9人が打席に入る順番を、試合の前に決めておきます。打順は以下のように分類が可能です。

上位打線(1~2番)出塁してチャンスを作る役割がある
中軸(3~5番)塁上にたまったランナーを本塁にかえして得点する役割がある
下位打線(6~9番)打席が回ってくることが少なく打撃が苦手な選手が多い

打順ごとに役割の傾向があるので、試合観戦の前に確認しておきましょう。どの選手をどの打順にするかは、チーム戦略でも重要な要素です。

フェアとファウル

フェアボールとは、フェアゾーンに入った打球で、安打や本塁打になる可能性があります。ファウルボールは、フェアゾーンに入らずファウルゾーンに落ちた打球です。

ファウルボールの場合、0ストライク・1ストライクのときはストライクに加算されます。2ストライク以降は、何度ファウルボールを打ってもカウントはされません。

アウトとセーフ

以下のケースに該当すればアウトになります。

  • 打球がノーバウンドで捕球される
  • 投げたボールを3球見逃す・空振りする
  • 捕球して塁にタッチするまたは塁を踏んでいる選手に投げる

ランナーが走ってボールより早く塁に到達すればセーフで、先にボールが送られたらアウトです。各塁の審判(塁審)が、セーフかアウトかを判定します。

バント

バントとは、バットを振らずにボールに当てることです。以下のような種類に分けられます。

送りバント打者がアウトになる代わりに走者を次の塁に進めるためのバント
セーフティーバント打者が出塁するためのバント
スクイズバント三塁走者をホームに返して得点を入れるためのバント

その他にもさまざまなバントがあり、状況にあわせて適した方法を選択します。ボールを内野に転がすように、バットに当てる技術が必要です。

DH制

DH制(指名打者制)とは、ピッチャーの代わりに打席にたつ選手を指名できる制度です。メジャーリーグ(MLB)と、日本プロ野球のパ・リーグ(セ・リーグでも2027年から導入決定)で採用されています。通常の9人制に指名打者1人を加えてプレーするのが主な違いです。

インターフェア(打撃妨害)

インターフェア(打撃妨害)とは、バッターがボールを打つとき守備側の選手が妨害することです。

打撃妨害は、キャッチャーによる妨害がほとんど。ペナルティとしてバッターは一塁に進塁できます。なお、インターフェアには守備妨害という意味もあります。あわせて確認しておきましょう。

オブストラクション(走塁妨害)

守備をする野手が、ランナーの走塁を妨害することをオブストラクション(走塁妨害)といいます。守備側の野手が、打撃の処理・送球をしているときは適用外です。ランナーに対してプレイが行われていた場合、妨害されたランナーは1つ以上進塁できます。

野球の用語を解説:キャッチャー・野手編

捕球や配球の組み立てを行うキャッチャーや、内野・外野を守る野手に関する用語をまとめました。プレーや判定、技術についてわかりやすく解説します。

カットプレー

カットプレー(中継プレー)とは、外野手からの返球を内野手やピッチャーが中継ぎすることです。直接返球するよりも確実に返球でき、塁から飛び出したランナーをアウトにする確率を高めます。

エラー(失策)

打撃を処理できるにもかかわらず、ミスでバッターやランナーの進塁を許すと、エラーと記録されます。捕球ミスや送球ミスなどが対象です。スコアボードでは、「E」と記載されたランプが点灯します。

フレーミング

フレーミングとは、ストライクの判定を得るための捕球技術のことです。キャッチャーは投球動作や捕球体勢を工夫することで、ストライクの判定を引き出します。ミットを動かさず、審判に見やすいように捕球する技術が必要です。

インターフェア(守備妨害)

インターフェア(守備妨害)とは、守備側のプレーを攻撃側の選手が妨害する反則のこと。選手や監督、コーチ、観客もインターフェアの対象になります。

その種類は多岐にわたり、ペナルティは守備妨害の内容で異なります。

コリジョンルール

コリジョンルールとは、本塁での衝突を防止するための規則です。キャッチャーとランナーの危険な接触プレーを避けるために定められました。具体的には、以下のような場面でコリジョンルールが適用されます。

  • 走路をブロックしていない野手や捕手に対して、走者が最初から接触を目論んで走路を外れる
  • ボールを保持していない捕手が、得点しようとしている走者の走路をブロックする

1のケースでは対象のランナーがアウトになり、他ランナーは接触発生時にしていた塁まで戻ります。2のケースはランナーをセーフとするルールです。

基本の野球用語をマスターしておこう

野球は専門用語が多く、初心者だと難しいと感じるかもしれません。しかし、少しずつ用語を覚えていけば、野球への理解が深まります。

今までわからなかったことがわかるようになれば、野球観戦がさらに楽しめるのではないでしょうか。基本の野球用語をマスターすれば、ルールや試合の流れもよりスムーズに理解ができるようになります。

ENSPORTS fanでは、野球観戦をたくさんの方々に楽しんでいただくために、観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらぜひチェックしてみてください。