野球の試合では、ノーゲームで試合が中断するケースがあります。「中断された試合はどうなるの?」「購入した入場券は払い戻しになる?」など、疑問を感じることがあるのではないでしょうか。 本記事では、野球におけるノーゲームの基礎知識と適用された場合の対応を解説します。コールドゲームとの違いや、その他の決着ルールについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

野球におけるノーゲームとは

野球におけるノーゲームの意味を解説します。どのようなときに適用されるのか、成立条件とあわせて紹介するので参考にしてください。

ノーゲームの意味は「無効試合」

ノーゲームは「無効試合」を意味するルールで、途中で打ち切りになることを指します。試合として成立していないため、勝敗はつきません。

野球場での試合観戦も中断になるので、ファンは途中で帰ることになります。急なノーゲームの宣告に慌てないように、あらかじめ適用条件を確認しておきましょう。

試合続行が不可能なときに適用される

ノーゲームは、悪天候や日没などで試合続行が難しいときに審判によって宣告されるものです。とくに明確な基準はなく、審判に判断が一任されています。

また、ノーゲームは、試合成立の条件を満たしていない場合のみに適用されます。試合成立のイニング数はリーグや大会ごとに決まっていて、プロ野球やメジャーリーグでは5回です。

試合成立の条件を満たしている場合は、ノーゲームではなくコールドゲームが宣告されます。なお、高校野球の甲子園などノーゲームが適用されない大会もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。

ノーゲームになったときの対応

では審判からコールドゲームが宣告された場合、どのような対応がとられるのでしょうか。ノーゲームが適用されたときのために、確認しておくと安心です。

試合の記録が無効になる

ノーゲームが宣告されると、試合は成立しなかったことになります。試合は記録されないため、安打やホームランを打っても無効です。どれだけ白熱した試合が展開されていても、すべてリセットされます。

得点を持ち越さず再試合になる

無効になった試合は、シーズン終盤の予備日に再度おこなわれます。得点など状況は持ち越されず、また最初から試合をやり直すのがルールです。

振替試合の日程は球団の公式サイトで確認できます。どうしても外せない試合なら、早めにチケットを予約しておくのがおすすめです。

入場券は払い戻しされる

ノーゲームが宣言された場合は、基本的にチケットは払い戻しになります。くわしい方法は購入方法によって異なるので、球団の公式サイトで確認してください。

試合開始前に中止になったときも、同じく払い戻しになります。当日の天候情報や天気予報で判断されるので、雨天中止情報を公式サイトやSNSでチェックしておきましょう。

ノーゲームとコールドゲームの違い

試合中止時の状況によっては、ノーゲームではなくコールドゲームが適用される可能性があります。それぞれの違いを確認しておきましょう。

コールドゲームとは

コールドゲームとは、試合が成立したうえで途中で打ち切りになった試合のことです。以下のような種類に分かれます。

点差コールドイニングごとに設定した以上の点差で試合が打ち切りになる
悪天候コールド規定のイニング終了後に悪天候や日没で試合が打ち切りになる

点差によるコールドゲームが適用されるのは一部の大会だけなので、あらかじめ確認しておきましょう。どちらも宣言された時点の点数差で勝敗が決定します。

試合成立の有無で判断される

試合成立の条件を満たしていなければノーゲーム、満たしていればコールドゲームになります。日本プロ野球における試合の成立条件は、以下の3つです。

  • 5回裏が終了している場合
  • 5回表終了時もしくは5回裏途中に打ち切った試合で、後攻チームがリードしている場合
  • 5回裏に後攻チームが同点に追いつき試合を打ち切った場合

高校野球や中学野球など試合成立のイニング数が異なる事があるので、確認しておきましょう。ほかにもノーゲームとコールドゲームには、以下のような違いがあります。

ノーゲームコールドゲーム
記録されないされる
再試合ありなし
払い戻しありなし

野球におけるノーゲームの問題点

野球の基本ルールであるノーゲームですが、さまざまな問題点も指摘されています。よく挙げられているのは、以下の3点です。

選手の負担になる

ノーゲームでは、得点経過などを持ち越さずに再試合になります。翌日以降に試合を一からやり直すことになるので、選手にかかる負担が大きくなりがち。その後の試合においても、コンディションに大きく影響することが考えられます。

甲子園では、2022年に選手の負担軽減のためノーゲームと雨天コールドを廃止しました。現在では継続試合を採用していて、翌日以降に中断した状態から試合を継続するようになっています。

投球数はリセットされない

投球制限はプロ野球やメジャーリーグにはありませんが、小学生・中学生・高校生野球には存在します。ノーゲームになっても、球種制限はリセットされません。

選手層が薄く投手が少ないチームの場合は、ハンデを背負うことになります。「他チームと比較して、ノーゲームを宣告されたチームに不公平」との声も。

甲子園ではノーゲームがないため心配ありませんが、一部の都道府県大会では現在もノーゲームが採用されています。

試合観戦が中断される

ノーゲームが宣言されると、試合観戦は中断されます。

払い戻しはされますが、試合の決着はつかないままです。それまでの選手の頑張りもなかったことになり、交通費や時間も無駄になってしまいます。残念と感じるファンは多いはず。再試合はありますが、スケジュールによってはいけない可能性があります。

ノーゲーム以外の決着方法に関するルール

ノーゲームやコールドゲーム以外の決着方法とまとめました。基本のルールを解説するので、試合観戦のための基礎知識として役立ててください。

延長戦

9イニングなど、規定の回数で決着がつかない場合は延長戦に突入します。日本プロ野球では12回制、高校野球やメジャーリーグはタイブレーク制を採用しています。

12回制12回を限度に試合をして点差がつかない場合は引き分けとする
タイブレーク制点が入りやすい状態から初めて点差つくまで試合を継続する

タイブレーク制は、無死1・2塁など塁にランナーを置いて延長戦をする形式です。ルールが統一されているわけではないため、大会ごとの規則をあらかじめ確認しておきましょう。

タイゲーム

タイゲームとは引き分けで、試合終了時点で得点が同点だったときに適応されます。延長戦がない場合や、日本プロ野球で延長12回を経ても決着がつかない場合はタイゲームです。

なお、日本プロ野球でも、日本シリーズの第8戦以降はタイゲームがありません。延長回数の制限はないため、勝負がつくまで試合が継続されます。

サスペンデッドゲーム

サスペンデッドゲームとは、日没や設備の故障によって試合を一時的に中断した試合のこと。後日、中断した状態から試合を再開します。

日本プロ野球では2012年に廃止になりました。一方のメジャーリーグでは、現在でも設備の故障や天災によってサスペンデッドゲームが宣告されることがあります。

フォーフィッテッドゲーム

フォーフィッテッドゲームとは、没収試合のことです。一方のチームにフォーフィッテッドゲームに該当する規則違反があった場合、試合終了が宣告されます。

その時点の点数にかかわらず、過失のないチームの勝利です。没収試合を宣告されたときは、記録上では0対9の勝利として扱います。

ノーゲームになる条件を知っておこう

ノーゲームは「無効試合」を意味する言葉で、試合成立にはなりません。すべて記録されず、得点を持ち越さない状態で後日再試合をします。

ノーゲームでは、入場券は払い戻しになり、試合観戦は中断することになります。

唐突なノーゲームで慌てないように、条件などの基本的な知識を確認しておきましょう。試合中断の可能性を考えて、当日の天気予報をチェックしておくのがおすすめです。