野球における守備とは?

野球における守備について、プレーの内容と基本の流れを紹介します。野球観戦の基礎知識として、ぜひチェックしてください。
攻撃側の得点を阻止するプレー
野球の試合は、イニング(回)ごとに攻撃と守備を交代するルールです。片方のチームは9人それぞれが守備位置につき、攻撃側の得点を阻止するためにプレーします。
守備側の目的は、バッター(打者)やランナー(走者)からアウトをとることです。ポジションごとに守備位置が決まっていますが、状況によっては定位置から動くこともあります。
守備側がアウトを3つとると交代
キャッチャー(捕手)がバッターに投球して、打たれたら野手が処理します。以下のような方法で守備側がアウトを3つとると、攻撃と守備が交代するルールです。
- ピッチャー(投手)が投げて三振をとる
- ランナーをアウトにする
- 打球が地面につく前に捕球する
ベースにタッチするか、ベースを踏んでる野手に投げることでランナーをアウトにできます。守備で失点を抑えて攻撃で得点することが、試合で勝利するために必要です。
野球の守備位置を紹介:バッテリー編

バッテリーとは、ピッチャーとキャッチャーの2人をセットで指す言葉です。それぞれ重要な役割があるので、守備の基本として確認しておきましょう。
ピッチャー(投手)
ピッチャーは、キャッチャーに向かって投球をおこなう選手のことです。多彩な球種を投げ分け、バッターから三振をとるためにプレーします。肩の強さやコントロール力、下半身の強さが必要なポジションです。
キャッチャー(捕手)
ピッチャーに球種・コースの指示をおこない、ボールをキャッチします。守備全体を指揮したり、ホームベースを守ったりと、その役割はさまざまです。高い分析力や判断力、リーダーシップが求められます。
野球の守備位置を紹介:内野手編

内野手は、内野(ダイヤモンド)を守備位置とする選手のこと。守備位置と特徴について、わかりやすく解説します。
ファースト(一塁手)
一塁(ファーストベース)周辺の守備を担当する選手です。他の野手から一塁で送球を受け、バッターやランナーをアウトにするのが役割。ランナーがいるときは牽制球を受けることもあるため、守備機会が多いのが特徴です。高い捕球能力や適切な状況判断能力が求められます。
セカンド(二塁手)
二塁(セカンドベース)周辺の守備を担当しています。打球が飛んでくる回数が多く、周囲のカバーを求められることも。守備範囲が広いので、足の速さや反応力、判断力が必要とされるポジションです。
サード(三塁手)
三塁(サードベース)周辺の守備を担当する選手です。強烈な打球が飛んでくる「ホットコーナー」と呼ばれるエリアのため、早い打球を捕る能力が必要。内野手の中では一塁との距離がもっとも遠いので、肩の強さや正確な送球が求められます。
ショート(遊撃手)
二塁と三塁の間を守備範囲とする選手を指します。内野の守備以外にも、牽制や盗塁、ピッチャー、外野手のカバーなど、その役割はさまざま。
守備範囲が広く、打球の処理にも技術が求められるので、高い身体能力や捕球能力、判断能力が必要です。
野球の守備位置を紹介:外野手編

外野手は、外野(内野の後方エリア)を守備しています。レフトとセンター、ライトにわけて、守備範囲と特徴をまとめました。
レフト(左翼手)
キャッチャーから見たとき、左側のエリア(レフト)を守る選手をさします。比較的多い、右バッターの打球を捕球する機会が多いポジションです。正確な捕球能力と、ランナーの進塁を防ぐ俊敏さが求められます。
センター(中堅手)
レフトとライトの中間にある、外野の中央を守備位置とするポジションです。レフトやライトをカバーすることが多く、守備範囲が広いことが特徴。そのほか、外野手を指示する役割もあります。
足の速さや肩の強さ、リーダーシップが求められるポジションです。
ライト(右翼手)
キャッチャーから見たとき、右側のエリア(ライト)を守る選手をさします。以前は守備が苦手な選手が置かれることが多いポジションでしたが、左バッターが増えたことで高い守備力が求められるようになりました。
三塁までの距離がもっとも遠いため、強い肩とコントロール力が必要とされます。
野球の守備番号と背番号との関係

野球では、守備位置ごとに守備番号が割り振られています。スコアボードやスコアシートに守備位置を記入するとき、使用される番号です。
守備位置 | 守備番号 |
---|---|
ピッチャー(投手) | 1番 |
キャッチャー(捕手) | 2番 |
ファースト(一塁手) | 3番 |
セカンド(二塁手) | 4番 |
サード(三塁手) | 5番 |
ショート(遊撃手) | 6番 |
レフト(左翼手) | 7番 |
センター(中堅手) | 8番 |
ライト(右翼手) | 9番 |
守備番号と背番号は違うので、一致させる必要はありません。プロ野球では異なる番号を使用します。一方で中学野球や高校野球の場合は、例外を除き守備番号をそのまま使用するのが一般的です。
野球の守備に関するルール:投手・捕手編

ピッチャーとキャッチャーに関するルールをまとめました。守備の基礎知識として、チェックしておきましょう。
敬遠(故意四球)
敬遠とは、対峙しているバッターや次のバッターの能力を考えて故意に四球を投げることです。バッターは一塁に進塁します。
強打者によるホームランを警戒し、リスクを小さくするために敬遠を選択するのも戦略の一つ。
ワイルドピッチとパスボール
ワイルドピッチ(暴投)とパスボール(捕逸)の意味は、以下のとおりです。
ワイルドピッチ | 投手の投げた球が捕手の守備範囲から大きく外れた |
パスボール | 捕手がボールを逸らしてしまい走者が進塁した |
ワイルドピッチとパスポールの違いは、キャッチャーが取ることができたかどうかです。捕球が困難なほど外れている場合はワイルドピッチ、捕球可能とみなされた場合はパスポールとして記録されます。
ファウルチップ
ファウルチップとは、投球がバットにかすったあと、キャッチャーのミットに収まること。体や用具にあたり、ボールが地面につく前に捕球されたときもファウルチップと判断されます。ストライクと同じ扱いなので、3球目がファウルチップなら、三振でバッターアウトになるのがルールです。
ボーク
ボークとは、投球や走塁におけるピッチャーの反則行為のことです。バッターやランナーを欺いて、盗塁やヒットエンドランを妨害することを防止します。投球板に触れずにボールを落とす、投球動作を途中でやめたなど、該当する行為は13項目です。
野球の守備に関するルール:外野手・その他編

ピッチャーやキャッチャー以外にも、守備にはさまざまなルールがあります。外野手とその他に適用されるルールは、以下のとおりです。
フェアボールとファウルボール
フェアボールとファウルボールには、以下のような意味があります。
フェアボール | 打者の打球がフェアゾーンに入ったこと |
ファウルボール | 打者の打球がフェアゾーンに入らなかったこと |
一塁・三塁線を基準に、「フェアゾーンに入ったかどうか」で判断されます。フェアボールだとプレー続行、ファウルボールになるとストライクが1つカウントされるのがルールです。
エラー(失策)
エラーとは、バッターやランナーをアウトにできる状況において、打球処理のミスなどでアウトにできなかった・進塁を許してしまった場合の記録です。適用されるのは、ピッチャーやキャッチャー、野手です。本人の能力と記録員の判断に影響されるため、守備がうまい選手でもエラー数が多くなる可能性があります。
クロスプレー
野球におけるクロスプレーとは、ランナーと野手がベース上で接触するプレーのことです。ランナーは盗塁のためスライディングし、野手側がアウトを取ろうとすることで発生します。
守備側がボールを捕球していない状態でランナーを妨害した場合は、走塁妨害です。一方で攻撃側が捕球しようとする野手に対してタックルしたりミットを蹴り上げたりしたときは、守備妨害と判断されます。
スリーフィートオーバー
ランナーが走路(スリーフィートライン)から3フィート(91.44cm)以上外れて走ったときに、適用される守備妨害です。タッチプレーを避けるためにランナーが逃げ回ることを防止するのが目的。外を走っても即アウトではなく、タッチプレーのときにルールが適用されます。
野球の守備に関する疑問と回答

野球の守備に関する疑問と回答をまとめました。守備に関してわからないことがあるときは、ぜひチェックしてください。
Q1. 野球の守備で難しいとされるのは?
A. 一般的にもっとも難しいとされるポジションは、守備範囲が広いショートです。高い技術と身体能力が求められるため、守備の花形とも呼ばれています。
また、守備に関わることが多いファーストも、難しいポジションです。一塁は送球を受ける機会が多く、バント守備や牽制球を受けることもあるので、高い技術が必要とされます。
Q2. 守備に参加しない選手はいる?
A. 指名打者は、攻撃のときピッチャーの代わりに打席に立ちます。攻撃専門の選手なので、守備位置にはつきません。日本プロ野球(NPB)のパ・リーグとメジャーリーグ(MLB)で指名打者制(DH制)が導入されていて、セ・リーグでは2027年シーズンからの採用が決定しています。
Q3. 打順と守備位置には関連性がある?
A.打順と守備位置に関連性はありませんが、傾向はあります。たとえば上位打線には走力が求められるセカンド・ショート・センター、負担が少ない下位打線はキャッチャーというようにです。チームの事情によるので、これに当てはまらないケースもあります。
野球観戦のときは守備位置に注目しよう
野球における守備は、攻撃側の得点を阻止する重要なプレーです。ポジションごとに役割があり、それぞれが守備範囲を守ります。
ボールの動きを追い、守備につく選手のプレーに注目してみてはいかがでしょうか。守備に関するルールも紹介したので、野球観戦にぜひ役立ててください。
ENSPORTS fanでは、野球観戦をたくさんの方々に楽しんでいただくために、観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらぜひチェックしてみてください。