じわじわと人気が出てきている新世代スポーツ「フリースタイルフットボール」について、世界大会にも出場されているプレイヤーからお話を伺いました!スポーツの魅力や特徴について、競技者視点のリアルな情報をお伝えします。
TODAY’S GUEST

Mai
Yasutake
Yasutake
Freestyle footballer
会社員や動画クリエイターとしての顔も持つ、世界で活躍するフリースタイルフットボーラー。
Pulse Asia 2023,2024 2nd
World Final 2023 top16
Pulse Asia 2023,2024 2nd
World Final 2023 top16
<話し手:安武舞さん>
<聞き手:ENSPORTS fan編集部 田窪>
フリースタイルフットボールとは

田窪
今回はありがとうございます!
さっそくですが、フリースタイルフットボールという競技についてざっくり教えていただけますか?
さっそくですが、フリースタイルフットボールという競技についてざっくり教えていただけますか?

安武さん
はい、フリースタイルフットボールはサッカーから派生したスポーツで、リフティングをパフォーマンス競技に発展させたような種目です。
「フリースタイル」という言葉の通りダンスバトルに近い内容で、主に上半身でボールを操ってみたり、ボールの周りで足を回してみたり、逆立ちしてボールを蹴ってみたりと、アクロバティックなパフォーマンスが見どころですね!
「フリースタイル」という言葉の通りダンスバトルに近い内容で、主に上半身でボールを操ってみたり、ボールの周りで足を回してみたり、逆立ちしてボールを蹴ってみたりと、アクロバティックなパフォーマンスが見どころですね!

田窪
なるほど。サッカーの文脈というよりも、ダンス競技のジャンルですね。

安武さん
そうですね。ベーシックな形式では1:1でバトルをするのですが、下記の動画の雰囲気がわかりやすいと思います。2024年の試合です。
渋谷でおこなわれたバトルの様子

田窪
なるほどかっこいい。

安武さん
ダンス方面から興味を持っていただいた方には、ルールなどもすんなり頭に入りやすいと思います。
反対にサッカー側から興味を持っていただいたら、ダンス競技に触れるきっかけにもなりそうなスポーツですね。
反対にサッカー側から興味を持っていただいたら、ダンス競技に触れるきっかけにもなりそうなスポーツですね。
フリースタイルフットボールのなりたち

田窪
事前に少しフリースタイルフットボールについてWikipediaで調べてみたのですが、2000年代初頭から始まったスポーツとのことで。割と新しいですよね。

安武さん
そうですね、だいたい2004年くらいからあったと聞いています。

田窪
サッカーといえばヨーロッパ圏な感じがしますが、やっぱりフリースタイルフットボールもヨーロッパで人気なんでしょうか。発祥もその辺り?

安武さん
発祥はあまりはっきりしていないのですが、強い選手がヨーロッパからもたくさん出てきているのは確かにおっしゃる通りです!
2024年のWorld Freestyle Football Championshipは、セリアAに属するチームのユヴェントスと共同開催されたりもしていて、ヨーロッパでの人気がさらに上がってきている雰囲気はありますね。
2024年のWorld Freestyle Football Championshipは、セリアAに属するチームのユヴェントスと共同開催されたりもしていて、ヨーロッパでの人気がさらに上がってきている雰囲気はありますね。
その世界大会には安武さんも出場。すごい。

安武さん
日本も世界で見るとフリースタイルフットボールが人気の国ですので、全国で大会が開かれていたり、大陸対抗の世界戦でもいい線まで行ったりしています。
でももっともっと盛り上げていきたいですね!
でももっともっと盛り上げていきたいですね!
フリースタイルフットボールの魅力

田窪
フリースタイルフットボールの概要はなんとなくわかってきました!ありがとうございます。
では次に、この競技の魅力についてお聞きできたらと。
では次に、この競技の魅力についてお聞きできたらと。

安武さん
もちろんです!たくさんあるのですが、3つほどお伝えしますね。
プレイヤーごとの特色あるプレイスタイル

安武さん
まずこの競技の特徴でもあり一番の魅力は、とにかくプレイヤーごとにプレイスタイルが違って、全員がまったく違うパフォーマンスをしているところです。
これがすごく面白い。
これがすごく面白い。

田窪
なるほど。ボールを扱うダンスバトルという枠はあるものの、プレイスタイルが全然違うと。

安武さん
はい。オリジナリティが高く評価されるスポーツですので、プレイヤーは全員自分だけの武器を磨き上げていくんですね。
なのでトッププレイヤー層になると、だいたいその人にしかできない技を持っていたりします。
なのでトッププレイヤー層になると、だいたいその人にしかできない技を持っていたりします。

田窪
なにそれかっこいい。

安武さん
そうなんです。そんな世界トップレベルの人たちをあえて2つのタイプに分けると、これまで世界に存在しなかった技を作り上げる人と、人類の夢と限界に挑戦していく人がいて。

田窪
スケール。

安武さん
例えばボールの周囲に足を回してまたぐ技があるのですが、現時点だと3回まわせたら世界でも「すげえ」ってなります。4回まわせる人は、世界に数人しかいません。
だれもが想像はできるけれど、しかし成し遂げられていない領域へチャレンジしているタイプですよね。
一方で「足を回す」系の技の中でもまた最近新技が誕生して、世界がザワつきました。これは世界に無かったものをあらたに生み出すタイプのチャレンジです。
それぞれがそれぞれの武器と得意分野を活かして、夢を実現すべくプレイしているのが本当にワクワクします。
だれもが想像はできるけれど、しかし成し遂げられていない領域へチャレンジしているタイプですよね。
一方で「足を回す」系の技の中でもまた最近新技が誕生して、世界がザワつきました。これは世界に無かったものをあらたに生み出すタイプのチャレンジです。
それぞれがそれぞれの武器と得意分野を活かして、夢を実現すべくプレイしているのが本当にワクワクします。

田窪
なるほど。既存技のまだ見ぬ領域へチャレンジする人もいれば、そこにはいかずに新技を開発する人もいると。
それを聞くだけでも、なんかバトル漫画みたいでめっちゃ面白そうです。
それを聞くだけでも、なんかバトル漫画みたいでめっちゃ面白そうです。
フリースタイルならではのプレイヤー同士の絡みと爆発力

安武さん
あとフリースタイルフットボールでは、プレイヤー同士の絡みも面白い見所になっています。

田窪
絡み。交互にパフォーマンスをするとは聞きましたが、その合間で何かがおこなわれるんでしょうか。

安武さん
例えばそうですね、仲の良い友人同士がバトルするとなったら、すでに相手の技を知っていることも多いんですよ。
「この人はあの技が得意だな」とか「前はあんなことやってたな」とか。
「この人はあの技が得意だな」とか「前はあんなことやってたな」とか。

田窪
確かに。

安武さん
そんなときに先攻だったら、その人の得意な技をあえてパフォーマンスに入れて先にやってしまったりすると。これはプレイヤーごとのスタイルを知っている観客側もかなり盛り上がります。

田窪
なるほど。競技を見れば見るほどプレイヤーごとの背景とか得意技もわかってくると思うので、そういうの知っていたらめちゃくちゃ面白そうですね。

安武さん
あとはついさっき相手がやった中でいちばん難しい技を、次の自分のターンの初っ端でぶちかまして「自分もできますけど?」みたいな感じを出すとか。いわゆるダンスバトル的に煽り合うところがとても面白い。

田窪
(けっこう戦闘民族な感じだな)
たしかにダンスとかラップみたいな1:1のパフォーマス競技だと、煽り合いみたいなところも面白いですよね。
他にも何か、フリースタイルフットボールならではの煽り方ってあるんですか?
たしかにダンスとかラップみたいな1:1のパフォーマス競技だと、煽り合いみたいなところも面白いですよね。
他にも何か、フリースタイルフットボールならではの煽り方ってあるんですか?

安武さん
ボールを落とすことを「ドロップ」と呼ぶのですが、相手がドロップしたときに「おいおい評価下がったねえ」みたいな感じで床を叩いたりします。
あとはオリジナル技じゃないとあまり評価が上がらないので、既存の技を連発していたりすると「あらあら、それは評価対象外だよね」みたいな感じで、肘を上下させる「バイト」というパフォーマンスをしたりします。
あとはオリジナル技じゃないとあまり評価が上がらないので、既存の技を連発していたりすると「あらあら、それは評価対象外だよね」みたいな感じで、肘を上下させる「バイト」というパフォーマンスをしたりします。

田窪
なるほど、良い感じのヤンチャっぷりですね。
もちろんその辺りは選手同士もパフォーマンスの一環としてわかっていて、競技を盛り上げる要素になっていると。
もちろんその辺りは選手同士もパフォーマンスの一環としてわかっていて、競技を盛り上げる要素になっていると。

安武さん
そうです。
なので本当にその瞬間・その瞬間にしか出せない盛り上がりや熱さがあって、それがパフォーマンス競技として本当に見ていて面白いと思いますよ。
なので本当にその瞬間・その瞬間にしか出せない盛り上がりや熱さがあって、それがパフォーマンス競技として本当に見ていて面白いと思いますよ。
ボール一つで始められる敷居の低さ

安武さん
あとはフリースタイルフットボールのプレイを見て「面白いな」と思ったときに、サッカーボール一つあれば誰でもいつでも始められるというのも魅力だと思っています。

田窪
確かに。サッカーと違って人数集めなくて良いですし、技を練習するだけなら完全に一人でもできますもんね。

安武さん
そうなんです。初心者やビギナーの方だと、すでにある技を順番に練習していくだけでも本当に面白いと思います。
トップ層になってもオリジナル技を開発したり、天井に挑戦していく楽しみがずっと続いていきます。本当にいつまででも楽しめるスポーツですね。
トップ層になってもオリジナル技を開発したり、天井に挑戦していく楽しみがずっと続いていきます。本当にいつまででも楽しめるスポーツですね。

田窪
そもそもリフティングって小学生くらいのときに絶対やりますし、上手い子にめっちゃ憧れてました。いいなあ。

安武さん
ちなみに技の話で言うと、SUPER BALLというオープンの世界大会が定めたチャレンジシートがあります。中級者以上になると、みんなこれを見ながら練習していて、こういった指標があるのも面白い。

出典:SUPER BALL2024 Challenge Sheets

安武さん
もちろん技は掲載されているもの以外にも無数にあって、もっと初心者向けの基礎テクニックなどもYouTubeとかでたくさん公開されています。
初心者なら練習すれば毎日2つや3つくらい新しい技ができるようになりますので、こんなに成功体験を積めるスポーツって他にないと思います。
初心者なら練習すれば毎日2つや3つくらい新しい技ができるようになりますので、こんなに成功体験を積めるスポーツって他にないと思います。

田窪
それはすごい。
なんかお子さんの教育にも良さそうなスポーツですね。
なんかお子さんの教育にも良さそうなスポーツですね。

安武さん
自己肯定感の高い子に育つと思います(笑)おすすめですね!
フリースタイルフットボールのルール
試合形式について

田窪
フリースタイルフットボールに俄然興味が湧いてきました。
観戦するにあたり基本的なルールが知りたいのですが、大会ごとに違ったりするんでしょうか?
観戦するにあたり基本的なルールが知りたいのですが、大会ごとに違ったりするんでしょうか?

安武さん
そうですね、細かくいうと大会ごとに違ったりします。ただベーシックな形式はありますので、まずはこれを押さえておいていただけたら楽しめると思います。
ベーシックな試合形式
- 競技者2人がステージ上に立ち、1:1形式でおこなわれる
- DJが流す音楽にあわせて1人あたり30秒、好きなパフォーマンスを披露する
- 交互におこない、3ターン繰り返す
- 最終的にジャッジが採点して札をあげる

田窪
まさにフリースタイルですね。
つまりパフォーマンス中の音楽も、そのときになるまで何が流れるかわからない感じですよね。
つまりパフォーマンス中の音楽も、そのときになるまで何が流れるかわからない感じですよね。

安武さん
そうです!
なのでパフォーマンスが音楽とドハマりしたときはめちゃくちゃ盛り上がったりして、そのときそのときのリアルな熱量を感じられるのが魅力ですね。
なのでパフォーマンスが音楽とドハマりしたときはめちゃくちゃ盛り上がったりして、そのときそのときのリアルな熱量を感じられるのが魅力ですね。
ジャッジ基準について

安武さん
ちなみにジャッジ基準については、WFFA(世界フリースタイルフットボール連盟)が定めた世界基準があります。
- 難易度とレスポンス
全体のパフォーマンス(80%)・相手のムーブへのレスポンス(20%) - オールラウンド
各ジャンルのレベルの合計(100%) - オリジナリティ(+バラエティ)
オリジナルムーブ(20%)・シグネチャースタイル(30%)・バトルのバラエティ(20%)・全体のバラエティ(30%) - 実技
技のクリーンさ(25%)・フロー(25%)・スタイル(20%)・ダイナミックさ(10%)・音楽との融合性(10%)・バトルへの姿勢(10%) - コントロール
コントロール(50%)・ミス(50%)

田窪
かなり細かく基準がありますね……!

安武さん
そうですね。選手ごとに得意なパフォーマンスが違いますし、全然違うジャンル同士でバトルがおこなわれることも多いので、ジャッジ泣かせなスポーツでもあると思います。
その分見ている方は飽きなくて面白いと思いますよ!
その分見ている方は飽きなくて面白いと思いますよ!
フリースタイルフットボールを観戦するには?

田窪
ちなみに試合については、やっぱり現地観戦が基本なんでしょうか?

安武さん
もちろん現地の会場で観戦するのがいちばんおすすめですが、現実的にはなかなか難しい方も多いと思います。
大会ごとにYouTubeでライブ配信されたりしますし、アーカイブも残っていたりしますので、まずはぜひ動画で見てみてください!
大会ごとにYouTubeでライブ配信されたりしますし、アーカイブも残っていたりしますので、まずはぜひ動画で見てみてください!
イベントや連盟のオフィシャルチャンネル
- Flair20TV
https://www.youtube.com/@Flair20TV - Ball Beat
https://www.youtube.com/@ballbeat4899 - The World Freestyle Football Association
https://www.youtube.com/@theWFFA

安武さん
あとは日本国内でも大会が開かれていて、大きなものは日本フリースタイルフットボール連盟のWebサイトに掲載されていたりします。
日本フリースタイルフットボール連盟Webサイト[外部リンク]

田窪
大きな世界大会が毎年あるのは伺っていますが、国内でも色々とイベントや大会が開かれているんですよね?

安武さん
はい!どうしても東京が多くなってはしまいますが、例えば岡山では毎年大きな大会が開かれていたりもします。近所でイベントがあったらぜひ現地でも見てみていただきたいですね!
フリースタイルフットボールの今後について

田窪
フリースタイルフットボールは毎年世界大会も開かれていて、2024年にはユヴェントスとのコラボも実現しているなど、どんどん世間的な知名度や人気を得てきているスポーツだと思いました。
第一線で活躍されている安武さん個人として、フリースタイルフットボールの今後についての展望などおありですか?
第一線で活躍されている安武さん個人として、フリースタイルフットボールの今後についての展望などおありですか?

安武さん
そうですね、やっぱりもっともっと知名度が上がるといいなと思っています。配信などで見ていただいても本当に楽しいと思いますし、自分でプレイしても面白いスポーツですので、世代問わず触れてみていただけたらと思います!

田窪
さっそく大会のアーカイブとか見てみます!本日はありがとうございました。