野球の国際大会であるWBCとは?

野球の世界一を決めるWBCとは、どのような大会なのでしょうか。概要と開催経緯をわかりやすく解説します。
WBCの概要
WBCとは、メジャーリーグベースボール(MLB)機構とMLB選手会が主催する野球の国際大会です。現在は4年ごとに開催されており、World Baseball Classic(ワールド・ベースボール・クラシック)の頭文字をとってWBCとしています。
いつもは異なるチームでプレーしているプロ野球選手が、国の代表として対戦するのは、他の大会ではなかなか見られません。各国のスター選手が自国代表としてプライドをかけて戦うことで、数々のドラマが生まれます。
WBCの開催経緯
MLBでは、1990年代後半に日本・韓国・南米出身の選手が急増。国際化が進んだことを背景に、MLBはさらなる市場拡大や新規ファン層の獲得を目的として、世界進出を模索するようになりました。
MLB機構のバド・セリグコミッショナーが野球マーケットやMLB拡大を目的に、「野球の世界一決定戦開催」を提唱したのがWBCの始まりです。第1回大会は2006年3月に行われ、当時は16チームが参加しました。
WBCの規定を紹介

WBCの参加条件と基本ルールをまとめました。WBCを深く理解するために、あらかじめ確認しておきましょう。
WBCの参加条件
2023年時点における選手の参加条件は以下の通りです。以下のいずれかに該当すれば、その国の代表として戦う資格があります。
- 参加国の国籍がある
- 参加国の永住資格を所持している
- 参加国で生まれている
- 両親のどちらかが参加国の国籍を保持している
- 両親のどちらかが参加国で生まれている
- 参加国の国籍もしくはパスポートの取得資格がある
- 過去のWBCにおいて参加国の最終ロースター(選手登録枠)に登録されている
上記の条件さえ満たしていれば、性別や年齢は関係ありません。実力があればアマチュアでも参加できます。2023年の第5回WBCでは、初の日系人選手としてラーズ・ヌートバー選手が日本代表チームに選出されました。
WBCの基本ルール
2023年時点における、WBCの基本ルールをまとめました。
選手登録人数 | 30人(投手14人/捕手2人の登録必須) |
指名投手枠 | 全試合でDH制を採用していて最大10人まで登録できる |
延長 | 延長10回以降はタイブレーク制 |
コールドゲーム | 1次ラウンド限定(5回以降に15点差以上・7回以降に10点差以上) |
球数制限 | 1次ラウンド65球・準々決勝80球・準決勝以降95球まで |
投球間隔 | 30球もしくは2試合連続で投げたら中1日を空ける、1試合で50球以上投げたら中4日を開ける |
2026年のWBCでは、以下のようなルールが新しく追加されます。
ピッチクロック | 投手が打者に投球するまでに使用できる時間を制限する |
ベースサイズ拡大 | ベース(塁)を一辺が18インチ(約45・7センチ)にする |
けん制数制限 | けん制球は1打席2回までに制限される |
メジャーリーグで採用している規定を取り入れ、上記のようにルールが統一されました。ランナー(走者)に有利なルールなので、盗塁数の大幅な増加が期待できます。
大会別WBCの試合形式

WBCの大会規定は、大会実績を反映しながら毎回改良されています。試合形式を大会ごとにまとめました。
第1回大会(2006年) | 第1ラウンド・第2ラウンドはリーグ戦方式、上位4チームで決勝トーナメント |
第2回大会(2009年) | 第1ラウンド・第2ラウンドはダブルイリミネーション方式、上位4チームで決勝トーナメント |
第3回大会(2013年) | 第1ラウンドはリーグ戦方式、第2ラウンドはダブルイリミネーション方式、上位4チームで決勝トーナメント |
第4回大会(2017年) | 第1ラウンド・第2ラウンドはリーグ戦方式、上位4チームで決勝トーナメント |
第5回大会(2023年) | 第1ラウンドはリーグ戦方式、第2ラウンドは廃止、上位8チームで決勝トーナメント |
WBCにおけるリーグ戦とは、分けられた組内で総当たりで戦う方式です。ダブルイリミネーション方式とは、2敗した時点で敗退になる方式をさします。
これまでのWBCの結果一覧

2006年の第1回大会から2023年の第5回大会まで、WBCの結果を一覧でチェックしてみましょう。優勝国とベスト4までを紹介します。
優勝 | 準優勝 | 3位 | 4位 | |
---|---|---|---|---|
第1回大会 | 日本 | キューバ | 韓国 | ドミニカ共和国 |
第2回大会 | 日本 | 韓国 | ベネズエラ | アメリカ合衆国 |
第3回大会 | ドミニカ共和国 | プエルトリコ | 日本 | オランダ |
第4回大会 | アメリカ合衆国 | プエルトリコ | 日本 | オランダ |
第5回大会 | 日本 | アメリカ合衆国 | メキシコ | キューバ |
第1回大会から第4回大会の本戦には16カ国、第5回大会は20カ国が参加しました。3位と4位は、大会を通じた勝敗の数で順位を決定します。
2026年に開催されるWBCについて紹介

2026年には第6回のWBCが開催されます。参加国や試合形式、観戦方法を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
参加国
2026年の第6回大会には予選を含めて24カ国が参加します。そのうち予選を勝ち抜いた4カ国と招待された16カ国を合わせた20カ国・地域が本戦で戦います。
参加国 | 出場回数 | 招待参加 |
---|---|---|
日本 | 6回 | 招待 |
アメリカ合衆国 | 6回 | 招待 |
メキシコ | 6回 | 招待 |
キューバ | 6回 | 招待 |
ベネズエラ | 6回 | 招待 |
プエルトリコ | 6回 | 招待 |
オーストラリア | 6回 | 招待 |
イタリア | 6回 | 招待 |
ドミニカ共和国 | 6回 | 招待 |
オランダ | 6回 | 招待 |
韓国 | 6回 | 招待 |
カナダ | 6回 | 招待 |
パナマ | 4回 | 招待 |
チェコ | 2回 | 招待 |
イスラエル | 3回 | 招待 |
イギリス | 2回 | 招待 |
ニカラグア | 2回 | 予選 |
台湾 | 6回 | 予選 |
コロンビア | 3回 | 予選 |
ブラジル | 2回 | 予選 |
第5回大会(2023年)の第1ラウンドで4位以内に入った16チームは招待参加とされ、自動的に出場します。さらに2025年の予選に勝ち抜いた4チームを加えて、本戦で戦うのが基本のルールです。
試合形式
2026年のWBCでは、まず5チームごとに4つのグループに分かれて総当たり戦をおこないます。その結果によって、各グループ上位2チームが準々決勝に進出する形式です。
出場国 | 開催地 | 開催日時 | |
---|---|---|---|
Pool A | プエルトリコ/キューバ/カナダ/パナマ/コロンビア | ヒラム・ビソーン・スタジアム(プエルトリコ) | 3月6日~11日 |
Pool B | アメリカ/メキシコ/イタリア/イギリス/ブラジル | ダイキン・パーク(アメリカ・ヒューストン) | 3月6日~11日 |
Pool C | 日本/オーストラリア/韓国/チェコ/台湾 | 東京ドーム(日本) | 3月5日~10日 |
Pool D | ベネズエラ/ドミニカ共和国/オランダ/イスラエル/ニカラグア | ローンデポ・パーク(アメリカ・マイアミ) | 3月6日~11日 |
準々決勝 | 各グループ上位2チーム | ダイキン・パーク/ローンデポ・パーク | 3月13日・14日 |
準決勝 | 勝ち上がった4チーム | ローンデポ・パーク | 3月15日・16日 |
決勝 | 勝ち上がった2チーム | ローンデポ・パーク | 3月17日 |
日本が参加するPool Cは、東京ドームで試合が行われます。チケットを購入すれば試合観戦も可能なので、ぜひ検討してください。
観戦方法
各プールのチケットは販売期間になれば、公式サイトやコンビニなどで購入できます。東京ドームで行われるPoolCのチケット販売開始期間は、以下の通りです。
日本戦4試合セットチケット | 2025年10月1日~10月24日 |
1試合ごとのシングルゲームチケット | 2026年1月15日~ |
現時点での予定では、2026年のWBCは地上波での放送は予定されていません。すべての試合はNetflixが独占配信する見込みですので、視聴を希望する場合は契約を検討しましょう。
WBCで世界一を見届けよう
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は、野球の世界一を決める大会です。各国のスター選手が集まり、自国の優勝をかけて戦います。
最高レベルの戦いが繰り広げられ、過去の大会と同様に多くのドラマや感動が期待できます。2026年のWBCについても紹介したので、試合会場やテレビで世界一を見届けてみてはいかがでしょうか。
ENSPORTS fanでは、野球観戦をたくさんの方々に楽しんでいただくために、観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらぜひチェックしてみてください。