サッカーのポジションとは

サッカーのポジションには、「相手より多く得点するため」または「相手に得点されないため」に、役割の異なるポジションが用意されています。

まずは、大きく分けた4つのポジションの名前と役割を理解していきましょう。

フォワード

フォワードは攻撃的なポジション。

相手の守備を崩す役割を担い、最終的にシュートやヘディングなどでゴールを目指すポジションです。

ミッドフィルダー

ミッドフィルダーは、攻守にわたって活躍するポジション。

そのため攻撃と守備の両方をこなせる器用さが必要とされるポジションです。

ディフェンダー

ディフェンダーは、守備的なポジション。

相手の攻撃からゴールを守る役割を担い、体を張ったプレイが求められるポジションです。

ゴールキーパー

11人のプレイヤーの中で、1人だけ手を使えるのがゴールキーパーです。

ゴールを狙ってきた相手のシュートを手ではじいたり、キャッチしたりすることで、チームのゴールを守ります。

サッカーのポジションと背番号の関係性

サッカーにおけるポジションと、背番号には関係があるのかを理解するため、まずはJリーグの「規約・規定ユニフォーム要綱」を見てみましょう。

選手番号は、0は不可とし、1をゴールキーパー、2~11 をフィールドプレーヤーとする。 12 以降はポジションと無関係とし、50 までは欠番を認める。ただし、51 からは連番で番号 をつけることとし、欠番は認めない。

ユニフォーム要項第6条2項より引用

上記のようにゴールキーパーは1番と指定され、2~11はフィールドプレイヤーとされていますが、それ以外にポジションと背番号に関する決まりはありません。

また公益財団法人日本サッカー協会のユニフォーム規定においても、背番号とポジションに関する規定はありませんでした。

しかしプロサッカー選手でも、ポジションと背番号には共通する傾向もあり、背番号=ポジションと考えても間違いではありません。

簡単にポジションと背番号の関係についてまとめると、下記のとおりです。

  • 背番号2~5…ディフェンダー
  • 背番号6~8…ミッドフィルダー
  • 背番号9~11…フォワード

サッカーの背番号についてまとめた下記の記事を参考にしながら、理解を深めてみてください。

サッカーのポジションとシステム(フォーメーション)の関係性

ポジションとシステムの関係についても確認しておきましょう。

「相手チームより得点を多く奪って勝つ」というシステムを採用しているなら、得点を奪うためにフォワードを多く配置しなければいけません。

反対に「1点しか取れなくても、相手チームの得点を0に抑えて勝つ」というシステムなら、ディフェンダーを多く配置するでしょう。

このようにどのような戦略で戦うかに合わせて、配置されるポジションが決定されるのです。

参考までに、有名なフォーメーションを2つ挙げてみます。

【読み方】
左の数字から順番に数字を読みます。4-4-2ならばヨンヨンニです。

【数字の意味】
左からディフェンダー、ミッドフィルダー、フォワードの人数を表しています。
4-4-2ならば、ディフェンダーが4人、ミッドフィルダーが4人、フォワードが2人となります。

4-4-2(ヨンヨンニ)

ディフェンダーとミッドフィルダーを4人ずつ配置した、バランスの良いフォーメーションです。

現在世界で最も使われているフォーメーションといっても過言ではありません。

4-3-3(ヨンサンサン)

フォワードを3枚配置することで、より攻撃的なフォーメーションになるのが4-3-3。

フォワードの左右にウイングを配置しているのが大きな特徴で、現在リヴァプールやマンチェスター・シティなど、ヨーロッパのトップリーグでも多用されているフォーメーションです。

8人制サッカーのシステム

続いて、8人制サッカーについてふれてみたいと思います。

8人制サッカーとは、小学生以下(12歳以下)のサッカープレイヤーを対象としたサッカーのこと。

そのため幼稚園や小学生からサッカーを始めるお子さんは、まず8人制サッカーからスタートすることになるのです。

11人制サッカーとの主な違いを表にしましたので、確認してみてください。

比較8人制サッカー11人制サッカー
フィールドの広さ50m×68m(推奨)68m×105m(標準)
ゴールの大きさ2.15m×5m2.44m×7.32m
プレイヤー人数8人11人
交代方法交代ゾーンで自由に交代可能プレイが止まった時に審判の許可を得て交代可能
試合時間15~20分(ハーフ)45分間(ハーフ)
延長戦5分間(ハーフ)以内15分間(ハーフ)以内
ハーフタイム10分間以内15分間以内
退場後の措置補充可能補充不可
PK方式キッカーは3人キッカーは5人

サッカーのフォワード(FW)の役割と動き方

フォワードは、相手ゴールから最も近い位置にポジションを取り、常にゴールを狙います。

一口にフォワードといっても役割や動き方はさまざまで、大きく下記の3つに分類されています。

  • センターフォワード(CF)
  • セカンドトップ(ST)
  • ウイング(WG)

センターフォワード(CF)

センターフォワードに最も求められるのは、得点力。

ゴール前に送られてくるパスにヘディングを合わせたり、味方のパスをダイレクトでシュートしたり、ドリブルでカットインしたりして、相手ゴールに襲いかかる動きをみせます。

相手ディフェンダーから最もマークされるため、相手守備陣との駆け引きも見どころです。

セカンドトップ(ST)

センターフォワードより少し下がった位置で、ゴールにつながる働きをこなすのがセカンドトップ。1.5列目とも呼ばれるポジションです。

自分をおとりに使ってセンターフォワードをフリーにする動きや、反対にセンターフォワードをおとりにして、自分でゴールを決める動きが求められます。

味方をサポートしながらゴールを狙うポジションのため、味方との息の合ったプレイが見どころの一つ。

ウイング(WG)

ウイングは相手ゴールに近い距離から、左右のスペースを使って攻撃を仕掛けていきます。

相手のチームはゴール正面に人数をかけて守っており、中央突破だけではなかなかゴールを奪えません。そこで守備の薄い左右のスペースでドリブルやセンタリングを行い、相手守備陣を崩す役割を担うのがウイングです。

守備の薄いエリアから攻めるため、相手ディフェンダーと1対1の勝負になる機会が多く、そのデュエルも見逃せないポイントです。

サッカーのミッドフィルダー(MF)の役割と動き方

ミッドフィルダーはフィールドの中央にポジションを取り、パスやドリブルを駆使してボールを相手ゴールに近づけていきます。

ミッドフィルダーもフォワード同様、役割や動き方によって下記の6つに分類されます。

  • 攻撃的ミッドフィルダー(OMF)
  • 守備的ミッドフィルダー(DMF)
  • サイドハーフ(SMF)
  • センターハーフ(CMF)
  • アンカー
  • ボランチ(レジスタ)

攻撃的ミッドフィルダー(OMF)

ミッドフィルダーの中で最も相手ゴール近くにポジションを取り、フォワードがシュートできるような鋭いパスを通したり、ドリブルやシュートでゴールを狙ったりする動きが特徴です。相手ゴールに迫る役割を求められています。

OMFが相手ゴールを向いてボールを保持した時が見どころです。ゴールを狙うために「パスを味方に出すのか」それとも「ドリブルやシュートで仕掛けるのか」に注目してみましょう。

守備的ミッドフィルダー(DMF)

ミッドフィルダーの中でも少し下がった中盤に位置しているのが守備的ミッドフィルダー。相手からボールを奪う役割が求められます。

相手ボールを奪うためにプレスをかけたり、クリティカルなパスを出されないようパスコースを切ったりする動きが特徴です。

味方が攻撃で前のめりになっている時は、ボールを奪われると一転してカウンターを受けてピンチになります。味方が攻撃している最中でも、相手の次の攻撃を想定し、冷静にポジションをとるDMFはチームに欠かせません。

ディフェンス時だけではなく、「オフェンスの際にどこに位置しているのか」がDMFの見どころでしょう。

サイドハーフ(SMF)

サイドハーフはミッドフィルダーの中で、フィールドの左右に位置をとります。

中央で行き詰まった味方のパスを受けてスペースを活かしたり、スペースに走り込んでサイドからの突破を図ったりして、攻撃に幅を持たせます。

見どころは、スピードを活かしてサイドラインを駆け上がる前線突破と、ゴール前への的確なセンタリングでしょう。

センターハーフ (CMF)

フィールドの真ん中に位置を取り、攻撃と守備の両方へ参加が求められるのがセンターハーフ。

味方がボールを持った時は前線に上がって攻撃に厚みを出し、敵にボールがある時は後ろに下がって守備を行います。

最もプレイヤーが密集する中央エリアでプレイするため、フィジカルの強さはもちろんボールを扱うテクニックも必要になります。

アンカー

味方の失点に一番繋がりやすいエリア、バイタルエリアを守る専門のポジションがアンカーです。

ミッドフィルダーとディフェンダーの間にポジションを取り、相手攻撃陣にプレスを仕掛けたりインターセプトしたりする動きをします。

攻撃を仕掛ける相手とゴールを守る守備陣が激しく入り乱れるバイタルエリアで戦うアンカーには、テクニックやフィジカルはもちろん、精神的な強さも求められます。

そのため相手の攻撃を跳ね返し続けるプレイそのものが見どころといえるでしょう。

ボランチ(レジスタ)

ミッドフィルダーの中でもポジションを後ろにとり、攻守の両面でチームを支える役割を求められるのがボランチです。

たとえばリードしている場面で、無難なパス回しで無理に攻めず、相手の攻撃チャンスを減らすといった「ゲームの流れをコントロールする役割」も期待されています。

一方で攻撃時には、ゴールに直結するロングパスを出したりと、場面によってプレイスタイルを選択する柔軟さも見どころです。

サッカーのディフェンダー(DF)の役割と動き方

ディフェンダーは味方ゴールの前に位置取り、スライディングやプレッシングといった体を張ったプレイで味方ゴールを守るポジション。

ディフェンダーも役割や動き方によって、下記の5つに分類できます。

  • センターバック(CB)
  • サイドバック(SB)
  • リベロ
  • ストッパー
  • スイーパー

センターバック(CB)

ゴールの目の前にポジションをとり、相手のボールを奪うのはもちろん、相手シュートやドリブルも体を張ってブロックするのがセンターバック。

攻撃力に優れた相手のフォワードからどうやってゴールを守るのか、冷静に判断する知性も必要なポジションです。

スピードのある相手には体を寄せて動きにくくさせたり、シュートが得意な選手にはシュートコースを消す動きをしたりと、「相手の長所を消すためにどんな手段を選択しているのか」が見どころの一つ。

センターバックが安定していると味方は攻撃に集中できるため、チームの精神的柱とも言われています。

サイドバック(SB)

センターバックから左右に離れた位置にポジションを取り、左右からの突破を防ぐ役割が求められるのがサイドバック。

サイドからのドリブル突破やセンタリングによってピンチにならないよう守備を行い、中央に押し込まれた時にはセンターバック同様に体を張ってゴールを守ります。

一方で攻撃時には高い位置まで駆け上がり、積極的に攻撃参加するのも見どころです。攻守ともにハードワークするサイドバックは、現在のサッカー戦術では欠かせない存在となっています。

リベロ

リベロは、ディフェンダーと同じ位置にポジションを取りながら、自由に前に出て攻撃参加するという特殊なポジションです。

守備では体を張ってゴールを守り、攻撃では的確なパスや状況判断によって味方の攻撃を加速させます。
フィールドの後ろから攻撃に参加し、相手ゴール前まで迫るダイナミックな動きが見どころです。

1970年代にドイツで活躍したフランツ・ベッケンバウアーが、リベロの価値を世界に示しました。味方ゴール前でボールを奪い、パスで攻撃を組み立て、最終的に自らゴールまで決めるプレイは、世界中のファンを魅了したのです。

ストッパー

フォワードをマンツーマンでマークして、ボールを奪う役割はもちろん体を張ってシュートブロックする役割も求められるのがストッパーです。

相手フォワードとの1対1が見どころですが、フォワードに引きつられて味方ゴールから遠ざかってしまうケースもあったりと、弱点も指摘されやすいポジションです。

そのため現代サッカーにおいて採用されることが少なく、採用されたとしても1試合のみといった限定的な利用がほとんどです。

スイーパー

スイーパーは、ストッパーとセットで利用されるポジション。

ストッパーが止めきれなかった相手を止める役割を担うほか、ゴール前のこぼれ球を相手よりも先にクリアする役割を求められます。

高いカバーリング能力を活かして、ピンチを次々とクリアしていく点が見どころでしょう。

サッカーのゴールキーパー(GK)の役割と動き方

ゴールのすぐ前に位置を取り、相手のシュートをブロックしたりはじいたりして、相手に得点を許さない役割を担うのがゴールキーパー。

選手で唯一手を使える優位性を活かして、相手のセンタリングや高い軌道のパスを手でキャッチングするのも重要な仕事です。

一方でゴールから飛び出してボールをキャッチングする場面もあり、「出るのか出ないのか」といった瞬間的な判断も必要とされます。そのため安定したプレイができるゴールキーパーは、膨大な練習と経験を積んだプレイヤーだといえるでしょう。

またチームの戦術により、ゴールキーパーの働きが変化することもあります。

たとえば自チームが攻撃的な戦術をとり、攻撃に人数を割いている場合、ディフェンダーの後ろを取られたパスに反応して、ゴールから飛び出しクリアする役割も求められるのです。

このように、絶体絶命のピンチを救うシーンがゴールキーパーの大きな見どころです。

サッカーにおける適正ポジション

システムやポジションは、すべて勝つために考えられています。そしてポジションに求められる役割や動きに合わせて、適した選手が配置されます。

そのため選手が配置されるポジションも、勝利のために最適な回答だといえるのです。

そこで続いては、選手の特徴に合った適正ポジションについてみていきましょう。

足の速い選手の適正ポジション

足の速い選手に向いているポジションは、フォワードです。特にウイングやセンターフォワードに向いています。

サッカーでは相手を手で止める行為は反則行為にあたるため、ディフェンダーは手でブロックできません。そのため足の速い選手は、ディフェンダーが簡単に止められない厄介な相手です。

またディフェンダーを一度抜いてしまえば、相手ディフェンダーは後ろから追い付けないため、ゴールキーパーとの1対1を作りやすい点も大きな武器になります。

世界最大のビッククラブと呼ばれるパリサンジェルマンのキリアン・ムバッペ選手や「怪物」の異名を持ち、ワールドカップ優勝にも大きく貢献した元ブラジル代表のロナウドのプレースタイルが参考になるはず。

フィジカルの強い選手の適正ポジション

相手に当たり負けしない体の強さや、強引にポジションをとれるフィジカルの強い選手の適正ポジションは、ディフェンダーです。

体を使って有利なポジションをキープする体の強さの他にも、相手の攻撃を跳ね返し続ける体力も必要になります。

また味方のコーナーキックの際には、攻撃参加も行います。高さを活かしたヘディングは大きな武器になるため、フィジカルの強いディフェンダーはセットプレーにおける得点力も求められているのです。

日本代表で100試合以上出場し、ヘディングでも11得点を奪った吉田麻也選手、110億円の移籍金が話題となったリバプールのフィルジル・ファンダイク選手が有名選手です。

ボールの扱いが上手い選手の適正ポジション

ボールの扱いが上手い選手に向いているポジションは、ミッドフィルダーです。特に攻撃的ミッドフィルダーや、センターハーフが適正ポジションといえます。

ボールタッチや軌道を自在に操りパスを供給できる選手は、相手にとって厄介な存在です。

さらにボールの扱いが上手い選手はドリブルも得意な傾向にあり、ディフェンダーも簡単に奪えません。敵味方が入り乱れる中盤で活躍できる選手は、チームでも重宝されること間違しです。

ヴィッセル神戸に所属するアンドレス・イニエスタ選手、レアルマドリードのトニ・クロース選手がなどをイメージするとわかりやすいはず。現在は監督業をつとめているジネディーヌ・ジダン選手も、現役時代にはバロンドールを獲得した伝説的なミッドフィルダーでした。

背の高い選手の適正ポジション

身長は努力で伸ばしにくい要素であるため、生まれ持った背の高さは武器になります。そんな背の高い選手が向いているポジションは、ゴールキーパーです。

理由はシンプルで、身長が大きければ大きいほど、ゴールの広い範囲を守れるから。

高い位置へのシュートを止めるには、背の高さが欠かせません。いくら反応が良くても、届かないボールからゴールを守るのは困難です。

また相手のキッカーとゴールキーパーが1対1で向かい合うPK(ペナルティキック)の場面でも、背の高いゴールキーパーほど相手にプレッシャーを与えられます。

ゴールキーパーの有名選手は、約20年間イタリアのGKをつとめ、GKとして世界初のEFAチャンピオンズリーグ最優秀賞に輝いたジャンルイジ・ブッフォン。ビッククラブの1つ、リバプールで活躍するアリソンも背の高さを活かしたゴールキーパーの一人です。

頭の回転が早い選手の適正ポジション

チームのフォーメーションや戦術に合わせてプレイするためには、その意図を理解して的確に行動に結びつける頭の回転の早さが欠かせません。

頭の回転が早い選手に向いているポジションは、ボランチ(レジスタ)やアンカーです。

中盤の底で攻守を担うボランチは、相手がボールを保持している際、相手の攻め方やポジショニングを的確に判断し、ボール奪取するための最善の方法を選択しします。

一転して攻撃の際には、得点に直結するロングパスも要求されます。得点に直結するロングパスは、チームの戦術や味方選手のポジションを把握していない限りはなかなか打てません。そのため、状況を瞬時に把握する頭の回転の早さが必要になるのです。

ボールを奪う能力とパス精度に優れたレアルマドリードのカゼミロ選手、2018年ワールドカップで、日本代表として活躍した柴咲岳選手が有名選手です。

サッカーのポジションはどれも重要!

サッカーではチームのシステムに合わせてポジションが決められ、選手ごとの特徴に合わせて与えられます。

各ポジションの役割やプレイスタイルが理解できていると「さっきのプレーは良かった」「なんであがったんだろう」など、観戦するときの見方が変わってきます。

ぜひ各選手のポジションや動きをチェックしながら観戦を楽しんでみてくださいね。