キックボクシングの基本ルール
キックボクシングには「基本ルール」があるうえで、さらに団体ごとに独自ルールが運用されています。
それが「キックボクシングのルールは難しい」と言われる理由ですが、そんなに難しく考える必要もありません。
どの団体の独自ルールも、あくまでで「基本ルール」を元にしているため、まずは基本ルールを覚えればOKです。
以下5つの項目の基本ルールを抑えておきましょう。
試合時間
キックボクシングの試合時間は「3分3ラウンド」か「3分5ラウンド」です。
ラウンド間のインターバルは1分になるため、つまり1試合11分〜19分で勝負がつくのが基本ルールです。
採点方式
キックボクシングの採点方式は、1ラウンド10点満点の減点方式です。
つまり3ラウンド方式なら両選手が30点ずつ持っていて、そこから減点されていく流れです。
1ラウンド内のノックダウンの回数により、
- ノックダウン1回:2点減点
- ノックダウン2回:更に1点減点
- ノックダウン3回:TKO(試合終了)
上記のように減点されていきます。
例えば1ラウンド中に1回、2ラウンド中に2回、3ラウンド中に1回のダウンを奪われた場合は「30-23」で負けになるということ。
ラウンド中にノックダウンがなかった場合は、比較して有効打を当てていた方の選手は減点無し。もう一方の選手が1点減点されます。
この採点は試合後に3名のジャッジによって決定。2名以上のジャッジのポイントが上位だった選手が勝者になります。
ジャッジ2名がそれぞれ異なる選手を支持し、ジャッジもう一人が引き分けを選択した場合などはドロー。
もちろんKOした場合はそれまでの採点は関係なく、KOした選手の勝ちになります。
ダウンとKO
キックボクシングでは、倒れて足の裏以外の部分が床に1秒以上つくとダウンを取られます。
さらに下記の状況になるとKO判定になり、試合終了するのが基本ルール。
- 10カウント以内に立ち上がれない場合
- ファイティングポーズをとれない場合
- レフェリーがダメージ甚大と判断してカウントアウトした場合
その他1ラウンドに3回のダウンでKO負け。全ラウンドの通算で5回のダウンでもKO負けとなります。
有効技
キックボクシングの全大会に共通した有効技は、左右両手足の「拳・足・膝・肘」の8箇所を用いる技です。
基本的な有効技は以下の通り。参考にして下さい。
腕を使った有効技
- フック
- アッパー
- ひじ打ち
- ストレート
- バックブロー
脚を使った有効技
- 前蹴り
- 膝蹴り
- 飛び蹴り
- ローキック
- ハイキック
- ミドルキック
- バックキック
- サイドキック
反則行為
キックボクシングの反則行為は、どの大会でもおおよそ共通。
反則した場合は「口頭注意→警告→減点→失格」の順にペナルティーが与えられ、これはレフェリーの判断に委ねられています。
主に以下のような行為が、反則行為とされています。
反則行為一覧
- 投げ技
- 頭突き
- 目潰し
- 関節技
- 下腹部への攻撃
- ロープを掴むこと
- ローブロー(金的)
- 相手に噛みつく行為
- マウスピースを忘れる
- レフェリーに対する暴言
- 自分からリング外に出る事
- キドニーブロー(背中への攻撃)
- ラビットパンチ(後頭部への攻撃)
- マウスピースを故意に吐き出す事
- 服装違反などにより試合を遅延する
- セコンドが審判員の指示に従わない時
- 相手がダウンした状態にあるときの加撃
- オープンブロー(グローブの内側で打つ攻撃)
- 故意に相手選手をリング外に落とそうとした時
- 試合開始時にファールカップを装着していない
- レフェリーのブレイク後やラウンド終了のゴング後の攻撃
- 選手が過度なカウンター狙いやクリンチなどで攻撃の手数が少なく、消極的な場合
キックボクシングの大会や団体ごとのルール例
次に大会や団体ごとの応用ルールに関して、代表的な例を3つあげてご紹介していきます。
「基本ルール」から一部変更された内容になるため、まずは基本ルールをおさえておけばスムーズに覚えられるでしょう。
ムエタイルール
ムエタイルールは、キックボクシングの基本ルールとほぼ変わりません。
有効技は「拳・足・膝・肘」の左右8箇所で基本ルールと同様。ヒジ・ヒザ・首相撲すべてがアリのルールで、危険度は高くなります。
タイではムエタイが賭けの対象であることも関係して、ラウンド間のインターバルは2分と長いのが特徴。
判定基準として、パンチよりも蹴りやヒザでの有効打が重視される傾向にあります。
オランダルール(欧州ムエタイルール)
オランダルールでは、ヒジ打ちや頭部へのヒザ蹴りが禁止されています。
ヨーロッパには体格の良い選手が多いこともあり、深刻なダメージを与える危険があることから、安全性に配慮されたルールになりました。
試合は3分5ラウンドが基本。
余談ですが、K-1の公式ルールは「オランダルール」をアレンジしたものです。
アメリカルール(フルコンタクトルール)
アメリカルールではローキック、ヒジ打ち、ヒザ蹴りが禁止。
キックボクシングはムエタイがルーツなのに対し、アメリカルールは空手がルーツになっています。
また1ラウンドにつき8回は対戦相手の腰より上への蹴りを行わなければならず、8回に満たない場合はポイントが減点されます。
選手は空手衣をモデルにした「サテン製のロングパンツ」を着用するのが基本。脚には「脛当て」と「フットパッド(靴状のプロテクター)」を着用して試合に臨みます。
キックボクシングは基本ルールを覚えることが大切
キックボクシングのルールは大会や団体ごとに違って複雑ですが、まずは「基本ルール」を覚えておけば、十分に試合観戦を楽しめるかと思います。
少しずつ各団体のルールも覚えていってキックボクシング通を目指していきましょう。