バスケットボールのタイムアウトとは?

バスケットボールにおけるタイムアウトとは、プレイを一時的に中断し、チームが戦術の確認や体力回復などを行うための時間です。
コーチがテーブル・オフィシャルに申請することで取得でき、選手たちは一時的にベンチで過ごせます。
バスケットボールのタイムアウトは、試合の流れを左右する戦略的な役割を果たします。
観戦者にとっては試合の緊張が一時緩む瞬間ですが、実際にはコート外で駆け引きが繰り広げられていていることを覚えておきましょう。
バスケのタイムアウトのルール
FIBA(国際ルール) | NBA(独自ルール) | |
---|---|---|
1回の長さ | 60秒 | 75秒 |
回数(前半) | 2回まで(1Q・2Q合計) | 制限なし(全体で7回のうち自由に使える) |
回数(後半) | 3回まで(3Q・4Q合計) | 制限なし(ただし4Q残り3分以降は2回まで) |
延長戦 | 1回のみ | 2回まで |
取れるタイミング | デッドボール時のみ | ボールが生きているときでもOK |
TVタイムアウト | 基本なし(大会による) | 各Qにあり(自動ではじまる) |
実は、バスケットボールのタイムアウトの回数と時間は、カテゴリやリーグによって異なります。
この章では、各リーグのタイムアウトのルールの違いを解説。「タイムアウトは何回取れるの?」「時間はどのくらい?」などの疑問解消にお役立てください。
タイムアウトの回数
タイムアウトの回数は、カテゴリやリーグによって若干異なります。
FIBAやBリーグのルールでは、前半(第1Q・第2Q)に2回、後半(第3Q・第4Q)に3回取得できます。
ただし、第4Qの残り時間が2分以下になると、第3Qまでnタイムアウトを使っていない場合でも最大2回しか取得できません。延長戦5分毎に1回ずつ取ることができます。
一方、アメリカのプロリーグ・NBAでは、1試合につきタイムアウトは7回まで。
ただし、第4Qの残り2分以下になると、第3Qまでにタイムアウトを使っていなくても、最大2回までしか使えなくなります。こちらもFIBA同様に延長戦5分毎に1回ずつ取得可能です。
かつてNBAでは、9回までタイムアウトが取得できました。時代の流れとともに回数は減り、テンポよく試合が行われるようになりました。
タイムアウトの長さ
タイムアウトの長さも、リーグやカテゴリによって異なります。
FIBAとBリーグのルールでは、タイムアウトの時間は1回につき60秒。
一方のNBAは、1回のタイムアウトは75秒です。
いずれも時間内に作戦を確認し、選手に明確な指示を出す必要があるため、コーチングスタッフの手腕が問われます。
短い時間の中でどれだけ有効な指示を伝えられるかが、試合の勝敗を左右する場面も少なくありません。
タイムアウトの請求タイミング
タイムアウトが取得できるタイミングは、ゲームクロックが止まったときです。
例としては、ファウルやバイオレーション、ラインからボールが出たときなどが挙げられます。
ただし、相手チームが得点をした後のスローインのタイミングでは、時計が止まっていなくてもタイムアウトを取得できます。
一方で、自分のチームが得点をした後のスローインではタイムアウトを取得できません。
TVタイムアウトの有無
NBAでは、各クォーターごとに「TVタイムアウト」が必ず入ります。これはテレビ放送のコマーシャルのために、各クォーターで2回強制的に設定されるもの。「メディアタイムアウト」や「マンダトリー・タイムアウト(必須タイムアウト)」とも呼ばれており、通常のタイムアウトとは別にカウントされます。
チームの判断ではなく試合を中断しておこなわれますが、タイムアウトの時間は決まっていません。通常は165秒(2分45秒)前後が多いのですが、全米放送(ABC、ESPN、TNT) だとスポンサー枠の関係で3分以上、ローカル放送の試合だと、少し短いこともあります。
FIBAには基本的にその制度はなく、大会によって運営側が設定する場合がある程度です。
タイムアウトを使うのはどんなとき?

タイムアウトは、コーチもしくはアシスタントコーチがテーブル・オフィシャル(TO)に「タイムアウト」と伝えることで取得可能です。
両手でアルファベットの「T」字をつくってサインを送るケースもあります。
ここでは、バスケットボールの試合でタイムアウトを使う3つのタイミングを解説します。
戦術や作戦を立て直したいとき
タイムアウトは、戦術や作戦を立て直したいときに使われます。
具体的には、試合中に急きょ戦術を変更したいときや、選手たちが相手のディフェンスを攻略できずにいるときなどです。
選手への指示は呼びかけやジェスチャーでおおまかに伝えられても、コーチの意図していることと違う伝わり方をしてしまう恐れがあります。
選手への指示を正確に伝えたいときは、タイムアウトを取得したほうが確実です。
相手の勢いを止めたいとき
相手チームが連続で得点を重ねているときや、試合の流れが相手チームに一気に傾いていると感じたときもタイムアウトが使われます。
タイムアウトを取得することで一度リズムを断ち切り、ディフェンスを立て直したり冷静さを取り戻させたりすることで、逆転のきっかけを作ることが可能です。
さらに、タイムアウト明けにハーフコートオフェンスから再開することで、より有利なポジションから攻撃を組み立てることもできます。
タイムアウト明けには、特定の条件が重なるとフロントコート(相手チームのリング側)のスローインラインからゲームを再開できるためです。
選手の休憩とコンディションを調整したいとき
特にローテーションが限られているチームにとって、タイムアウトは体力回復の貴重な時間です。
選手が疲弊しパフォーマンスが低下し始めたタイミングでタイムアウトを取り、呼吸を整えることでプレーの質を保ちやすくなります。
適切なタイミングでのタイムアウトは、熱中症やケガ防止の観点からも非常に重要です。
タイムアウトの注意点
タイムアウトの残数は試合中に制限があるため、使い切ってしまうと重要な場面で作戦を立て直すチャンスを失う恐れがあります。
また、誤ってルール外のタイミングでタイムアウトを申請すると、テクニカルファウルを取られる恐れもあります。
タイムアウト時に注目したい観戦ポイント

バスケットボールのタイムアウトは、観客にとってもほっとひと息つける瞬間です。
座って休憩しても問題ありませんが、選手や他の観客に注目するとより試合を楽しめます。
ここでは、タイムアウト時に注目したい観戦ポイントを2つ紹介します。
ベンチの動きとコーチの指示
タイムアウト中は、選手のみでなくベンチの動きにも注目です。
コーチがどのように選手に戦術を伝えているか、どの選手が積極的に意見を出しているかなどを観察することで、チームの雰囲気や連携力が見えてきます。
コーチのジェスチャーやボディランゲージから、その試合にどのくらいの熱が入っているかが伝わってくるかもしれません。
観客や応援の変化
バスケットボールの試合では、タイムアウトになると観客席の雰囲気もガラリと変わります。
応援団がコールを入れたり演出が始まったりと、スタジアム全体が次のプレイに向けて盛り上がる時間です。
特に終盤でのタイムアウトでは、観客の緊張と期待感が最高潮に達しするため、生観戦でしか味わえない雰囲気を楽しみましょう。
タイムアウトに関するよくある質問

最後に、バスケットボールのタイムアウトに関するよくある質問に回答します。
Q1.回数の持ち越しはできる?
バスケットボールの試合では、タイムアウトの持ち越しはできません。
タイムアウトは前半・後半ごとに設定された回数のみ利用可能です。
前半に取得しなかったとしても、後半に回すことはできないため計画的に使う必要があります。
Q2.タイムアウトを取り消すことはできる?
タイミングによっては、一度申請したタイムアウトを取り消すことができます。
具体的には、スコアラーが審判に「タイムアウト」を知らせる前です。
タイムアウトを取り消したい時は、テーブル・オフィシャルにその旨を伝えます。
Q3.なぜ試合後半にタイムアウトが多くなるの?
後半にタイムアウトが増えるのは、試合の行方を左右する大事な時間帯だからです。
試合の後半、特に第4クォーターに入ると、1点の差が勝敗を分ける場面が増えます。
よって、監督は細かくタイムアウトを使って指示を出します。
また、ボールを前方から再開できる権利を活かし、より得点しやすい位置から攻撃を始める狙いもあるでしょう。
Q4.TVタイムアウトと通常のタイムアウトのタイミングが被ったらどうなる?
TVタイムアウトと通常のタイムアウトが重なったら、時間は合算されず『TVタイムアウトの長さ』になります。
時間はプラスになりませんが、タイムアウトを要求したチームの通常タイムアウトの回数は消費されます。
そのため、タイムアウトとTVタイムアウトが重複したら”時間長めの通常タイムアウト”になると考えたほうがいいでしょう。
バスケットボール観戦ではタイムアウトに注目しよう
バスケットボールのタイムアウトは、ただの休憩時間ではありません。
タイムアウトはチームの戦術が練られ、試合の流れを変える分岐点でもあります。
コーチの采配や選手たちのコミュニケーションを観察できるこの時間ほど、バスケットボール観戦の楽しさが凝縮されています。
次にバスケットボールの試合を観戦する際は、ぜひタイムアウト中の様子にも目を向けてみてください。
ENSPORTS fanでは、バスケットボール観戦をたくさんの方々に楽しんでいただくために、バスケの観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらぜひチェックしてみてください。