プロ野球の審判とは?

プロ野球の審判について概要と役割を解説します。審判団の人数もあわせて紹介するので、チェックしてみてください。
試合の進行と判定を行う審判員
プロ野球の審判とは、ルールに則り試合の進行やプレーの判定を行う人のことです。審判服や審判帽、審判靴などを着用してフィールドに立ちます。
プレーの一つひとつを、状況に応じて公平に判定するのが基本の役割です。ちなみにメジャーリーグ(MLB)では、複数のカメラを使用して判定するロボット審判が試験的に導入されています。
審判団でジャッジを行う
審判団とは、一つの試合でジャッジを行う審判の集まりを指します。現在の日本プロ野球(NPB)では、球審1人と塁審3人の4人制。メジャーリーグのレギュラーシーズンでも4人制を採用しています。
重要な試合では、球審1人・塁審3人に外審2人を加えた6人制を採用することも。日本プロ野球の2軍やマイナーリーグ3Aは3人制、マイナーリーグ2A・1Aやアマチュアは2人制です。
プロ野球における審判の仕事内容

プロ野球における審判の役割はさまざま。主な仕事内容について、わかりやすく解説していきます。
プレーのジャッジ
選手のプレーに判定を下して、ジェスチャーやコールで伝えます。規定に記載のない事柄に関しても、独自の裁量でジャッジが可能です。
基本的に下した判定が覆ることはありませんが、監督にのみ、リクエスト制度として裁定に質問が許されています。判断が困難なプレーが発生したとき、ビデオ判定が可能となる制度です。
試合球の管理
プロ野球で使用する試合球の管理は、審判団の役割です。ボールへの細工など不正を防止することが、主な理由。メジャーリーグでも、審判による粘着物質検査が実施されています。ボールを試合中に交換できるのは、審判とピッチャー(投手)だけです。
バッター(打者)や野手から要求があれば、審判がボールを確認して交換します。一試合あたりの平均使用球数は120球。スタンドに入ったときや、キズや汚れがついたときに交換します。
キャンプに同行
NPB現役審判員は、4~5人のグループに分かれ12球団に同行します。監督やコーチ、選手とコミュニケーションをとりながら、以下のようなことを確認するのが審判員の役目。
- ストライクゾーン
- ボークの見解
- 守備妨害・走塁妨害の判断基準
キャンプは審判にとっても練習・調整の場です。審判長や指導員4人が各キャンプ地をまわり、若手指導や改正ルールの説明にあたります。
プロ野球における審判の種類

プロ野球の審判にはいくつか種類があります。それぞれの役割についてまとめました。
球審
球審は、キャッチャー(捕手)の後方で判定する審判です。怪我防止のための防具を装着していて、靴は安全靴のようにつま先が固くなっています。球審と塁審は審判帽の仕様が異なるので、違いに注目しましょう。
投球やバッターに対する判定や、競技の進行に関する宣言が主な役割です。審判の中でもっとも多くのジャッジを行うため、高い持久力と集中力が求められます。
塁審
塁審とは、内野に配置される審判を指します。4人制の場合は、一塁・二塁・三塁にそれぞれ1人ずつ計3人を配置。3人制や2人制では、打球やランナー(走者)にあわせて動きながら判定を行います。
塁における判定やランナーに関する判定が、主な役割です。ランナーのセーフとアウトや、打球のフェアボール・ファウルボールを判断します。球審に要求されたときは、ハーフスイング(スイングを途中で止めたか)の判定を行うのも仕事の一つです。
外審
外審は、6人制のときに外野に配置される審判のことです。レフト側とライト側に1人ずつ計2人を配置します。主な役割は本塁打(ホームラン)かファウルボールかの判断です。
日本プロ野球の公式戦やオープン戦では、外審は廃止されています。外審を含む6人制を採用しているのは、日本シリーズとクライマックスシリーズ、オールスターゲームのみです。
控え審判
日本プロ野球における控え審判とは、担当審判の急病や事故のときに備える控えの審判です。試合中は控室にいて、いつでもグラウンドに出れるように審判服を着用しています。
ビデオ判定のリクエストがあった場合は、リプレー検証に参加するのも控え審判の役割。再検証を求められた審判を除いた審判2人と控え審判1人が行い、支持が多い判断が優先されます。
プロ野球で審判になる方法と年俸相場

プロ野球の審判になる方法と、プロ野球における審判の年俸相場についても紹介します。
審判学校を卒業して審判になる
日本プロ野球の場合、日本野球機構が行う審判学校(NPBアンパイア・スクール)を受講する必要があります。プログラム終了者のうち研究審判員として採用されるのは数名のみ。その後はプロ野球キャンプに参加し、適性審査に合格できれば、研修審判員または育成審判員としてNPBと契約が結ばれます。
メジャーリーグの場合は、プロ野球審判員養成学校の卒業が必要です。まずはマイナーリーグに入って経験を積み、メジャーリーグへの昇格を目指します。
プロ野球の年俸相場
日本プロ野球における審判の年俸は、以下の通りです。
種類 | 年俸 |
---|---|
NPB研修審判員 | 102万円程度(6ヶ月契約) |
NPB育成審判員 | 345万円程度 |
本契約 | 385万円程度 |
1軍通算出場試合数500試合+年間72試合以上出場 | 750万円 |
一軍公式戦の出場手当 | 球審:3万4,000円、塁審:2万4,000円、控え審判:7,000円 |
二軍公式戦の出場手当 | 2,000円 |
契約期間は本契約でも1年なので、毎年契約の更新が必要です。最低保証年俸+出場手当が年俸になり、ベテランの審判なら1,000万円を超えることもあります。
なお、メジャーリーグの場合は、2018年時点で最低年俸が15万ドル(約1650万円)です。ベテランなら45万ドル(約4950万円)になることもあります。
審判のジェスチャーとコール

審判の基本的なジェスチャーとコールを、一覧でまとめました。試合観戦前にチェックしておくと、より野球を楽しめるはずです。
項目 | 概要 | ジェスチャー&コール |
---|---|---|
プレイ | 試合の再開 | ピッチャーを指さして「プレイ」とコール |
タイム | 試合の一時停止 | 手を広げて両腕もしくは片腕をあげて「タイム」とコール |
アウト | 攻撃側のプレーヤーをプレイから除く | 右手で拳を作り肘を肩の高さまであげて「ヒーイズアウト」とコール |
セーフ | ランナーに塁の占有が認められた | 両腕を肩の高さにあげて開いて閉じ「セーフ」とコール |
フェア | 打球がフェアゾーンに入った | 腕をまっすぐに伸ばし人差し指でフェアゾーンを指差す |
ファウルボール | 打球がファウルゾーンに入った | 両腕を上げて手を開いて大きく出し「ファウル」とコール |
本塁打 | ホームラン | 右腕を真上にかかげて時計回りで数回まわす |
ボーク | 投手による送球の際の反則行為 | 右手で投手を指して「ザッツ・ボーク」とコール |
日本プロ野球では、ストライク判定のジェスチャーは審判によって異なります。ユニークなオリジナルポーズをとる審判員もいるので、ぜひ注目してください。
審判に注目してプロ野球の試合を観戦しよう
プロ野球の審判は、試合の適切な進行や判定の役割を担っています。その役割は重大で、一つの判断が試合の行方を左右することもあるほどです。
審判のジャッジに注目すれば、新しい視点でプロ野球の試合を楽しめます。判定の内容がわかるように、審判のジェスチャーとコールを予習しておくのがおすすめです。
ENSPORTS fanでは、野球観戦をたくさんの方々に楽しんでいただくために、観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらぜひチェックしてみてください。