野球では、一人ひとりの選手がポジションについて守備をおこないます。それぞれの役割を把握することで、より深い視点で野球を観戦できるはずです。 本記事では、野球のポジションごとに特徴と役割をまとめました。ポジションごとの守備番号・背番号や知っておきたい豆知識も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

野球のポジションごとの役割:バッテリー編

野球のバッテリーとは、ピッチャーとキャッチャーのペアのこと。試合の勝敗を左右するピッチャーとキャッチャーの基本的な役割について、紹介していきます。

ピッチャー(投手)

ピッチャーとは、ボールをキャッチャーに向かって投げる選手のことです。

  • 投球によって最小限に失点を抑える
  • バントやピッチャー返しなど打球を処理する
  • 走者に牽制球を投げて盗塁を防ぐ

複数の球種を組み合わせて投げることで、バッター(打者)から三振をとります。球速やコントロール力、フィジカルの強さが求められるポジションです。

キャッチャー(捕手)

キャッチャーは、防具やマスクを装着してキャッチャーミットをかまえ、ピッチャーの投球を受けます。

  • ピッチャーにコースと球種の指示を出す
  • ピッチャーが投げた投球をキャッチする
  • それた球を受け止めてランナーの進塁を防ぐ
  • 内野手に投げてランナーをタッチアウトにする
  • ホームベース(本塁)を守る
  • 守備位置のチェックと配置の指示をおこなう

キャッチャーはさまざまな役割がある内野のリーダーです。ホームベースからグラウンドを見渡して守備位置を確認しながら、指示をだします。

野球のポジションごとの役割:内野手編

野球の内野とは、本塁・一塁・二塁・三塁を結んだ区域を指します。内野を守る内野手の主な役割を、以下にまとめました。

ファースト(一塁手)

ファーストの守備範囲は一塁(ファーストベース)周辺です。捕球回数が多く、内野手の中では唯一ミットを使用できます。

  • 一塁でバッターやランナーをアウトにする
  • 一塁ラインの近くで転がったボールを捕球して一塁ベースにタッチする
  • 一塁にランナーがいるとき牽制球を受ける
  • 連携によるダブルプレー(併殺)でランナーをアウトにする

ファーストは、ピッチャーや他の野手からボールを受けることが多いポジション。確実にボールをキャッチするため、捕球に長けた選手がつくのが基本です。

セカンド(二塁手)

セカンドの守備範囲は二塁(セカンドベース)周辺で、内野の中心を守ります。

  • 二塁でランナーをアウトにする
  • 一・二塁間に転がったボールを捕球する
  • 連携によるダブルプレー(併殺)でランナーをアウトにする

セカンドは守備範囲がとても広く、打球が飛んでくる回数が多い傾向があります。高い判断力と、正確な送球が必要なポジションです。

サード(三塁手)

サードの守備範囲は、三塁(サードベース)周辺。右打者の鋭い打球が飛んでくる「ホットコーナー」とも呼ばれているエリアを守備します。

  • 三塁でランナーをアウトにする
  • 二・三塁の間に転がったボールを処理する
  • 連携によるダブルプレー(併殺)でランナーをアウトにする

サードは、ライナー性の打球(直線的に飛ぶ強い打球)に対して、瞬時に反応が求められるポジションです。内野の中では一塁までの距離があるので、送球のために強い肩が必要とされます。

ショート(遊撃手)

ショートは、二塁と三塁の間を守るポジションです。

  • 二塁と三塁間のボールを処理する
  • 内野手・外野手・ピッチャーをカバーする
  • 牽制や二塁への盗塁をカバーする
  • 連携によるダブルプレー(併殺)でランナーをアウトにする

守備範囲が広く高い技術が求められるので、一般的に守備が上手な人が配置されます。高い運動能力と、優れた判断能力が必要です。

野球のポジションごとの役割:外野手編

内野の後方にあるエリア(外野)を守るのが外野手です。レフト・センター・ライトの役割を、それぞれ解説します。

レフト(左翼手)

レフトの守備範囲はキャッチャーから左側です。

  • レフトに飛んできたフライやゴロを処理する
  • サードやショートの後方をカバーする
  • 二塁への送球をカバーする

ライト方向に飛んでくる右バッターの打球を、捕球することが多いポジションです。正確な捕球能力と、盗塁を防ぐ俊敏さが必要とされます。

センター(中堅手)

センターは、セカンドとショートの後方にある外野の中央エリアを守ります。

  • センターに飛んできたフライやゴロを処理する
  • レフトやライトをカバーする
  • 外野全体の守備を指揮する

レフトやライトと違いファウルゾーンに面しておらず、外野の中では守備範囲が広いのが特徴。足が早く捕球スキルが高い選手に向いていて、状況判断能力やリーダシップも必要です。

ライト(右翼手)

ライトの守備範囲は、キャッチャーから見て右側です。

  • ライトに飛んできたフライやゴロを処理する
  • ファーストやセカンドをカバーする
  • 一塁への送球をカバーする

三塁までの距離が遠く、ランナーの進塁を防ぐための強い肩が必要なポジションです。打撃の方向や強さに応じて素早く判断し、確実に捕球する能力が求められます。

野球のポジションごとの守備番号・背番号

野球 守備ポジションと守備番号
守備ポジションと守備番号

野球では、ポジションごとに以下のような守備番号が割り当てられています。スコアシートの表示や実況中継などで使用されるので、確認しておきましょう。

ポジション英語表記(略称)守備番号
ピッチャー(投手)Pitcher(P)1番
キャッチャー(捕手)Catcher(C)2番
ファースト(一塁手)First Baseman(1B)3番
セカンド(二塁手)Second Baseman(2B)4番
サード(三塁手)Third Baseman(3B)5番
ショート(遊撃手)Shortstop(SS)6番
レフト(左翼手)Left Fielder(LF)7番
センター(中堅手)Center Fielder(CF)8番
ライト(右翼手)Right Fielder(RF)9番

守備番号と背番号を一致させる決まりはありません。背番号18番など日本プロ野球でエースナンバーと呼ばれる番号はありますが、基本的には自由です。

ただし、高校野球や中学野球では、基本的に守備番号と背番号が一致しています。少年野球や大学野球だと背番号は自由ですが、キャプテンなど一部の選手の番号だけ決まっているのが一般的です。

野球のポジションに関する豆知識

野球のポジションに関する豆知識をまとめました。ポジションについて疑問を解消するために、ぜひチェックしてください。

Q1. 花形と呼ばれるポジションは?

A. 野球で花形と呼ばれるポジションはショートです。

内野手で最も守備範囲が広く、高い身体能力と技術力が求められます。そのため、攻・走・守に優れた選手が多いことが理由です。

また、攻撃の花形と呼ばれるのは打順が4番目の4番バッターです。チームの中でも長打力に優れていて、主にチャンスに強いバッターが務めます。

Q2. 守備のポジションにつかない選手はいる?

A. DH制(指名打者制)では、ポジションにつかない選手がいます。攻撃時にピッチャーの代わりに打席に立つ攻撃専門の選手で、守備にはつきません。

野球は9人で行うスポーツですが、DH制の場合、先発メンバーは10人になります。現在はメジャーリーグ(MLB)や日本プロ野球のパ・リーグ、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などで導入されているルールです。

Q3. ポジションが途中で変わることはある?

A. ポジションの変更(シートの変更)は認められています。審判に伝えることで、試合中のメンバー内で守備位置を変更することが可能です。

ちなみに、選手交代とポジションの変更は別物という点には注意。選手交代とは、試合中の選手とベンチに控えたメンバーを交代することです。選手交代に回数制限はありませんが、一度ベンチに戻った選手は再出場できません。

ポジションと役割に注目して野球観戦をしよう

野球では、ポジションごとに重要な役割があります。それぞれの適正にも違いがあるので、どのような選手がついているのか確認しましょう。

推しの選手がいれば、ポジションについて予習してみてはいかがでしょうか。選手一人ひとりのポジションに注目することで、野球観戦がより楽しいものになります。

ENSPORTS fanでは、野球観戦をたくさんの方々に楽しんでいただくために、観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらぜひチェックしてみてください。