プロ野球の監督にはさまざまな役割があり、その采配が勝敗を左右することもあります。監督について知ることで、より新しい視点で野球観戦ができるはずです。 本記事では、プロ野球監督の役割を紹介します。ユニフォームを着用する理由や年俸ランキング、名将と呼ばれるプロ野球監督とあわせてまとめました。

プロ野球監督の役割とは

プロ野球監督には、試合中や試合外で果たすべき役割があります。3つの重要な役割について、くわしく紹介するのでぜひチェックスしてください。

スターティングメンバーの決定

プロ野球の監督は、試合ごとにスターティングメンバーを決定します。守備位置や打順などは、各選手の能力や適性、コンディションを考慮して配置します。

また、審判に選手交代を告げるのも、プロ野球監督の重要な役割です。一度ベンチに戻った選手は再出場できないため、流れを読んで最適なタイミングで選手交代を選択しなければいけません。

チーム全体の指揮

試合中にはコーチと連携しながら指示を出します。盗塁やバントといった作戦指示を、適切なタイミングで冷静におこなうことが重要です。状況に応じた判断によって、チームを勝利に導きます。審判への抗議も監督しかできません。

練習中の技術的な指導はコーチの担当ですが、監督と情報を共有しています。練習を観察したり、選手に声をかけたりと、チーム全体に目をかけるのも役割の一つです。最近ではデータが重要視されており、采配に取り入れるプロ野球監督は増えています。

現場の責任者

プロ野球監督は、選手育成の方針をコーチと共有します。外部から補強が必要だと判断すれば、フロント(球団)に進言することも。現場の責任者であり、経営陣との橋渡し役もおこないます。

対選手や対コーチ、対球団において、信頼関係の構築が求められるため、コミュニケーション能力はかかせません。なお、メジャーリーグ(MLB)の場合は、監督は選手起用や勝敗の責任をもつフィールドマネージャーです。ゼネラルマネージャーの方針に従って、チームを運営します。

プロ野球監督になる方法とは?

プロ野球監督になるのは、どのような人なのでしょうか。プロ野球監督になる方法と、解任について解説します。

とくに資格は必要ない

プロ野球監督になるために、必要な資格や経歴はありません。ライセンス制度なども定められていないため、ルール上は誰でもなれるといえます。

ただし、チームの采配をするには、専門的な知識や経験が必要とされます。現役時代に功績を残したプロ野球選手が、監督を務めるのが一般的です。多くはコーチ経験をつんでから監督に就任します。

メジャーリーグの場合は、日本ほど現役時代の功績は重要視されません。それまでのコーチや監督の経験など、指導者としての能力を基準に決められるケースが多く、メジャーリーグ選手の経験がない監督も存在します。

日本プロ野球における休養は解任

日本プロ野球(NPB)では、シーズン途中で監督が解任されることはほとんどありません。成績不振などで解任する場合、一時的に休養という形をとるのが一般的です。

シーズン中は監督代行をたて、シーズン後は辞任や契約満了で解任になるのが一般的。メジャーリーグでは、シーズン途中に電撃解任されることもあります。

プロ野球監督がユニフォームを着用する理由

プロ野球の監督がユニフォームを着用しなければいけないルールは、ありません。伝統的にスーツを着用する理由は、以下のような説が一般的です。

  • 昔は監督が存在せずキャプテンがチームの指揮をとっていたから
  • 監督がフィールドに入れるスポーツだから

監督のユニフォームにも背番号はありますが、それぞれ番号は異なります。試合観戦の際には、ぜひ監督の背番号にも注目してください。ちなみにスーツを着用し続けた監督として、メジャーリーグのコニー・マックが有名です。

日本プロ野球監督の年俸ランキング

2025年における日本プロ野球監督の年俸は、以下の通りです。

球団年俸
阿部慎之助読売ジャイアンツ1億5,000万円
新庄剛志北海道日本ハムファイターズ1億5,000万円
三浦大輔横浜DeNAベイスターズ1億5,000万円
髙津臣吾東京ヤクルトスワローズ1億円
井上一樹中日ドラゴンズ1億円
小久保裕紀福岡ソフトバンクホークス1億円
藤川球児阪神タイガース8,000万円
岸田護オリックス・バファローズ8,000万円
吉井理人千葉ロッテマリーンズ8,000万円
新井貴浩広島東洋カープ7,000万円
西口文也埼玉西武ライオンズ7,000万円
三木肇東北楽天ゴールデンイーグルス4,000万円

日本プロ野球監督の年俸は相場で9,000万円です。メジャーリーグにおける監督の年俸の平均は、2024年シーズンの時点で250万ドル(約3億7500万円)となっています。

名将と呼ばれるプロ野球監督を紹介

名将と呼ばれる監督によって、チームが大きな成果を残すことは少なくありません。往年の名監督や現役の名監督について紹介します。

野村克也

現役時代のポジションキャッチャー(捕手)
監督歴東京ヤクルトスワローズ、阪神タイガース、シダックス、東北楽天ゴールデンイーグルス

日本プロ野球の中で唯一、選手と監督の両方で通算3000試合を達成。指導力や育成力に長けており、数多くの有名選手を育てました。「ID野球」や「野村再生工場」など、独自の野球哲学でも有名です。

星野仙一

現役時代のポジションピッチャー(投手)
監督歴中日ドラゴンズ、阪神タイガース、日本代表、東北楽天ゴールデンイーグルス

中日と阪神をセ・リーグ優勝に、さらに楽天をパ・リーグ優勝と日本一に導いた名将です。北京オリンピック野球日本代表の監督として、4位の結果を残しています。その熱く厳しい指導から、闘将と呼ばれていました。

落合博満

現役時代のポジション一塁手/二塁手/三塁手
監督歴中日ドラゴンズ

2004年から2011年まで中日の監督を務め、4度のリーグ優勝や日本一に導きました。ベンチで無表情を保っていたことが有名。選手が監督の顔色をうかがわないように意識して表情を保ち、プレッシャーを与えないことを徹底していました。

栗山英樹

現役時代のポジション外野手
監督歴北海道日本ハムファイターズ日本代表 

日本ハムで10年間監督を務め、2度のパ・リーグ優勝や日本一といった結果を残した名将です。大谷翔平選手の二刀流に理解を示し、育て上げた監督としても有名。2023年のWBC(ワールドベースボールクラシック)では、日本代表を優勝に導きました。

新庄剛志

現役時代のポジション外野手/内野手
監督歴北海道日本ハムファイターズ

日本人野手初のメジャーリーガーで、日本人として初めてワールドシリーズに出場しました。日本ハムの監督に就任後は、「BIGBOSS(ビッグボス)」の相性で親しまれています。若手を伸ばす育成力と、型破りな采配が特徴のプロ野球監督です。

工藤公康

現役時代のポジションピッチャー
監督歴福岡ソフトバンクホークス

現役時代にリーグ優勝14回と日本一11回を経験した、「優勝請負人」として有名。監督としても、ソフトバンクを3度のパ・リーグ優勝、5度の日本一に導いた名将です。球団屈指の理論派であり、さらにコミュニケーションにも力を入れていました。

デーブ・ロバーツ

現役時代のポジション外野手
監督歴ロサンゼルス・ドジャース

沖縄県那覇市生まれ、カリフォルニア州サンディエゴ出身のプロ野球監督です。就任1年目で地区優勝して、最優秀監督賞を受賞。さらに2度のワールドシリーズ制覇を経験しています。

ダスティ・ベイカー

現役時代のポジション外野手
監督歴サンフランシスコ・ジャイアンツ、シカゴ・カブス、シンシナティ・レッズ、ワシントン・ナショナルズ、ヒューストン・アストロズ 

監督をつとめた5つの球団をすべて地区優勝に導き、ポストシーズンに進出。5球団で地区優勝を獲得したのは史上最多です。監督通算2183勝を誇り、2022年には最高齢の73歳でワールドシリーズ優勝を果たしました。

野球観戦では監督の采配に注目しよう

スターティングメンバーの決定やチーム全体の指揮など、プロ野球監督の役割はさまざまです。ベンチやフィールドから指示をだすので、観客席でも様子を確認できます。

作戦判断や選手交代など、試合中に大きな決断をせまられることも。野球観戦をさらに楽しむために、ぜひ監督の采配に注目してください。

ENSPORTS fanでは、野球観戦をたくさんの方々に楽しんでいただくために、観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらぜひチェックしてみてください。