コールドゲームとは

まずは野球におけるコールドゲームの基礎知識をまとめました。英語のスペルをふまえたうえで、くわしい意味をチェックしておきましょう。
試合が途中で打ち切りになること
コールドゲームとは、なんらかの理由で試合の続行が難しくなって打ち切られることです。9回など終了とするイニングに満たない場合でも、その時点で試合を成立とします。
宣告する権利をもつのは審判だけ。宣告された時点の点差によって勝敗が決まるため、再度試合をすることはありません。点差や悪天候など適用される条件は試合によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
英語スペルはcalled game
コールドゲームの英語スペルは、called gameです。calledはcall(呼びかける・判定)の過去形で、call offは「中止させる」といった意味があります。
つまりcalled gameは、中止させられた試合、という意味。雨が降って寒いことから連想するcold game(寒い試合)と勘違いされやすいので、英語スペルに注意してください。
コールドゲームが適用される条件

コールドゲームが適用される条件は、以下の2つにわかれます。なぜコールドゲームが宣告されるのか解説するので、ぜひチェックしてください。
点差が開きすぎたとき
試合内で点差が開きすぎたとき、逆転が不可能と判断されて試合が打ち切りになります。具体的には試合成立とされるイニングまでに、規定の点差を超えたときです。
点差コールドが適用されるイニング数と点差には、明確なルールがあります。点差コールドを採用している大会やリーグも限られているので、試合観戦前にあらかじめ確認しておきましょう。
悪天候で試合続行が不可能になったとき
豪雨や雷などの悪天候や日没によって、試合続行が不可能になったときです。明確な基準は定められておらず、審判の判断で適用されます。一般的な大会やリーグにおけるコールドゲームは、こちらの雨天コールドのみと考えて問題ありません。
正式な試合として認められるイニング数まで終了していた場合に限り、雨天コールドを適用します。日本プロ野球(NPB)やメジャーリーグ(MLB)では、5回成立以降が条件です。特定のイニング数まで終了していないときは、雨天コールドは適用されません。
コールドゲームが適用される試合

コールドゲームが適用される試合をまとめました。点差コールドと悪天コールドにわけて紹介します。
点差コールドが適用される試合
点差コールドが適用される試合は以下のとおりです。
適用される試合 | 適用条件 |
---|---|
アジアシリーズ予選リーグ | 7回以降:10点差以上 |
WBCの予選第1次・第2次リーグ | 5・6回:15点差以上7・8回:10点差以上 |
社会人野球3大大会(決勝戦以外) | 7回・8回終了時:10点差以上 |
オリンピック | 5・6回終了時:15点差以上7・8回終了時:10点差以上 |
一部の高校野球の地方大会(決勝戦以外) | 5回以降:10点差以上7回以降:7点差以上 |
一部の中学野球 | 大会により異なる |
少年野球 | 4回終了時:10点差以上5回終了時:7点差以上 |
日本プロ野球やメジャーリーグでは、点差コールドは採用されていません。上記の適用条件は2025年7月時点のものなので、試合観戦の際にはあらかじめ確認しておきましょう。
悪天候コールドが適用される試合
悪天候コールドは、以下のような試合に適用されます。
適用される試合 | 適用条件 |
---|---|
日本プロ野球 | 5回目以降 |
アジアシリーズ | 5回目以降 |
メジャーリーグ | 5回目以降 |
WBC | 5回目以降 |
社会人野球 | 7回目以降・4回目以降など |
高校野球(一部の都道府県大会) | 7回目以降 |
中学野球 | 4回目以降・5回目以降など |
少年野球 | 4回目以降・5回目以降など |
メジャーリーグやプロ野球の場合、5回からコールドゲームが適用されます。その他の試合成立のイニング数は大会によって異なるため、あらかじめ確認しておくのがおすすめです。
高校野球におけるコールドゲームのルール

高校野球では、コールドゲームに独自のルールを定めているという点も留意しておきましょう。点差コールドと悪天候コールドに分けて、ルールを解説します。
点差コールドのルール
正式試合で点差コールドを採用する場合、5回以降10点差以上、7回以降点差以上で統一されています。ただし、適用されるのは一部の地方大会のみです。
甲子園(選抜高等学校野球大会・全国高等学校野球選手権大会)や全国軟式選手権では、得点差によるコールドゲームは適用されません。観戦する大会の規定を、あらかじめ確認しておきましょう。
悪天候コールドは廃止
甲子園と全国軟式選手権では、2022年にコールドゲームやノーゲームが廃止されました。以前は7回目以降から悪天候コールドが適用されていましたが、現在は継続試合が採用されています。
悪天候などで試合継続が難しくなったときは、翌日以降に同じ状況から始めるケースが多くなってきています。ゲリラ豪雨の増加など気象の変化への対応や、選手の負担軽減などが目的です。
なお、都道府県大会の場合は、悪天候コールドが導入されているケースもあります。
類似のルールとコールドゲームとの違い

コールドゲームとあわせて確認しておきたい、類似のルールをまとめました。それぞれの意味と、コールドゲームとの違いを解説します。
ノーゲーム
ノーゲームとは、正式な試合として成立していない無効試合のことです。適用された場合、すべての記録は無効になります。後日最初から試合をすることになり、入場券は払い戻しになるのが一般的。
ノーゲームとコールドゲームの違いは、適用時のイニング数です。試合成立の規定イニングに達しないときはノーゲーム、達している場合はコールドゲームになります。
サスペンデッドゲーム
サスペンデッドゲームとは、一時停止試合のことです。設備の故障や日没などで、試合続行が不可能になったときに適用されます。現在日本プロ野球では採用されていませんが、メジャーリーグでは照明の故障や天災でサスペンデッドゲームになることも。
コールドゲームでは終了時の点差で決着がつくため、再試合はありません。一方のサスペンデッドゲームは、後日あらためて中断した状態から試合を再開します。
フォーフィッテッドゲーム
フォーフィッテッドゲームは、没収試合を意味します。一方のチームがなんらかの事情により、試合開始・続行が困難になったときに適用されます。たとえば問題を起こしたり、怪我などによって9人が揃わなかったりしたときです。
コールドゲームは規定のイニング以降に適用され、その時点の点差で勝敗が決まります。フォーフィッテッドゲームは、事情が発生したとき起因となったチームの負けになるルールです。
タイゲーム
タイゲームとは、引き分けのことです。試合終了時に同点だったときに、審判がタイゲームを宣言します。ルールによってはタイゲームが適用されず、点差がつくまで延長戦をすることも。延長戦は12回制とタイブレーク制に分かれます。
コールドゲームは、9イニングなど規定のイニングに満たない状態で終了することです。一方のタイゲームは規定のイニングを満たしたうえで、同点だったときに適用されます。
コールドゲームの適用条件を確認しておこう
コールドゲームには、点差コールドと悪天候コールドがあります。それぞれ適用される試合や条件は異なるので、試合観戦の前にチェックしておきましょう。
試合成立のイニング数に満たない場合は、ノーゲームとして無効試合になります。それぞれその後の対応も異なるので、もしものときのために確認しておくと安心です。