サッカーの背番号が持つ意味とは?
サッカーの背番号はただ選手を見分けるためのものではなく、さまざまな意味を持っています。
ここでは背番号とポジションの関係や、背番号の決め方など、サッカーの背番号の大枠を解説していきます。
背番号とポジションの関係性
サッカーの背番号は、実はポジションと関係性があるのです。
もちろん「このポジションの選手は、この背番号でなければならない」といった厳密なルールは存在しませんが、昔は風習として背番号でポジションを固定していた時代もあったなど、背番号とポジションは強い関係性を持っていました。
そういった背景もあり、背番号の持つ意味合いが薄れてきた現代でも、ポジションごとに対応する大まかな背番号の傾向が残っているのです。
背番号の決め方
では背番号は、誰が決めているのでしょうか。実は背番号の決まり方は、年代やケースによって異なるのです。
一般的に、小中高生の部活動などでは監督が背番号を決めることが多く、プロの場合は自分で好きな背番号を選択できるチームがほとんどです。
とはいえプロであっても、他の選手と被らないように背番号を選ぶ必要があるため、先約がいた場合は好きな背番号を付けられません。
そのため他の選手と被らないよう、あえてユニークな背番号を選ぶ選手もいるのです。
エース番号は10番とは限らない
背番号の持つ意味は、チームによって異なる場合もあります。
たとえばサッカーにおけるエース番号は10番と言われますが、世界的に有名なクラブ、マンチェスターユナイテッドでは7番が伝統的なエース番号とされています。
他にも日本のセレッソ大阪では、歴代で活躍した選手の付けていた8番がエース番号として継承されているのです。
このように背番号の持つ意味はチームごとにも違いがあるため、各チームのエース番号を知ることで、よりサッカー観戦を深く楽しめるのではないでしょうか。
サッカーの背番号とポジションの関係
ここではレギュラー番号とされる1~11番に対応する背番号について、紹介していきます。
現代では背番号の持つ意味も徐々に薄れているため例外は多くありますが、ポジションと背番号の関係性を理解する際の参考にしてみてください。
1番|ゴールキーパーがつける背番号
背番号1番は、ゴールキーパーが付けることの多い番号。
Jリーグなどの一部のリーグでは「背番号1番はゴールキーパーしか付けられない」というルールが決められている場合もあります。
1番に関しては、キーパー以外の選手が付けることはほとんどありません。
2〜5番|ディフェンダーがつける背番号
背番号2~5番は、ディフェンダーの選手が付けることの多い番号。
特に2番・3番は、サイドのエリアを守る「サイドバック」、4番・5番は中央エリアを守る「センターバック」の選手が付ける傾向が見られます。
また背番号6番の選手がディフェンダーとしてプレーすることもあり、「若い番号はディフェンダーが付ける番号」というイメージが浸透しているようです。
6〜8番|ミッドフィルダーがつける背番号
背番号6~8番は、ミッドフィルダーの選手が付けることの多い番号。
特に6番・8番は中盤の中央エリアでプレーする「ボランチ」、7番は中盤のサイドエリアでプレーする「サイドハーフ」の選手が付ける傾向が見られます。
また守備的なミッドフィルダーとして4番、攻撃的なミッドフィルダーとして10番を付ける選手がプレーすることもあります。
9〜11番|フォワードがつける背番号
背番号9~11番は、フォワードの選手が付けることの多い番号です。
一般的に9番・11番は「ストライカー」の選手、10番はチームの「エース」を担う選手が付けるイメージ。
スリートップを採用するフォーメーションの場合は、センターフォワードに9番、「ウイング」に10番と11番の選手が配置される傾向があります。
サッカーの背番号ごとに求められる役割と有名選手
背番号とポジションに関係性があることを前章で紹介しました。
ここではさらに深堀りをして、1〜11番を付けて活躍した有名選手のプレースタイルを具体例に挙げながら、背番号ごとの特徴と役割を考察していきます。
背番号1番の役割と活躍した有名選手
- ピーター・シュマイケル(デンマーク)
- オリバー・カーン(ドイツ)
- レフ・ヤシン(ソ連)
- イケル・カシージャス(スペイン)
- 川口能活(日本)
背番号1番は、正ゴールキーパーの選手が付けることの多い番号。
イケル・カシージャスのように、反射神経とジャンプ力を活かしてあらゆるシュートに対応し、ゴールを守る能力が必要になります。
またオリバー・カーンのように、最後尾から味方に的確な指示を与えて、守備組織をコントロールすることも重要な要素。
このように背番号1番には、ゴールを守ることはもちろん、コーチングを駆使してディフェンスラインを統率する役割も求められているのです。
背番号2番の役割と活躍した有名選手
- カフー(ブラジル)
- ギャリー・ネビル(イングランド)
- ダニエル・カルバハル(スペイン)
- ジュゼッペ・ベルゴミ(イタリア)
- 内田篤人(日本)
背番号2番はサイドバック、の中でも右サイドバックの選手が付けることの多い番号。
カフーやギャリー・ネビルのように無尽蔵のスタミナを活かして、90分間走り続けるプレースタイルの選手が多いようです。
また試合中には相手のアタッカーと対峙する場面が何度もあるため、単純なスプリントスピードも必要になるでしょう。
このことから、背番号2番を付ける選手には豊富な運動量とスタミナを活かして、90分間攻守においてハードワークする役割が求められると言えます。
背番号3番の役割と活躍した有名選手
- パオロ・マルディーニ(イタリア)
- ロベルト・カルロス(ブラジル)
- アシュリー・コール(イングランド)
- 秋田豊(日本)
- 松田直樹(日本)
背番号3番は左サイドバックの選手が付けることの多い番号。
プレースタイルを見ると、ロベルト・カルロスやアシュリー・コールのように、キック精度に優れたサイドバックの選手が多い傾向にあります。
一方日本では、秋田豊や松田直樹のようにヘディングで競り負けないパワフルな選手が活躍した印象が強く残っています。
またパオロ・マルディーニのように、サイドバックとセンターバックを兼任する選手も3番を付けて活躍していました。
背番号3番には、キック精度を活かしてサイドからセンタリングを供給する攻撃的な役割、ヘディングで相手の制空権を奪う守備的な役割のいずれかが求められそうです。
背番号4番の役割と活躍した有名選手
- ハビエル・サネッティ(アルゼンチン)
- ヴァンサン・コンパニ(ベルギー)
- パトリック・ヴィエラ(フランス)
- ジョゼップ・グアルディオラ(スペイン)
- 田中マルクス闘利王(日本)
背番号4番は、身体能力の高い守備的な選手が付けることの多い番号。
ヴァンサン・コンパニや田中マルクス闘利王のように、相手の攻撃を跳ね返せるだけの圧倒的なフィジカルの強さを兼ね備えた選手が4番を背負っています。
最近ではディフェンダーにとどまらず、パトリック・ヴィエラのようなボランチの選手が起用されることもあり、ダイナミックな動きで縦横無尽にピッチを駆け回る能力も求められるようになってきました。
このことから、背番号4番には優れた身体能力と、豊富な運動量が求められます。
背番号5番の役割と活躍した有名選手
- フランツ・ベッケンバウアー(西ドイツ)
- カルレス・プジョル(スペイン)
- ファビオ・カンナバーロ(イタリア)
- クラウス・アウゲンターラー(ドイツ)
- 宮本恒靖(日本)
背番号5番は、守備範囲の広いディフェンダーの選手が付けることの多い番号。
カルレス・プジョルやファビオ・カンナバーロのように、危機察知能力を活かしたカバーリングを得意とする選手が付けることが多いようです。
またフランツ・ベッケンバウアーのように、守備範囲の広さを活かしてスリーバックのスイーパー(中央)として起用されることもあります。
以上のことから、背番号5番には相手の攻撃の芽を的確に摘む役割を求められそうです。
背番号6番の役割と活躍した有名選手
- シャビ・エルナンデス(スペイン)
- サミ・ケディラ(ドイツ)
- ポール・ポグバ(フランス)
- フランコ・バレージ(イタリア)
- 森保一(日本)
背番号6番は、守備的ミッドフィルダーの選手が付けることの多い番号。
6番と言えばシャビ・エルナンデスのように、正確無比なパスで試合をコントロールできる選手が付けるイメージがあるかもしれません。
しかしサミ・ケディラのように、中盤で相手のキーマンをマークして自由にプレーさせないことに特化した選手が付ける傾向にあります。
背番号6番には、周囲の選手の守備負担を減らす役割が求められているのです。
背番号7番の役割と活躍した有名選手
- デイビット・ベッカム(イングランド)
- ルイス・フィーゴ(ポルトガル)
- アンドリー・シェフチェンコ(ウクライナ)
- ラウール・ゴンザレス(スペイン)
- 中田英寿(日本)
背番号7番は、サイドからのチャンスメイクを得意とする選手が付けることの多い番号。
プレースタイルを見ると、デイビット・ベッカムのようにキック精度を活かしてセンタリングからチャンスメイクするタイプ、ルイス・フィーゴやアンドリー・シェフチェンコのように、ドリブルで相手をかわしてチャンスメイクするタイプに分かれるようです。
このことから、背番号7番にはセンタリングやドリブルから攻撃の起点となる役割が求められると言えます。
背番号8番の役割と活躍した有名選手
- カカ(ブラジル)
- アンドレス・イニエスタ(スペイン)
- フランク・ランパード(イングランド)
- ジェンナーロ・ガットゥーゾ(イタリア)
- 森島寛晃(日本)
背番号8番は、中央からのチャンスメイクを得意とする選手が付けることの多い番号。
イニエスタのように繊細なスルーパスからチャンスメイクするタイプ、フランク・ランパードのように強烈なミドルシュートでゴールを狙うタイプの選手に分かれそうです。
このことから背番号8番には、スルーパスやシュートといったキックセンスを活かして、ゴールにつながるプレーを求められています。
背番号9番の役割と活躍した有名選手
- ロナウド(ブラジル)
- フィリッポ・インザーギ(イタリア)
- フェルナンド・トーレス(スペイン)
- ガブリエル・バティストゥータ(アルゼンチン)
- 中山雅史(日本)
背番号9番は、ストライカータイプの選手が付けることの多い番号。
ロナウドやガブリエル・バティストゥータのように、フィジカルの強さを活かしてゴールを狙うタイプと、フィリッポ・インザーギやフェルナンド・トーレスのように、一瞬のスピードとゴール前の駆け引きによってゴールを狙うタイプの2パターンに分かれてます。
いずれにせよ、背番号9番には常にディフェンダーと駆け引きしながらゴールに近いポジショニングを取り、一瞬のスキをついて得点を奪う役割が求められるでしょう。
背番号10番の役割と活躍した有名選手
- ペレ(ブラジル)
- マラドーナ(アルゼンチン)
- ロナウジーニョ(ブラジル)
- フランチェスコ・トッティ(イタリア)
- ラモス瑠偉(日本)
背番号10番は、チームのエースとなる選手が付けることの多い番号。
マラドーナやロナウジーニョのように、抜群のボールコントロールとアイデアを活かした遊び心のあるドリブルで、相手を翻弄するタイプの選手が付ける傾向があります。
他にもフランチェスコ・トッティのように、セットプレーのキッカーを任されることも多く、キック精度まで兼ね備えたオールラウンダーも。
このことから背番号10番は、斬新なアイデアとそれを実現するだけのテクニックを活かし、チームのエースとして攻撃を牽引する役割が求められています。
背番号11番の役割と活躍した有名選手
- ロマーリオ(ブラジル)
- ミロスラフ・クローゼ(ドイツ)
- ディディエ・ドログバ(コートジボワール)
- ライアン・ギグス(ウェールズ)
- 三浦知良(日本)
背番号11番も9番と同様、ストライカータイプ選手が付けることの多い番号。
ロマーリオやライアン・ギグスのように、自らドリブルでゴールに迫るタイプ、ミロスラフ・クローゼやディディエ・ドログバのように、高さを活かしたヘディングでのゴールを得意とするタイプが見られます。
9番との違いとして、背番号11番にはゴール前でのポジショニングだけでなく、自らドリブルやポストプレーでチャンスメイクする役割も求められています。
ユニークな背番号をつけたサッカーの有名選手を紹介
有名選手であるにもかかわらず、1〜11番以外の背番号を付けてプレーするサッカー選手が多いことに疑問を持ったこともあるかもしれません。
サッカー選手の中には背番号に強いこだわりを持ち、ユニークな背番号を選ぶ選手もいるのです。
こうした背番号の背景まで視点を広げることで、サッカーの奥深さを理解できますので、ここではユニークな背番号をつけた有名選手を紹介していきます。
サポーター|背番号12番
日本では背番号12番をサポーターの番号と考え、選手に与えていないチームも見られます。
12番をサポーターの番号にするのは、「12人目のプレーヤーとして選手を後押ししてほしい」というクラブ側の想いから。試合前には12番の横断幕が掲げられ、12番のユニフォームを着て観戦に訪れる方も多くいるのです。
セルヒオ・ラモス|背番号15番
長年にわたってスター軍団、レアルマドリードのキャプテンを務め、スペイン代表としてワールドカップ優勝も経験しているセルヒオ・ラモス。
華々しい栄光の影に、若手時代に一緒にプレーしていた親友を亡くした過去を持ちます。その親友がスペイン代表初キャップの試合で付けていたのが15番。
そのような背景から、セルヒオ・ラモスは15番を背負ってプレーするようになったのです。
リオネル・メッシ|背番号30番
2021年までに合計7度もバロンドールを受賞している、アルゼンチン代表のリオネル・メッシ。
バルセロナ所属時代、10番を付けていましたが、2021年パリサンジェルマンに移籍した際には30番を選びました。
新天地での新たなチャレンジにあたり、バルセロナでのトップチームデビュー時に付けていた思い出の背番号30番を選択したのです。
ジョアン・カンセロ|2、7に関連した背番号
インテル、ユベントス、マンチェスターシティといったビッグクラブを渡り歩いた経歴を持つポルトガル代表のジョアン・カンセロ。
2013年に交通事故で母を亡くし、それ以降は彼女の誕生日である2月7日にちなんだ、7番や20番、27番などの背番号を着用し続けています。
マンチェスターシティ加入後は、一貫して27番を付けているのです。
ジャンルイジ・ドンナルンマ|背番号99番
16歳の若さでセリエAデビューの偉業を打ち立てたイタリア代表のゴールキーパー、ドンナルンマ。
1999年生まれの彼は、正ゴールキーパーであったミラン時代でも99番の背番号を着用していました。
その後パリサンジェルマンに移籍しましたが、フランスリーグのルールの関係上99番を付けられないため、現在は50番を付けてプレーしています。
長友佑都|5にまつわる背番号
長年にわたって日本代表に名を連ね、イタリアの名門インテルでもプレーした長友佑都。
彼は「5」に強いこだわりを持っており、日本代表では5番、インテルでは55番、Jリーグに復帰した際には50番を着用していました。
2022年シーズンからは、所属クラブでの背番号を愛着の強い5番に変更しています。
家長昭博|背番号41番
2021年までに3度のJリーグベストイレブンに選出されている、家長昭博。
彼は若手時代から長年14番を付けていましたが、Jリーグに復帰する際に他の選手が14番を付けていたことから、数字をひっくり返した41番を付けるようになりました。
その後移籍先でも41番を着用し続けており、家長へのリスペクトから41番を選ぶ選手も出てくるほど、Jリーグでは有名な番号となりました。
まとめ
いかかでしょうか。
お気に入りの選手がその背番号を付けている理由や背景まで視点を広げることで、より深くサッカー観戦を楽しめるはずです。
サッカー観戦の際には、ポジションと背番号に着目して視聴してみてください。