サッカーのスイーパーとは

サッカーのスイーパーとは、ディフェンスのポジションのひとつです。
最終ラインであるディフェンダーラインの最後尾に位置し、相手の攻撃に対して最終的なカバーを行います。
日本語では「掃除屋」とも訳され、守備の裏を突かれた際にそのエリアを掃除するかのように対応する役割を担います。
攻撃に積極的に参加するスイーパーは「リベロ」と呼ばれ、守備が攻撃に転じることで相手選手を混乱させることが可能です。
現代サッカーでは戦術の進化により純粋なスイーパーは減少傾向にありますが、その役割を現代風にアレンジして果たす選手も存在します。
サッカーのスイーパーの役割

サッカーのスイーパーの概要を理解できたところで、つづいては彼らの役割をさらにくわしく解説します。
カバーリング
スイーパーの最も基本的な役割は、相手選手が最終ラインを突破しようとしたときに攻撃を阻止することです。
相手選手がボールを保持している際に、積極的にプレッシャーをかけてボール奪取を試みます。
また、相手選手の動きを読み、早めに対応することも重要です。スイーパーはチームの「最後の砦」として、失点を防ぐ重要な役割を担います。
攻撃の起点となる
スイーパーは守備のみでなく、攻撃の起点としても機能します。
相手の攻撃を食い止めた直後、前線に的確なパスを供給することで、チームの攻撃をスムーズにスタートさせることができます。
味方に指示を出す
守備全体を後方から俯瞰できるスイーパーは、仲間に指示を出す司令塔的な役割も持ちます。
具体的には味方のポジショニング、ラインの上げ下げ、マークの受け渡しなどを指示します。
スイーパーには、的確な指示を出すための判断力やリーダーシップが必要不可欠です。
サッカーのスイーパーに求められる能力

失点を防ぐ重要な役割を担うスイーパーには、さまざまな能力が求められます。
ここでは、サッカーのスイーパーに求められる能力を6つ紹介します。
体力や筋力
スイーパーが90分間集中を切らさずにプレーし続けるためには、基本的な体力が不可欠です。
また、競り合いや接触を伴うプレーが多いため、当たり負けしない強靭な筋力も求められます。
接触プレーでの優位性が、スイーパーの信頼感に直結します。
瞬発力
スイーパーは敵陣近くまで前進して攻撃参加することもあるため、瞬発力が求められます。
また、ピンチの場面では動き出しが遅れると命取りになります。
スイーパーはスピードというよりも「反応の速さ」が問われるポジションと言えるでしょう。
ボールコントロール能力
スイーパーは相手の攻撃を食い止めた後、慌てずにボールをコントロールする必要があります。
トラップやドリブルでの落ち着いた対応が、チームの攻撃のチャンスにつながります。
パス精度
スイーパーにはボールを奪った後、正確なパスで攻撃の起点となることが求められます。
守備の最終ラインから前線に正確なパスを出せるスイーパーは、攻撃面でもチームに貢献が可能です。
判断力
常に最適な位置取りや、前に出るか引くかの判断が要求されるスイーパーにとって、判断力は必要不可欠です。
スイーパーが判断を誤ると、失点を許したりチャンスを逃したりする恐れがあります。
判断力と同時に、ボールの流れを読む能力も必要不可欠です。
ボールの流れを的確に読むことができるスイーパーであれば、急な判断を下さなくてはならないシーンも少なく、冷静なプレーができます。
リーダーシップ能力
スイーパーは守備のリーダー的存在なため、高いリーダーシップ能力が必要不可欠です。
常に冷静さを保ち、味方に指示を飛ばしたり励ましたりすることが求められます。
試合中にリーダーシップを発揮できるように、日頃からチームメイトとコミュニケーションを取ることも重要です。
初心者がおさえたいスイーパーの基本動作

スイーパーの基本動作は、ディフェンダーラインの最後尾に位置し、「最後の砦」として相手選手に対応することです。
また、他のディフェンダーが抜かれたときや危険なスペースをカバーするために、広範囲なカバーリングを行います。
スイーパーの役割はこぼれたボールの処理がメインとなるため、個人でボールを奪いに行くことはほぼありません。
スイーパーが攻撃に参加するのは、主に相手の攻撃を食い止めた直後です。
前線に的確なパスを供給することで、チームの攻撃の起点となります。
スイーパーの歴代有名サッカー選手

スイーパーとして有名な歴代選手を紹介していきます。
フランコ・バレージ(イタリア)は、 ACミランの黄金時代を支えた伝説的スイーパーです。
フィジカルに優れているうえ、的確な指示と全体の流れを読む能力も一級品。相手の攻撃を阻止し、ときには相手陣内深くまで切り込むこともありました。
同じくイタリア出身のパオロ・マルディーニは、ミランの象徴とまで呼ばれた存在です。
史上最高の左サイドバックとも評される一方で、センターバックやスイーパーとしての能力も備えていました。
日本人選手でスイーパーに最も近いのは、ガンバ大阪で活躍した宮本恒靖です。
的確なカバーリング能力とリーダーシップにより、2002年と2006年のFIFAワールドカップではキャプテンを務めました。
サッカーのスイーパーに関するQ&A

最後に、サッカーのスイーパーに関するよくある質問に回答します。
Q1. 現代サッカーでのスイーパーの必要性は?
現代サッカーではゾーンディフェンスが主流となり、スイーパーという専任ポジションはあまり見られなくなりました。
ゾーンディフェンスとは、ピッチを複数のゾーンに分割し、各選手が担当するゾーンを守るディフェンス戦術です。
とはいえ、アマチュアや学生サッカーでは今も採用しているチームは多くあります。
Q2. スイーパーとストッパーの違いは?
ストッパーは相手チームのフォワード選手をマンツーマンでマークし、攻撃させないようにするポジションです。
スイーパーはストッパーのやや後方に位置し、主にこぼれ球の処理やカバーリングをこなします。
両者は密接に連携しながら守備の最後尾を構成します。
サッカーのスイーパーはチームの「掃除屋」
サッカーのスイーパーはチームの「掃除屋」として、カバーリングやこぼれ球の処理などを担う重要な存在です。
相手の攻撃の芽を摘み、攻撃の起点となるスイーパーは、勝敗のカギを握っているといっても過言ではありません。
近年プロサッカーではあまり見られなくなったポジションですが、アマチュアや学生サッカーでは採用しているチームも存在します。
スイーパーの存在や役割を知ることで、よりサッカー観戦を楽しめるはず。試合の際、スイーパーのポジションについている選手を見たら、この記事で解説した内容を意識して観戦してみてください。