延長戦の基本ルールとは

延長戦の基本ルールをまとめました。実施される条件や時間など、サッカー観戦で役立つ延長戦の知識を解説します。
延長戦はトーナメント戦だけ適用される
サッカーにおいて延長戦が実施されるのは、勝ち抜き形式のトーナメント戦で、前半と後半あわせて90分の試合時間では勝敗が決まらなかった場合。延長戦によって最終的な勝利チームを決定します。
たとえば、ワールドカップや地域リーグの決勝トーナメントなどでは、延長戦が実施されることが多いです。ここで勝敗が決めるわけですから、観客は選手たちの緊張感あふれるプレーを観ることができることでしょう。
全てのチームが総当たりするリーグ戦では必ずしも勝敗をつける必要がないため、延長戦はありません。試合時間の90分で決着がつかない場合は、そのまま引き分けになります。
なお、Jリーグでは通常、1試合で最大5名の選手交代が許可されています。しかし、延長戦に突入した場合には追加で1名、前後半とあわせて合計6名まで選手交代ができるため、戦術的な柔軟性が増します。
このルールにより、監督は延長戦という試合の重要な局面に新たな選手をフィールドに送り込むことで、勝利に向けた戦略をさらに練ることができるのです。
延長戦の時間は計30分
プロサッカーの延長戦は、前半と後半にそれぞれ15分ずつ、計30分の時間が設けられています。
この30分間、通常の試合と同様に選手は全力を尽くし、得点を目指して戦います。
選手たちの体力が消耗している中での戦いとなるため、一瞬の判断やプレーで勝敗が決まることも多く、サポーター・観客たちも息を飲むような試合展開が期待できるでしょう。
また、延長戦の開始前に5分間の休憩時間があり、ハーフタイムはありません。ハーフタイムの代わりとして、前半と後半の間に1分ほどの短い給水時間があります。
年代によって延長戦の時間は異なる

ひとくちにサッカーの延長戦といっても、年代によって行われる時間が異なります。
年代ごとの延長戦の時間は、以下のとおりです。
プロサッカー | 前半・後半15分/合計30分 |
高校サッカー | 前半・後半10分/合計20分 |
中学サッカー | 前半・後半10分/合計20分 |
少年サッカー | 前半・後半5分/合計10分 |
サッカーの試合では、大会によって変更される場合もありますが、年代ごとの体力の違いを考慮して、延長戦の試合時間も調節されています。
延長戦の方式は3種類に分けられる

サッカーの延長戦の方式は3種類に分けられます。
それぞれのルールをわかりやすく紹介するので、ぜひ参考にしてください。
フルタイム方式
フルタイム形式とは、前半と後半がそれぞれ15分の合計30分でおこなわれる形式のこと。得点の有無は関係なく、必ず30分間の延長戦を最後まで実施します。
このフルタイム形式は、現在のサッカーではもっともスタンダードな方式です。
1995年まではフルタイム形式が主流でしたが、その後はしばらくゴールデンゴール形式やシルバーゴール形式が採用されていました。しかし、公平性の観点から2004年にフルタイム形式が再び取り入れられ、現在に至ります。
ゴールデンゴール方式
ゴールデンゴール方式(Vゴール方式)は、どちらか片方のチームが得点を入れた時点で延長戦が終了します。この方式では、先に1点を入れた方のチームが勝者です。
1991年にJリーグではじめて導入され、その後に国際大会などでも採用されるようになりました。
しかし、1点だけで勝敗が決まることが不公平だという声があがったことから、現在では採用される機会が少なくなっています。
シルバーゴール方式
シルバーゴール方式は、延長戦の前半終了時点で片方のチームが勝ち越していた場合に勝敗が決定します。前半で多く点を入れたチームの勝利になり、延長戦の前半に先制点があると、後半の15分は行われません。
延長戦の後半に入った場合、片方のチームが得点しても中断せずに最後まで試合を続行します。2002年日韓ワールドカップ後に導入されましたが、前半だけで試合が終わることが不公平との意見があり、現在では採用されていません。
延長戦で決着がつかない場合はPK戦へ

延長戦で得点が入らない場合、PK戦で決着をつけることになります。
PK戦のルールについて、わかりやすく解説しましょう。
両チーム5人ずつが蹴り合って勝敗を決める
PK戦では、審判のコイントスによって先攻のチームを決定します。PKをする選手とゴールキーパーの1対1の形式で、チームが交互に5本ずつ蹴ることが基本のルールです。
それぞれ5本ずつ蹴りあったあと、得点が多いチームが勝者になります。途中で3対0になった場合は逆転が不可能になるため、その時点で試合終了です。なお、大会によっては、延長戦を挟まずそのままPK戦に入るケースもあります。
PK戦は得点が入るまで続く
5回ずつのキックで同点の場合、どちらかに得点が入るまでPK戦が続けられます。片方がゴールに成功して、もう片方が失敗したときに勝敗が決まるのです。
6人目から順番に蹴り、11人でも決着がつかないときは2巡目に入ります。2巡目の順番は1巡目と変更してもOKです。なお、試合中に退場を命じられた選手は、PK戦に参加できません。
延長戦とあわせてチェックしておきたいタイムルール

延長戦以外にもさまざまなタイムルールがあるため、覚えておくのがおすすめです。基本的な知識を身につけることで、サッカー観戦がさらに楽しめます。
プロサッカーの試合時間
試合時間 | ハーフタイム | |
---|---|---|
プロサッカー | 前半・後半45分/合計90分 | 15分 |
高校サッカー | 前半・後半40分/合計80分 | 10分 |
中学サッカー | 前半・後半30分/合計60分 | 10分 |
少年サッカー | 前半・後半20分/合計40分 | 10分 |
プロサッカーの試合時間は、前半45分をあわせて90分。前半と後半の間に15分のハーフタイムを挟み、その間に休憩や戦術会議をおこないます。
大会や形式によって試合時間が異なることがあるため、あらかじめ確認してきましょう。たとえば全国高校選手権の準決勝と決勝の場合、試合時間はプロと同じ90分になります。
アディショナルタイム
アディショナルタイムとは、プレイ以外に費やした時間のこと。
11人制サッカーは、試合の途中でプレーを計測している時計は止まりません。そのため、選手交代や負傷した選手の手当と運搬、イエローカードやレッドカードの提示などにあてられた時間を、前半と後半が終わったあとに追加します。
延長戦にもアディショナルタイムはあります。延長戦の途中でプレイ以外に費やされた時間があれば、延長戦の前半と後半のあとにそれぞれ追加される仕組みです。
サドンデス
サドンデスは突然死を意味する言葉で、今で言うゴールデンゴール方式のこと。
どちらかのチームが得点を入れた時点で勝敗が決まることからそう呼ばれていましたが、言葉の意味がよくないため現在では使われていません。
一方でPK戦で5人ずつ蹴って決着がつかなかった場合は、サドンデスという言葉が使われることもあります。1名ずつPKをしてどちらかが入れれば勝敗がつくことが、サドンデス(突然死)を連想させるのが理由です。
延長戦で白熱の試合を楽しもう
試合時間の90分以内に決着がつかない場合におこなうのが、延長戦。勝敗を決める必要があるトーナメント戦のときだけ実施されます。
現在はフルタイム形式が主流なので、延長戦はきっちり30分行われます。
延長戦で決着がつかない場合、PK戦へ。試合の勝敗を決めるための白熱した激闘に、ハラハラドキドキできるはずです。
延長戦では、それまでの90分間とは違った緊張感が味わえるはず。カップ戦やトーナメント戦に足を運ぶ際には、ぜひその空気感を味わってみてください。