サッカーの監督にスーツ着用のルールはない

サッカーの監督といえば、ピッチサイドでスーツを着用しているイメージが強いのですが、実は試合での服装に決まりはありません。
Jリーグではスーツ着用を義務付けるルールはなく、クラブジャージなど他の服を着用する監督もいます。
ピッチに近いところで指示する監督は、スタジアムの観客席からもよく見えます。監督に注目してみると、ファッションにこだわりやポリシーが見えてくることも。
監督が着用するスーツや服装も、サッカー観戦の見どころのひとつと言えそうです。
サッカーの監督がスーツを着用する5つの理由

では着用のルールがないにもかかわらず、スーツを着用するサッカーの監督が多いのはなぜなのでしょうか。
考えられる理由を5つ解説します。
1.選手と区別しやすくするため
サッカーの監督は、ピッチサイドに立って選手に指示することがよくあります。スーツを着用することで、ユニフォーム姿の選手と区別がつきやすくなっています。
また、監督は近くで指示は出せますが、試合中はピッチの中に入れません。選手と監督の役割が明確に違うことが、服装の違いからも判断できるように意識されているのです。
2.サッカーは英国発祥のスポーツだから
サッカーは「紳士の国」と呼ばれる、イギリスのイングランド発祥のスポーツ。スーツの起源も英国にあり、イギリスの人々はファッションや身だしなみにこだわる傾向があります。
そして、イギリスには着用する服装で社会的な立場を示す文化があったことも影響しているようです。サッカーの監督が下の階級でないことをアピールするために、スーツを着用したとも考えられています。
3.パブリックスクールでサッカーを取り入れていたから
パブリックスクールとは、イギリスにおける上流子弟のための私立中等学校。19世紀頃、教育の一環としてサッカーが取り入れていました。
当時のパブリックスクールでサッカーを指導していたのは、学校の教師たち。当時の教師はスーツの着用を求められていたため、これがサッカーの監督がスーツを着用する原点とも言われています。
4.オーナーやスポンサーと会う機会が多いから
サッカーとビジネスは斬っても切り離せない関係です。監督ともなると、チームの運営を支援するオーナーやスポンサーと対面して挨拶をする機会が多くなります。
そうなると、当然服装にもTPOが求められるため、ジャージなどラフすぎる格好は適さないのです。
監督がスーツを着用していれば、オーナーやスポンサーが相手でも問題なし。誰と会うことになっても問題のない品位のある服装として、スーツが選択されています。
5.Jリーグの発足時に規定があったから
Jリーグが発足した1994年には、試合時に監督はジャケットとネクタイを着用する規定がありました。
これは、欧米サッカーへのリスペクトを示し、海外チームを招いたとき礼儀をつくす目的でした。
現在ではそのような規定はありませんが、30年以上たった今でも当時の習慣が残っていると考えられています。
国内・海外サッカー監督のスーツ着用傾向

ここまでサッカーの監督がスーツを着用する理由などを解説しました。
今回この記事を作成にあたりリサーチしたところ、国ごとに監督のスーツ着用傾向は異なるようです。
この小では、日本と欧州、南米にわけてその傾向を解説します。
日本における監督のスーツ着用傾向
日本サッカー界ではスーツを着用する監督がいる一方で、カジュアルスタイルを選択する監督も増えてきました。
先述のとおり、Jリーグでは服装の規定がないため、試合時の服装にも動きやすさを重視する監督は多いのです。
なかには、ファッションにこだわりがある監督もおり、代表的なのが日本代表の森保一監督。森保監督といえば、スリーピースのスーツスタイルが印象的です。ピッチや記者会見の場でもスーツ姿を貫いています。
欧米における監督のスーツ着用傾向
以前の欧米ではスーツが当然とされていましたが、欧米においても現在はカジュアルスタイルが急増中。国際試合以外では、カジュアルな洋服やジャージを着用する監督が増えています。
トレーニングウェアの着用で有名なのが、リヴァプールのユルゲン・クロップ監督です。快適さを求めたことで、スーツスタイルからトレーニングウェアに変更しました。
南米における監督のスーツ着用傾向
南米では、スーツを着用する監督はあまりいません。欧米と違い、階級意識が強くない地域・国であることが理由だと考えられます。
ただし、国際試合の場合は、相手国に対して敬意を表すためにスーツを着用することも。どのような服装を着用しているのか、試合ごとに注目してみるのも面白いかもしれません。
サッカー以外のスポーツにおける監督の服装事情

実はサッカー以外のスポーツでも、監督が着用する服装に傾向があります。スポーツごとに監督の服装事情をまとめました。
野球
監督の服装にルールはありませんが、ユニフォームを着用するのが一般的です。野球が誕生した当時は監督が存在しておらず、キャプテンが指揮をとっていました。
キャプテンは当然ユニフォームを着用しており、その名残が残っているとのこと。
また、審判への抗議やピッチャーへの声がけができることから、選手と同じユニフォームを着用するとの説もあります。
バスケットボール
バスケットボールの監督は、スーツやジャケットを着ている姿をよく見かけます。
ほかにはエリ付きのポロシャツに、チノパンやスラックスを着用することもあるようです。
エリ付きのシャツとスラックスといった長ズボンなど、大会ルールとして監督の服装を定めているケースもあります。
ラグビー
ラグビーはサッカーと同様にイギリスの発祥で、紳士のスポーツとも呼ばれています。そのため監督は、スーツを着用するのが一般的です。
ただし、ラグビーだと監督はフィールドの近くにいないため、服装が話題になることはあまりありません。
「試合は選手のもの」といった考え方が強く、監督が目立つことがないためです。
バレーボール
バレーボールでは、監督はトレーニングウェアやスーツなどを着用します。
大会によって規定があることも。JVA(日本バレーボール協会)ユニフォーム規程には、「部長や監督がジャケットを着用し、その他のチーム役員が統一された服装であれば許可される」とあります。
サッカー選手がスーツを着用することも

サッカーにはスポンサービジネスの一面も。代表やクラブチームには、オフィシャルスーツが提供されています。各代表やクラブチームごとにスーツブランドを一覧でまとめました。
日本代表 | ダンヒル |
イングランド代表 | マークス&スペンサー |
スコットランド代表 | ウォーカースレーター |
イタリア代表 | エンポリオアルマーニ |
フランス代表 | スマルト |
ドイツ代表 | ヴァンラーク |
オランダ代表 | キャバレロ |
ウクライナ代表 | アルバー |
ポルトガル代表 | サコールブラザーズ |
ウェールズ代表 | ハーズ&カーティス |
横浜F・マリノス | KASHIYAMA(カシヤマ) |
FC東京 | SHIPS |
浦和レッズ | 麻布テーラー |
鹿島アントラーズ | NEWYORKER |
川崎フロンターレ | ORIHICA |
オフィシャルスーツはそれぞれ専用にデザインされており、選手たちの魅力を引き立てます。ユニフォームのときとはまた違う魅力があるので、ぜひチェックしてください。
サッカー観戦では監督のスーツ姿にも注目しよう
サッカーの監督の服装には、とくに決まりはありません。最近はスーツ以外にも、ジャージやトレーニングウェアなどさまざまな服装をする監督が増えてきました。
どのような服装をしているかで、ファッションへのこだわりが見えてくるはずです。
スタジアムでサッカー観戦をするときは、監督の服装やスーツ姿に注目してみてはいかでしょうか。