サッカーのアンカーとは

サッカーのアンカーとは、守備的ミッドフィルダーの一種で、中盤の底に位置するポジションです。最終ラインの前に立ちはだかり、守備のバランスを整えつつ攻撃の起点にもなります。
アンカーは英語で「錨(いかり)」を意味し、チームに安定感をもたらす“重し”のような存在です。目立ちにくいポジションながら、試合の流れを左右する極めて重要な役割を担っています。
サッカーのアンカーの役割

サッカーの試合を観ていて、アンカーがどのような役割を果たしているのか気になった経験はありませんか。
ここでは、サッカーのアンカーの主な役割を3つ紹介します。
相手の攻撃を止める
アンカーの最大の役割は、相手の攻撃の芽を摘むことです。
攻撃的ミッドフィールダーやフォワードの動きを監視し、適切な距離を取りながら対応する必要があります。
具体的には自陣ペナルティーエリア手前の危険なスペースをカバーし、ボール奪取やパスカットを通じて守備陣の負担を軽減します。
攻撃の起点となる
守備のみでなく、攻撃の起点となるのもアンカーの特徴です。
フォワードが走り込むスペースに正確なパスを供給し、攻撃のテンポを整えます。
縦パスやサイドチェンジで一気に局面を変えることができると、チーム全体の攻撃の質が高まります。
ゲームコントロール
アンカーは試合の流れを読む役割も担っています。
ボールの動かし方、試合のテンポ、リズムの調整など、冷静な判断が求められるポジションです。
必要に応じて攻撃のスピードを落としたり、逆に素早く展開したりと、ゲーム全体をコントロールする存在でもあります。
サッカーのアンカーに求められる能力

ポジションに限らず、サッカー選手には高い身体能力や判断力が求められます。
サッカーのアンカーに求められる主な能力は次の5つです。
相手選手への対応力
アンカーは、相手の攻撃的ミッドフィールダーやフォワードと1対1で対峙する場面が多くあります。
素早いポジショニングと読みで、パスの受け手に自由を与えないことが重要です。
スペースの埋め方や間合いの取り方は、試合経験を重ねることで次第に磨かれます。
ボール奪取能力
守備の要であるアンカーには、ボール奪取力が必要不可欠です。
相手のパスミスを誘ったりボールにチャレンジしたりすることで、相手チームの攻撃の起点となるボールを奪います。
クリーンに奪う技術も重要で、ファウルにならないようにする判断力も必要です。
アンカーにはさまざまな局面でボールを奪う技術が求められるため、試合経験を重ねる必要があります。
パス精度
アンカーは攻撃の起点となる役割を担うため、パス精度が非常に重要です。
正確な短いパスから長いフィードまで、多様なパススキルが求められます。
ショートパスとロングパスの両方を使い分け、味方に正確なパスを供給できるかが攻撃の質を左右します。
フィジカルの強さ
アンカーには、空中戦での競り合いやボール奪取に勝つためのフィジカルの強さが求められます。
フィジカルの強さや持久力はもちろん、相手とぶつかった際のバランス感覚やリカバリー能力も重要です。
走力やスタミナも、守備範囲をカバーするために欠かせません。
戦術理解力
アンカーは味方チームの動きを正確に把握し、瞬時に最適なポジショニングを取る能力が求められます。
また、味方チームのシステムのみではなく、相手チームの狙いや動きも把握して柔軟に対応することが重要です。
初心者がおさえたいアンカーの基本動作

アンカーがどのような動きをしているのかを把握すると、より試合を楽しめます。
初心者がおさえたいアンカーの基本動作を3つ紹介していくので、観戦の際に注目してみてください。
両チームのシステムを把握する
アンカーは相手チームの攻撃パターンを把握し、スペースの空く位置を予測して守る必要があります。
そのためには自分たちの布陣のみでなく、相手チームのフォーメーションや選手の配置も理解することが大切です。
アンカーがしっかりと試合前に研究を行っているかは、試合でも動きを見ていると何となくわかるかもしれません。
相手チームのFW-MFライン間を意識する
アンカーが相手チームのFW-MFライン間を意識することで、相手チームに「フォワードが引くのか」または「ミッドフィールダーが前進するか」の2択を突きつけます。
相手チームのフォワードが引いた場合は、味方ディフェンスが余裕をもってボール保持が可能です。
相手チームのミッドフィールダーが前進した場合は、MF-DFのライン間にスペースが生まれて攻撃のチャンスが生まれます。
体の向きを意識する
アンカーのコツは、ボールを受けてから次の展開につなげるために体の向きを意識することです。
これによってプレッシャーをかわしながら前を向いてプレーできるようになります。
また、体の向きを変えることはフェイントとしても重要です。上手にフェイントをかけることで相手選手を翻弄し、攻撃の起点を作ります。
アンカーの歴代有名サッカー選手

アンカーというポジションは、サッカーの歴史の中で数多くの名選手を輩出してきました。
クロード・マケレレ(フランス)は、アンカーという概念を広めた第一人者です。
守備能力と無尽蔵のスタミナでボール奪取の名手とも呼ばれ、彼の影響で守備的ミッドフィールダーのポジションは「マケレレ・ロール(マケレレの役割)」と呼ばれるようになりました。
セルヒオ・ブスケツ(スペイン)は、FCバルセロナで長年中盤を支えたアンカーです。ボールを取り戻す能力、戦術理解とテクニックで高評価を得ており、「バルセロナの心臓」とも称されています。
日本人選手でアンカーとして知られるのは遠藤航です。ブンデスリーガのシュトゥットガルトで守備的ミッドフィールダーとして活躍し、2023年からはプレミアリーグのリヴァプールFCでプレーしています。
サッカーのアンカーに関するQ&A

サッカーのアンカーに関するよくある質問に回答します。
Q1. なぜアンカーが試合のカギになるの?
アンカーは守備のバランスを取る「チームの要」だからです。
守備陣の前に立つことで、相手の攻撃を食い止める壁となります。
Q2. アンカーの注目ポイントはどこ?
アンカーがボールを持ったときに、試合の流れがどのように変わるかを観察してみましょう。
パス1本で攻撃のスイッチを入れたり逆サイドに展開したりと、試合を動かす役割を担っていることが分かります。
Q3. アンカーがいないと、試合はどうなる?
アンカーがいないと、ゴール前までスムーズに攻め込まれてしまいます。
また、攻撃時にボールを回す起点がなく、パスがスムーズに繋がらなくなる恐れもあります。
結果としてチーム全体がバラバラに動いてしまうため、チームのバランスを保つ重要な役割を担うポジションと言っても過言ではありません。
サッカーのアンカーは守備の要
サッカーのアンカーは、決して派手なプレーが目立つポジションではありません。
しかし、チームの守備を支え、攻撃のリズムを整える「縁の下の力持ち」として、極めて重要な役割を担っています。
サッカーの試合を観るときは、ぜひアンカーに注目してみてください。彼らの動きからサッカーの奥深さが見えてくるはずです。