野球におけるレフトは、打撃力に優れた選手がつくポジションとされています。レフトの守備を理解するためには、まずポジションの位置や基本的な役割といった基礎知識を確認しておくとよいでしょう。 本記事では、野球のレフトの役割や求められる能力を解説します。ライトとの違いや、レフトの有名選手についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

野球のレフトについて基礎知識

野球 レフト 左翼手

野球におけるレフトとは、どのようなポジションなのでしょうか。どのような選手がつくのかについても、わかりやすく解説します。

外野の左側を守る選手

野球におけるレフトとは、キャッチャー(捕手)からみて左側のエリアを守る外野手(内野外側を守る選手)です。左翼手やLeft fielder(レフトフィルダー)とも呼ばれ、守備番号は7番が割り当てられています。

ショートやサードの後方、レフトファールゾーンからセンターまでを守備するのが役割。右バッター(打者)の打球を処理する機会が多く、さらに遠くの塁に送球する機会が少ないのが特徴です。

打撃力を重視することが多い傾向がある

プロ野球では左バッターが多いため、打球がライト方向へ飛びやすくなります。その結果、レフトに飛んでくる打球は相対的に少なく、守備機会はあまり多くありません。ランナー(走者)がいない状態でのバックアップも、それほど必要とされない場面が多い傾向があります。

卓越した守備力を発揮した選手に贈られるゴールデングラブ賞に、レフトの選手が選ばれないことも。他の外野と比較すると、守備力より打撃力が重視されます。

守備の機会が少ないぶん、打撃力が高い選手がつくことが多いので、バッティングに注目してみましょう。ちなみに右バッターが多い草野球や少年野球の場合、守備機会が外野手の中で最も多くなります。

野球におけるレフトの役割

野球におけるレフトの役割は以下の通りです。レフトの守備について理解するために、ぜひチェックしてください。

打球の処理

サードとショートの後方に飛んできた打球を処理して、他の野手に送球するのが役割です。ライト方向への打球が多い左バッターなど打球傾向によっては、セカンドとライトの間に入ることもあります。

レフトは、右バッターの打球を処理する機会が多いのが特徴です。ファウルゾーンに切れていく難しい打球にも、対応しなければいけません。捕球したあとは、盗塁を狙うランナーに対してスローイングで進塁を阻止します。

バックアップ

味方のミスに備えて後ろに回り込むことを、バックアップといいます。ショートやサード、センターのバックアップに入るのは、レフトの重要な役割です。

また、三塁送球のときバックアップに入ることもあります。送球ラインに入り適度に距離をとって備えることで、ミスが発生したときでもランナーをアウトにできる確率が高くなるのです。

野球のレフトに求められる能力

野球におけるレフトにもとめられる能力を、まとめました。優秀なレフトの条件について、わかりやすく解説します。

ポジショニング

レフトは、バッターの傾向や投手の投球にあわせてポジションを調整しなければいけません。たとえばレフト方向に流すのが得意な左バッターや引っ張ることが多い右バッターが打席に立つときは、レフト側に移動します。

長打力のあるバッターが相手なら、やや後ろに下がるのがセオリーです。ランナーが二塁・三塁にいる場合は、定位置からホームベースに前進することで得点が入ることを防げます。

捕球能力

ゴロやライナー、高いフライなどの打球を確実に捕球する能力が必要です。打球に追いつくためには、俊敏性や足の速さが求められます。

レフトの捕球ミスによって長打コースになることも考えられるので、責任は重大です。送球する際のミスを防止するために、正確に送球するコントロール能力も必要とされます。

連携能力

ランナーをアウトにするためには、他の野手との連携プレーが必要です。主に外野の中心を守るセンターと協力しながら守ります。レフトとセンターでどちらが処理するのか一瞬で判断して、捕球しなければいけません。

また、センターフライのとき、必要に応じてフライの深さを伝えるのも重要な役割です。センターがボールを処理する際に、送球塁や中継ぎ手の場所を指示するのもレフトが行います。

野球におけるレフトとライトの違い

ライトとは、キャッチャーからみて右側のエリアを守る選手のこと。主に左バッターの打球や右バッターの流し打ちを処理します。レフトとライトの違いについて、以下の表でまとめました。

レフト(左翼手)ライト(右翼手)
守備番号7番9番
守備エリア外野の左側を守備する外野の右側を守備する
守備機会やや少ないレフトよりやや多い
肩の強さあまり求められない求められる

ライトは左バッターが増えたことによって、高い守備力が求められるようになったポジションです。レフトはライトより守備機会が少なく、肩の強さもあまり必要とされません。

また、昔はレフトは右利き、左利きはライトに適しているとされていました。たとえば左利きのレフトが捕球した場合、送球の際に体を反転させてから投げなければいけません。

動作がワンテンポ遅れるため、利き手によってポジションを決める傾向があったのです。現在は野球技術が向上してタイムロスが少なくなったことで、利き手が重視されることはなくなりました。

野球におけるレフトの有名選手

野球におけるレフトの有名選手について、紹介します。それぞれの概要とプレーの特徴をまとめました。

松井秀喜

所属チーム読売ジャイアンツ、ニューヨーク・ヤンキース、ロサンゼルス・エンゼルス、オークランド・アスレチックス、タンパベイ・レイズ
ポジション外野手、指名打者

ゴジラの相性で親しまれた元プロ野球選手で、ヤンキース時代ではアジア人で初めてのワールドシリーズMVPを受賞しています。メジャー移籍後は守備で派手なプレーを見せるようになりました。長打力のあるバッターながら、守備においても捕球後の送球の正確さや肩の強さが高く評価されています。

吉田正尚

所属チームオリックス・バファローズ、ボストン・レッドソックス
ポジション外野手、指名打者

優れたバッターで、2023年のWBCでは大会記録を更新する13打点を記録しています。侍JAPANを優勝に導いたことから、ベストナインに相当するオールWBCチームの外野手部門に選出されました。守備スキルは高いとはいえないものの、打撃スキルで高く評価されています。

内川聖一

所属チーム横浜ベイスターズ、福岡ソフトバンクホークス、東京ヤクルトスワローズ、大分B-リングス
ポジション外野手、内野手

日本プロ野球における打者史上最高打率記録保持者で、日本球界を代表するアベレージヒッター(打率が安定した打者)です。「短期決戦の鬼」「ミスター短期決戦」との異名でも有名。イップスのため短い距離の投球はできませんが、外野守備でのスローインは安定しています。

中村晃

所属チーム福岡ソフトバンクホークス
ポジション外野手、一塁手

選球眼と粘り強さ、バットコントロールを備えた、高い打撃技術をもつプロ野球選手です。広い守備範囲の持ち主で、スローイングに定評があります。出塁能力や状況判断能力にも優れた、オールマイティーなプロ野球選手です。

レフトのプレーに注目しよう

レフトは守備機会があまり多くないポジションです。そのため守備力よりも、打撃力が優れた強打者タイプの選手がつく傾向があります。

しかし、野球は9人が連携して守るスポーツです。打球処理やバックアップによって得点を阻止するなど、レフトにも重要な役割があります。攻守両方のプレーを楽しめるポジションなので、野球観戦の際にはぜひ注目してください。

ENSPORTS fanでは、野球観戦をたくさんの方々に楽しんでいただくために、観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらぜひチェックしてみてください。