野球におけるファーストの基礎知識

まずは野球におけるファーストがどのようなポジションなのか、基礎知識を解説します。守備位置とファーストミットについて、わかりやすく紹介するのでチェックしてみてください。
一塁を守備するポジション
内野(本塁・一塁・二塁・三塁を結んだ区域)を守備するポジションで、守備位置は一塁(ファーストベース)周辺です。一塁手やFirst Baseman(ファーストベースマン)ともいいます。
守備につく野手に割り当てられる守備番号は3。ゴロの処理や送球の機会が少なく、比較的守備が苦手な選手でも役割をこなせます。そのためプロ野球では、打撃重視のスラッガーがファーストにつくのが一般的です。
ファーストミットを使用する
ファーストミットとは、ファースト専用の捕球用防具のこと。ファーストは捕球機会が多いため、特殊なミットを使用します。悪送球でも捕球しやすいように、他の野手が使用するグローブよりもサイズが大きいのが特徴です。
ボールが落ちにくいようにポケットが深くなっており、包み込むように捕球します。なお、キャッチャーが使用する専用ミットをキャッチャーミットといいますが、その他の野手のグローブにはとくに規定はありません。
野球におけるファーストの役割

一塁の周辺を守るファーストの役割はさまざまです。4つの代表的な役割について、解説します。
一塁でランナーをアウトにする
他の野手から送球を受け、一塁でランナー(走者)をアウトにします。ボールを持った状態で一塁に触れる(フォースアウト)か、もしくはボールを持ってランナーの体に触れさせ(タッチアウト)ます。
ランナーが最初に進塁するのが一塁なので、ファーストは内野手の中でも守備機会が多いポジションです。送球を確実に捕球して、ランナーをアウトにしなければいけません。
ピッチャーから牽制球を受ける
一塁にランナーがいる場合は、ピッチャーから牽制球を受ける役割があります。牽制球とは、盗塁防止やアウトのためピッチャーがランナーがいる塁に向かって投げるボールのことです。
牽制アウトはタッチしなければいけないため、迅速なタッチアウトが求められます。ピッチャーは素早い動作で投げるので、捕球しにくいボールが来ることも珍しくありません。捕球に失敗すればランナーは二塁に進んでしまいます。
バントを処理する
バントはバットを横にした状態でボールに当てることです。バントで転がってきた打球の処理はファーストの役割。自ら捕球するのか、他の野手にまかせて一塁にとどまるのか、適切な判断が求められます。
バッター(打者)がアウトになる代わりにランナーを進塁させる犠牲バントのときも、判断力が重要です。バッターランナーとランナーのどちらをアウトにするのか、一瞬で判断しなければいけません。
カットプレー(中継プレー)をする
ファーストは外野手とのカットプレーで、ランナーのホームインを阻止します。カットプレーとは、外野からの返球を内野手が中継ぎして目的の場所に送球するプレーです。
直接投球するより安定して返球できるため、塁から飛びだしたランナーをアウトにできます。野手同士の連携は、野球観戦の見どころの一つです。
野球のファーストに必要な能力

守備の機会が多いファーストには、以下のような能力が求められます。ファーストに必須な3つの能力について、まとめました。
捕球能力
ファーストには、他の野手からの送球を確実に捕球する能力が必要です。捕球が重要なポジションなので、ファーストミットの使用が認められています。
変則的なバウンドや、低い球を確実に捕らなければいけません。さらにキャッチするときの位置取りや、送球がそれたときも即座に姿勢を立て直す能力が必要です。
的確な状況判断
ファーストでは、速い打球への対応力や状況に応じた判断能力が必須。たとえばゴロを処理する場合に一塁ベースから離れすぎると、アウトにしにくくなります。
ベースに戻るかベースカバーに入った他の選手に送球するか、一瞬で判断しなければいけません。野手との連携による守備やピッチャーとの連携による牽制球にも、判断能力が必要です。
メンタルの強さ
ファーストには、プレッシャーのかかるシーンで落ち着いてプレーするメンタルの強さが求められます。
長時間の試合であっても、集中力を切らさないことが重要。失策(守備のミスでランナーの進塁を許すこと)したときもすぐに気持ちを切り替え、確実に捕球しなければいけないポジションです。
野球でファーストに向いている人の特徴

では野球でファーストに向いている人は、どのような人なのでしょうか。2つの特徴について解説します。
左投げ
内野手の中では唯一、左投げが優位性をもつポジションです。左利きであれば二塁・三塁に送球するときに、体の向きを変えることなく投球姿勢をとれます。
また、他の内野手から右投げによる送球は、ファーストの右体側に収まることになります。このとき右手で受ければ、自然な体勢から捕球可能です。体はホームベース側(左側)に向くので、本塁から走ってくるランナーの挙動が確認しやすいのもメリットの一つ。
身長が高い
ファーストは、一塁ベースに足をつけた状態で捕球します。ランナーをアウトにするためには、身長が高く手足が長い選手が有利です。
身長が高いと守備範囲が広くなるため、ランナーをアウトにするために要する時間が短くなります。中には開脚しながら捕球する選手も。このような選手は、股関節が柔らかくなるように普段から柔軟性を鍛えています。
ファースト以外のポジションを紹介

野球では、それぞれのポジションについて協力して守備をします。守備位置・守備番号と、ファーストとの比較ポイントを解説していきます。
守備位置と守備番号の一覧表
野球は9人で行うスポーツです。それぞれの守備位置と守備番号を一覧でまとめました。
ポジション | 守備位置 | 守備番号 |
---|---|---|
ピッチャー(投手) | マウンドに立ち打者に向かってボールを投げる | 1番 |
キャッチャー(捕手) | キャッチャーズボックスで投手のボールを受ける | 2番 |
ファースト(一塁手) | 一塁周辺を守る | 3番 |
セカンド(二塁手) | 二塁周辺を守る | 4番 |
サード(三塁手) | 三塁周辺を守る | 5番 |
ショート(遊撃手) | 二塁と三塁の間を守る | 6番 |
レフト(左翼手) | 外野の左側を守る | 7番 |
センター(中堅手) | 外野の中心部分を守る | 8番 |
ライト(右翼手) | 外野の右側を守る | 9番 |
野球の試合では、すべての選手が協力して相手チームの得点を防ぎます。バッターが打ったボールの行方を確認して、どのポジションがどのように動くのかに注目してください。
ファーストと他ポジションの比較ポイント
ファーストは、守備範囲より捕球の確実さが必要なポジションです。守備範囲の広さが求められるセカンドやショートとは、役割が異なります。
つまりファーストは他の野手から送球を捕球することを、他の野手は広範囲に飛ぶ打球を確実に捕ることをそれぞれ重視しています。この違いを把握することで、観戦時も選手の見方が変わってくるはずです。
ファーストの捕球能力に注目してみよう
野球におけるファーストは、一塁周辺を守るポジションです。主な役割は、他の野手から送球を受けてランナーをアウトにすること。そのほかにも、高い捕球能力とメンタルの強さが求められます。
ファーストは捕球の機会が多いので、ぜひ注目してください。ランナーをアウトにできるのか緊迫の瞬間に注目すれば、さらに野球観戦が楽しめるはずです。
ENSPORTS fanでは、野球観戦をたくさんの方々に楽しんでいただくために、観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらぜひチェックしてみてください。