ボクシングのファイトスタイルとは?

ボクシングのファイトスタイルについて、基礎知識を紹介します。言葉の意味と構えの違いを、わかりやすく解説しましょう。
ファイトスタイルは選手の個性・戦い方の方向性
ファイトスタイルとは、攻撃距離や戦術傾向などボクサーの個性・戦い方の方向性のことです。同じ階級でも、ボクサーによって戦い方は一人ひとり異なります。
強みを活かすために、ボクサーは自分にあったファイトスタイルを追求。近年では、状況に応じて複数のスタイルを使い分けるボクサーも増えています。
オーソドックスとサウスポーの違いとファイトスタイルとの関係
ボクサーの構えは、オーソドックス(右利き)とサウスポー(左利き)に分かれます。
なお、オーソドックスとサウスポーは「構え方」の違いであり、ファイトスタイルとは別の概念です。
| オーソドックス | 右利きが多い 左手が前・右手は顎の下・右足が後ろ・左足が前 |
| サウスポー | 左利きが多い 右手は前・左手が顎の下・右足が前・左足が後ろ |
サウスポーのボクサーはオーソドックスより少ないので、対策がしにくいとされています。
両方の構えを使い分けることをスイッチヒッターといい、テレンス・クロフォード選手が有名です。
【基本編】ボクシングのファイトスタイル3種類|距離でわかる戦い方

ボクシングにおけるファイトスタイルの基本をまとめました。ボクシング観戦を楽しむための基礎知識として、ぜひチェックしてください。
距離で分かる3つの攻防スタイル
ボクシングのファイトスタイルは、戦う距離や間合いによって大きく3つに分類できます。
| インファイター | 近い距離 |
| アウトボクサー | 遠い距離 |
| ボクサーファイター | 中距離を中心に、近距離・遠距離を使い分ける |
ボクサーは自らの得意な距離を維持することで、試合を有利に運べます。距離感の駆け引きに注目すれば、試合観戦がさらに楽しくなるのではないでしょうか。
インファイター(ファイター)
インファイターとは、近距離(インファイト)を得意とするボクサーのことです。KOが多いパワータイプで、間合いを詰める瞬発力にも優れています。
密着した状態から放つショートパンチで攻めるのが特徴。アッパーやフックを得意技とする傾向があります。攻撃を受けることが多いので、ディフェンス技術と打たれ強さが必要です。代表的なボクサーには、マイク・タイソンやアイザック・クルスがいます。
アウトボクサー(ボクサー)
アウトボクサーは、相手ボクサーから距離を取って戦うアウトボクシングを得意としています。一定の距離を保ちつつチャンスをうかがい、攻撃してまた距離をとるファイトスタイルです。
スピードと技術で翻弄する、ヒット&アウェイの戦い方が魅力。フットワーク(攻撃をかわし最適な距離を保つ足の動き)やジャブを駆使して戦います。モハメド・アリや那須川天心、フロイド・メイウェザー・ジュニアなどが代表的です。
ボクサーファイター
ボクサーファイターは、インファイトとアウトボクシングの両方の要素を併せ持ちます。もしくは中間距離で戦うボクサーを指すことも。
技術力とパワーを兼ね備えたボクサーが多いのが特徴です。攻撃と守備のバランスがよく、戦略的なボクシングを得意としています。井上尚弥や寺地拳四郎、サウル・アルバレスなどが有名です。
【戦い方編】攻め方で変わるボクシングのファイトスタイル

ボクシングのファイトスタイルは、戦い方によってさらに細かく分類されます。スタイルの特徴について、それぞれ紹介しましょう。
スウォーマー(プレッシャーファイター )
インファイターの一種で、前進して距離を詰めながら戦うファイトスタイルです。連続パンチでプレッシャーを与えながら攻め続け、主導権を握ります。
ロープ際まで追い込み、息をつかせぬ激しい攻撃で相手を圧倒する姿が魅力です。攻め続けるスタミナと、パンチを恐れず前進し続ける精神力が求められます。
ピーカブースタイル
顎を引いて握った両手で顔面をガードする戦い方で、インファイターに分類されます。相手のパンチをさばきつつ、間合いをつめてKOを狙うファイトスタイルです。
「ピーカブー(いないいないばあ)」の名前の通り、ガードの隙間から繰り出されるカウンター攻撃は相手にとって驚異です。顔面が狙われやすい小柄なボクサーに多い傾向があります。ヘビー級としては小柄だったマイク・タイソンが、使用したことで有名です。
スラッガー(ハード・パンチャー)
近距離から中距離で戦う、インファイターよりのファイトスタイルです。強烈なパンチでKOを狙う、一撃必殺の戦い方を特徴としています。
防御よりも攻撃を優先する傾向があり、その一撃は重く迫力満点です。フックやアッパーなど、威力が高いパンチを得意技としています。
カウンターパンチャー
中距離から遠距離で戦うことが多く、アウトボクサー寄りのファイトスタイルです。ボクサーによって異なりますが、重心を後ろに置くアップライトスタイルや、L字に曲げてボディを守るL字ガードなどを使用します。
相手の攻撃を誘いつつ素早くかわし、正確なパンチを狙う(カウンターを狙う)のがカウンターパンチャーの大きな特徴です。動きを読む動体視力や分析力、一瞬のスキをつく反応速度が求められます。
ヒットマンスタイル
右手を右顎に、左手は腹部に構えるデトロイトスタイルが特徴です。やや特殊で上級者向けのファイトスタイルですが、手首をしならせて繰り出す、素早く軽いフリッカージャブで体力を削るのが基本。そこからムチのようにしならせ斜め下から打ち込むフリッカーパンチに、つなげます。
アウトボクサー寄りで、高身長で反射神経と動体視力が高いボクサー向け。長いリーチを活かして戦った、トーマス・ハーンズ選手が使用したことで有名です。
試合中にわかるボクシングのファイトスタイルの見分け方3選

ボクシングの試合観戦をするときは、戦い方に注目しましょう。ファイトスタイルを見分ける3つのポイントを解説します。
1.フットワーク・構え・距離感に注目する
ファイトスタイルを見分けるときは、フットワークや相手との距離感を確認しましょう。
| インファイター | 相手との距離を詰めてパンチ後もすぐに接近 |
| アウトボクサー | フットワークでリング全体を広く使いパンチ後はすぐ距離をとる |
| ボクサーファイター | 状況に応じて距離をつめたりとったりする |
カウンターパンチャーやヒットマンスタイルなど、構え方が特徴的なファイトスタイルも。間合いの取り方や構え方に注目すれば、ボクサーの得意なファイトスタイルがわかります。
試合中に「受けながら前に出る」のか、「体を動かして避ける」のかを見るだけでも、おおよそのファイトスタイルを判断できるでしょう。
2.パンチの種類と打つタイミングを観察する
得意のパンチや打つタイミングで、ファイトスタイルの傾向がわかります。
| インファイター | フックやアッパーカットなど近距離パンチで強力な一撃を狙う |
| アウトボクサー | ジャブやストレートを多用して連続したパンチを繰り出す |
| ボクサーファイター | 状況に応じて多彩なパンチを使い分ける |
また、相手の攻撃のタイミングでパンチを放つのが、カウンターパンチャーの特徴です。下げた左腕から繰り出されるフリッカージャブが多いなら、ヒットマンスタイルと考えられます。
3.ディフェンスの癖に注目する
ディフェンスの型は以下の2つに分類されます。主なディフェンスの型と、それがよく見られるファイトスタイルは以下のとおりです。
| ディフェンスの型 | 多いスタイル | |
| ブロッキング型 | ガードを固めて前に出る | インファイターピーカブースタイル |
| スウェー・ダッキング型 | 自分の体を動かしてパンチをかわす | アウトボクサーカウンターパンチャー |
ブロッキング型は、腕やグローブで相手の攻撃をブロックする防御方法です。一方で頭を振ったり上体を反らして避けるディフェンスは、スウェー・ダッキング型に分類されます。
スウェーは上体を後ろに反らしてパンチをかわすこと、ダッキングは腰を落として頭を低くしパンチの下をくぐることです。被弾を避けたいファイトスタイルで見ることが多く、体の柔らかさと予測力が必要とされます。
ファイトスタイルに関するよくある質問

ボクシングのファイトスタイルに関する、よくある質問をまとめました。疑問を解消するために、ぜひ役立ててください。
Q1.ファイトスタイルに相性はあるの?
距離をつめてくるスウォーマーはアウトボクサーに強いなど、ファイトスタイルに相性はあります。得意とする距離を保てなくなる相手に対して、不利になる傾向です。
ただし相性はあくまで傾向です。技術レベルや経験、コンディションなどその他の要素も大きいので、ファイトスタイルの相性だけで勝敗が決まることはありません。
Q2.身長や体格はファイトスタイルに影響する?
一般的に筋肉質でパワーがあるボクサーはインファイター、背が高くリーチが長いボクサーはアウトボクサーに向いているとされています。
一方で身長や体格は、ファイトスタイルを決める決定的な要因ではありません。技術や戦略により、セオリーと異なるファイトスタイルを身につけるボクサーもたくさんいます。
Q3.ボクサーはどうやって自分のスタイルを決めるの?
身体的特徴や得意分野から自らの強みを明確にします。そのうえでトレーニングや試合経験によって、自らにあったファイトスタイルを構築するのが一般的です。戦い方を固定せず、模索し続けるボクサーも少なくありません。
Q4.試合中にスタイルを変えることはできる?
ボクサーファイターは、状況に応じてインファイトとアウトボクシングを使い分けるスタイルです。相手ボクサーを翻弄するために、ラウンドごとに戦術を変えることも。一方で複数のファイトスタイルを使い分けるためには、経験と高度な技術が求められます。
Q5.どのファイトスタイルのボクサーが多いの?
パワーが重視される重量級はインファイター、スピードと技術が重視される軽量級はアウトボクサーが多い傾向があります。
ただし、一つのファイトスタイルを追求するボクサーは減少傾向。複数のボクシングスタイルを組み合わせて戦う、ボクサーファイターが増えてきています。
ファイトスタイルを理解して試合観戦を楽しもう
ファイトスタイルによって、ボクサーの戦い方は大きく異なります。一人ひとりの個性に注目すれば、より深い視点でボクシングの試合を観戦できます。
相手ボクサーとの距離や得意とするパンチに注目して、ファイトスタイルを見分けましょう。自分好みのファイトスタイルを探してみるのもおすすめです。
そのほか、ENSPORTS fanではボクシング観戦初心者にむけて基本ルールや試合時間を解説した記事も公開中。ぜひそちらも試合観戦前にチェックしてみてください。