バスケットボールにおけるポゼッションとは?

ポゼッション(Possession)を直訳すると「所有」「占有」です。
バスケットボールにおけるポゼッションは「攻撃権」のことで「どちらのチームがボールを持って攻撃しているか」を示します。
ポゼッションは、試合終盤では「何回の攻撃で逆転できるか」を表すケースもあります。
バスケットボールでは、3点差までは1回の攻撃機会で追いつくことが可能。よって、3点差までを「1ポゼッション1差」と表現します。
ポゼッションの数え方

バスケットボールにおけるポゼッションは「攻撃権」であることを解説しました。
ここでは、ポゼッションの数え方や計算方法を解説します。
1ポゼッションの始まりと終わり
1ポゼッションは、一方のチームがボールを保持した瞬間に始まります。
具体的には、リバウンドを取る、スティールでボールを奪う、あるいは相手のシュートが外れてボールを保持したなどが「ポゼッション開始」となります。
ポゼッションの終わりは、チームの攻撃が一度区切られるタイミングです。
たとえば、シュートを打って相手にリバウンドを取られた時、24秒バイオレーションになったとき、ターンオーバーをしたときなどが該当します。
つまり「ボールを奪ってから相手に渡るまで」が1ポゼッションです。
計算方法
実際の試合では、ポゼッション数を直接数えるのは時間がかかり現実的ではありません。
そこでボックススコアからポゼッション数を導き出す方法を解説します。
計算式は次の通りです。
ポゼッション=フィールドゴール試投数-オフェンスリバウンド+ターンオーバー+(フリースロー試投数×0.44)
計算式は少し複雑に見えますが、要するに「シュートやフリースローで攻撃が終わった回数」や「ターンオーバーで終わった回数」などを合算して求めています。
NBAやBリーグの公式スタッツでも上記の計算式がベースとなっています。
ポゼッションと試合戦術

ポゼッションは、バスケットボールの試合においてどのような意味を持つのでしょうか。
ポゼッションと試合戦術を3つのポイントに絞って解説します。
試合のテンポを決める要素
ポゼッションは、試合のテンポを決める重要な要素のひとつです。
ポゼッションの数が多いと、シュートを打つ機会が増え、速いテンポの試合になります。逆にポゼッションをゆっくり使うと、攻撃回数は減りますが、時間をかけてじっくり攻める展開になります。
リードしている時・追いかける時の戦い方
リードしているチームは、時間を有効に使ってポゼッションをゆっくり進め、相手に攻撃回数を与えないようにする傾向があります。
逆に追いかける側は、攻撃回数を増やすためにテンポを速め、速攻や3ポイントを多用して一気に流れを変えようとします。
とくに試合終盤では、2チームの駆け引きに注目すると楽しめるでしょう。
ディフェンスの役割
ディフェンスもまた、ポゼッションの数や質に大きな影響を与えます。
たとえば、24秒ギリギリまで相手に攻めさせると、その分試合のテンポは遅くなり、逆にスティールで早く攻撃権を奪うと試合は速い展開になります。
「どのように相手のポゼッションを削るか」「どのように自分たちのポゼッションを増やすか」が、ディフェンス戦略のポイントです。
バスケ観戦時のポゼッションの面白さ

ポゼッションを意識して観戦すると、同じ試合でも全く違った見方ができるでしょう。
バスケ観戦時のポゼッションの面白さを3つのポイントに絞って解説します。
速い展開と遅い展開の見え方
展開が早い試合では、両チームが速攻を多用し、攻撃回数が増えるため得点が増えます。
派手なスコアリング合戦になる試合はこのタイプです。
展開が遅い試合ではハーフコートでじっくり攻めるため、守備も固い傾向に。
1点の重みが増すため、緊張感のあるロースコアの試合になりやすくなります。
このような展開の違いを理解することで、単なるシュートの打ち合いではなく「ポゼッションをコントロールしているんだな」と把握できるようになるのです。
ポゼッションバトル
バスケットボールの醍醐味は「どちらが最後に1回多く攻撃できるか」というポゼッションバトルにあります。
2チームの高度な駆け引きに注目すると、試合の緊張感やドラマをより強く味わえるようになるでしょう。
また、チームの特徴を知ることも重要です。
単にシュートを打っているように見えた攻防が「ポゼッションをコントロールしてるんだな」と理解できるようになるかもしれません。
たとえば、NBAのゴールデンステイト・ウォリアーズは速い展開で有名で、シュート回数が非常に多い特徴があります。
観戦時に注目したいポゼッション3つ

バスケットボール観戦に慣れてきたら、一つひとつのポゼッションをよく観察してみましょう。
観戦時に注目したい3つのポゼッションを解説します。
1.最後の攻防での「2for1」
試合終盤、点差が接近しているときに注目したいのが2for1(ツーフォーワン)と呼ばれる戦術です。
2for1とは、残り時間を考慮してオフェンスを終え、ポゼッションをもうひとつ増やすこと。2回の攻撃チャンスを作ることで、逆転や得点機会を増やす狙いがあります。
観戦時はチームが残り時間をどのように計算して攻めているかを見ると、より戦術的な視点で楽しめるでしょう。
2.終盤のポゼッションマネジメント
試合終盤では、単に得点を狙うだけでなく「どのタイミングでボールを使うか」が勝敗を左右することに。
リードしているチームは、ポゼッションを長く保持し、相手に攻撃チャンスを与えないように動きます。
一方、追うチームは速攻や3ポイントを狙い、時間を逆手に取る戦略を取るケースが多いでしょう。
観戦中は時計とボールの動きを意識し、どちらチームがポゼッションをうまく管理しているかをチェックしてみましょう。
3.タイムアウト後のポゼッション
タイムアウト後の攻防も重要なポゼッションです。
コーチは作戦を伝え、選手たちはそれを実行するため、タイムアウト後の攻撃や守備は計算され尽くしています。
とくに終盤のタイムアウト後は、1回のポゼッションで試合の流れを変えることも少なくありません。
観客としても「ここでどのような攻撃を見せるのか」をワクワクしながら楽しめます。
ポゼッションを理解すると観戦がより面白くなる
ぼんやりと試合を観戦していると、バスケットボールは「入るか入らないか」の単純なゲームに思えるかもしれません。
しかし、ポゼッションを理解すると戦術や駆け引きなど、バスケットボールの奥深さが見えてきます。
ポゼッションを意識して観戦すると、同じ試合がまったく違ったドラマに感じられるはず。バスケットボールを観戦する際は、ぜひポゼッションにも注目してください。
また、ENSPORTS fanでは、バスケットボール観戦をたくさんの方々に楽しんでいただけるように、バスケの観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらもあわせてチェックしてみてください。