バスケットボールのブザービーターとは?

「ブザービーター」という言葉は、バスケをあまり知らなくても、漫画やドラマで聞いたことがある人も多いはず。
ここでは、ブザービーターの定義や魅力を解説します。
ブザービーターの定義
ブザービーターとは、試合やクォーター(ピリオド)が終了するブザーが鳴る直前に放たれ、得点として認められたシュートのことです。
ブザーが鳴ったあとでも、ボールがすでに空中に出ていれば得点は有効になります。
決まった瞬間、会場全体が大盛り上がり!
言い換えれば「ラストワンプレーを制する一撃」がブザービーターなのです。
ブザービーターが起こるタイミング
- 各クォーター(前半・後半の小分け時間)の終了直前
- 試合終了のラストシーン
ブザービーターは、第1〜第3クォーター終了時は勢いをつける得点として大きな役割を持ちます。特に第4クォーターの終了間際は勝敗を左右する一投になるため、緊張感が最高潮に。
わずか数秒の間に繰り広げられる攻防は、バスケットボールの醍醐味のひとつといえるでしょう。
ブザービーターの魅力

ブザービーターが発生する場面は、会場にいるすべての観客が息を呑み、シューターとボールに注目するものです。
この章では、ブザービーターがどうして魅力的に感じるのかを解説します。
緊迫した状況が生み出す圧倒的なドラマ性
ブザービーターの魅力は、ドラマ性と一瞬の爆発力にあります。
ブザービーターが決まる瞬間は、残り時間がほとんどないという極限の状況。わずか1秒にも満たない時間の中で、選手は冷静な判断力と高い技術を発揮しなければなりません。
試合の流れや勝敗を一瞬で変える
バスケットボールは点の取り合いが激しい競技ですが、ブザービーターには単なる得点以上の重みがあるものです。
たとえば、第1〜第3クォーター終了時のブザービーターは、次の時間帯を優位に進める勢いを生み出します。
そして第4クォーター、すなわち試合終了の瞬間に放たれるブザービーターは、勝敗を決定づける劇的な一投となるのです。
わずか1本のシュートが、チームの運命を大きく左右する……それこそが観客を夢中にさせる理由の一つといえるでしょう。
NBAやBリーグで語り継がれる名シーンの数々
NBAやBリーグでは、ブザービーターによって数々の伝説的なシーンが作られてきました。
NBAでは、マイケル・ジョーダンが1989年のプレーオフで放った「The Shot」は、今なお語り継がれています。また、レブロン・ジェームズやコービー・ブライアントも数々のブザービーターを決め、観客を熱狂させてきました。
Bリーグでも劇的なブザービーターは数多く生まれています。
なかでも、2023年10月に起きた横浜BC・河村勇輝選手のプレーが有名。センターサークル付近からのディープスリーを決め、会場が歓声に包まれました。
ブザービーターの種類

ブザービーターは3ポイントシュートのイメージが強いですが、実際にはいくつかのパターンがあります。
ここでは、ブザービーターの種類3つについて解説します。
2ポイントシュート

2ポイントシュートは、スリーポイントラインの内側のペイントエリア(ゴール近く)や中距離から放たれるシュート。
スピード感あるドリブルからのジャンプシュートや、フェイドアウェイ気味に放つ形が多いです。
短い時間で確実に狙う必要があるため、選手には状況判断やスキルが求められます。
3ポイントシュート

3ポイントシュートは、スリーポイントラインより外側から狙うシュートです。
1点差や2点差で負けている状況で決まると、そのまま逆転勝利に直結します。
3ポイントシュートが成功すると観客は総立ち、まさに伝説的な瞬間となります。
フリースロー

フリースローは、相手チームの反則(ファウル)があった際に与えられるシュートチャンスです。
珍しいケースではあるものの、残り時間がほとんどない状態でファウルを受け、与えられたフリースローで逆転や同点を狙うケースもあります。
フリースローは時計が止まっている間に行うためやや特殊ですが、残り時間がほぼない場面では同点・逆転を生む「事実上のブザービーター」になります。
ブザービーターの成立条件

ブザービーターと認められるには、次の条件を満たす必要があります。
ブザービーターの成立条件は次の3つです。
1.ブザーが鳴る前にシュートを放っていること
ブザービーターの最重要条件は、ブザーが鳴る前にボールが手から離れていることです。
ブザーと同時もしくは鳴った後で放たれたシュートは無効となります。
スロー映像やビデオ判定が導入されている現代バスケでは、コンマ1秒単位での判定が行われます。
2.有効な位置からのシュートであること
2つ目の条件は、シュートが得点可能な位置から放たれていることです。
コートの外から打ったシュートや、バイオレーション状態で放たれたシュートなどは得点として認められません。
正規のプレーエリア内から放たれていることが必須条件です。
3.バイオレーション(ルール違反)がないこと
3つ目の条件は、バイオレーションがないことです。
トラベリング、ダブルドリブル、オフェンスファウルなどの反則を犯している場合は、シュートが決まっても無効となります。
ラストプレーはディフェンスが必死で止めに来るため、接触や反則のリスクが高くなります。
ブザービーターの戦術的な意味

ブザービーターには、どのような力や影響力を持つのでしょうか。
ここでは、ブザービーターの戦術的意味を解説します。
試合の流れを変える力
ブザービーターには、試合の流れを変える力があります。
たとえば、クォーター終了時にブザービーターが決まると、数字以上にチームを勢いづけ、後半を有利に進める要素となります。
逆にブザービーターを決められた側は、休憩中に嫌な空気を引きずってしまいがちです。
メンタル面・チームへの影響
ブザービーターは、メンタル面にも大きな影響を与えます。
ブザービーターを決めた選手にとっては大きな自信となり、その後のパフォーマンスが向上します。
また、ほかのチームメイトにとっても「俺たちはやれる」という強いモチベーションに直結する点がメリットです。
逆に、ブザービーターを決められた側は精神的ダメージが大きく、一瞬で士気が下がってしまうことも少なくありません。
ブザービーター観戦時3つの注目ポイント

ブザービートはほかのプレーと比較すると派手なため、客席は自然と盛り上がるものです。
最後に、ブザービーター観戦時の注目ポイントを3つ解説します。
1.残り時間の確認
各クォーターの後半では「あと何秒残っているか」を常に意識しましょう。
バスケットボールは、残り時間によって取れる戦術が大きく変わるためです。
残り3秒ならドリブルからのシュートも可能ですが、残り1秒ではキャッチ&シュートしか選択肢がありません。
時計とプレーの関係性に注目すると、試合をより深く理解できます。
2.最後のプレーで誰にボールを託すか
各クォーターのラストに、ボールをエースに託すのか、それとも意外な選手に任せるのかに注目しましょう。
各クォーターのラストは、監督や選手の判断が色濃く表れる瞬間です。
意外な選手が決めるブザービーターはとくにドラマ性が高く、会場がおおいに盛り上がります。
3.ディフェンス側の対応
ブザービーターを狙うシーンでは、ディフェンス側の対応にも注目しましょう。
ディフェンスは徹底的にマークして外させるか、ファウルしないように守るかの二択を迫られます。
残り時間わずかの状況で、ディフェンスがどのように対応するのかも見どころです。
ブザービーターはバスケットボールの醍醐味
ブザービーターは、バスケットボールが生み出す最大のドラマです。
「決まるのか、それとも外れるのか」と固唾をのんで見守る瞬間、その場にいる全員が同じ高揚感を共有します。
ブザービーターが決まったときの興奮は、得点以上の価値を生み出し、観客に忘れられない感動を与えます。
バスケットボールの醍醐味は「最後の1秒」にあるといっても過言ではありません。
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