野球の背番号に意味はある?

野球の背番号は、ただ選手を見分けるためにあるだけでなく、さまざまな意味を持っています。

またプロ野球やメジャーリーグ、高校野球、少年野球でそれぞれ意味が異なりますので、まずは各リーグごとの「背番号が持つ意味」について解説していきます。

プロ野球の背番号の意味

プロ野球の背番号は0番から99番まであり、基本的にどの番号をつけるかは自由に決められます。しかし各チームの一軍の選手を見ていると、番号の決め方には2つの傾向があることがわかります。

1つ目は、レギュラークラスの野手は1桁もしくは若い番号をつけていること。高校野球のように、ご自身のポジションに合わせた番号をつける選手も多くみられます。

2つ目は、エースピッチャーには背番号18が与えられること。歌舞伎を語源とする「得意な事=十八番」という表現から、18がエースナンバーになったと考えられています。

執筆時点では、読売ジャイアンツの菅野智之選手や東北楽天ゴールデンイーグルスの田中将大選手など、球界を代表する投手が背番号18をつけています。

メジャーリーグの背番号の意味

日本のプロ野球と同様に、メジャーリーグでも背番号を自由に決められます。また日本のプロ野球とは異なり、レギュラー選手が若い背番号をつける傾向はありません。

ではどのような基準で背番号が決めているのでしょうか。

多く見られるのは、自身や家族の誕生日、尊敬する選手の背番号を真似することです。

また番号別に見てみると「10、12、24、25、27、44」は強打者が多く着用しています。あるいは「31、32、40」はエース級の好投手が多い印象です。

メジャーリーグを観戦するときは、各選手の背番号に注目して見るのも面白いかもしれません。

高校野球の背番号の意味

高校野球では、ベンチ入りする20名程度の選手に背番号が与えられ、レギュラー選手は1桁の背番号をつけるのが慣習になっています。

1桁の背番号は、守備位置によって以下のように決められています。

  • 背番号1 ピッチャー
  • 背番号2 キャッチャー
  • 背番号3 ファースト
  • 背番号4 セカンド
  • 背番号5 サード
  • 背番号6 ショート
  • 背番号7 レフト
  • 背番号8 センター
  • 背番号9 ライト

※あくまで慣習ですから、背番号によって守れるポジションが限定されることはありません。

また2桁の番号をみてみると、10番や11番は控えピッチャーに与えられることが多い傾向にあります。12番以降は選手の守備位置に合わせて、例えば控えキャッチャーであれば12番、控えファーストであれば13番といったように決められていきます。

ちなみに高校野球では、監督やコーチは背番号をつけていません。

少年野球の背番号の意味

少年野球でも高校野球と同様に、基本的にはレギュラー選手に1桁の背番号が与えられます。

高校野球と異なる点は、キャプテンの選手が背番号10をつけること。キャプテンはレギュラー選手であることが多いため、必然的に背番号1桁の控え選手が1名いることになります。

また背番号11以降は、チームによって決め方がさまざまです。監督の判断や選手の入団順、選手が好きな番号など、自由度が高い少年野球ならではの決め方ですね。

なお少年野球では指導者も背番号を着用しており、監督は30と決められています。大会によってはコーチも29、28、27と、選手と見分けがつくように着用を義務付けられるケースもあります。

野球の背番号とポジションの関係

高校野球や少年野球では守備位置に合わせた番号をつけるようになっており、野球の背番号とポジションは大きく関係しています。

ここでは各ポジションと背番号の解説や、各背番号をつけた代表的なプロ選手を紹介します。

背番号1 ピッチャー

高校野球の背番号1は、ピッチャーを意味しています。

チームに数多くいる投手の中でも、最も優れたピッチャーのみが、エースの証である背番号1をつけられるのです。

ピッチャーは最も目立つポジションで競争率も高いため、背番号1が一番人気なのは間違いありません。高校野球や少年野球では、背番号1をつけるために、多くの選手が日々の練習に励んでいます。

なお背番号1の代表的なプロ野球選手には、東京ヤクルトスワローズの山田哲人選手などがいます。

背番号2 キャッチャー

高校野球の背番号2は、キャッチャーを意味しています。

「守備の要」とも呼ばれるキャッチャーは、ピッチャーの球を捕るだけでなく味方に的確な指示を出さなければなりません。野球に詳しく、素早く的確な判断ができる選手が任されるポジションですね。また、敵チームの盗塁を阻止するためにも、肩が強い選手であることも必須です。

背番号2をつけている代表的な選手には、日本のプロ野球では広島東洋カープの田中広輔選手、メジャーリーグではボストンレッドソックスのイグサンダー・ボガーツ選手などがいます。

背番号3 ファースト

高校野球の背番号3は、ファーストを意味しています。

ファーストは野手からの送球を受ける機会が多いので、身長の高い選手が任せられるポジションです。また悪送球にも対応しなければならず、柔軟性があることも重要。プロ野球や高校野球を見ていると、開脚でべったりと地面につくファーストが多いですね。

背番号3をつけている代表的な選手には、プロ野球では東北楽天ゴールデンイーグルスの浅村栄斗選手、メジャーリーグではフィラデルフィアフィリーズのブライス・ハーパー選手などがいます。

背番号4 セカンド

高校野球の背番号4は、セカンドを意味しています。

グラウンド内での動きが多いセカンドは、守備が得意で俊敏な選手が守ります。セカンドは背が小さく、守備職人というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

背番号4をつけている代表的な選手には、プロ野球では東北楽天ゴールデンイーグルスのオコエ瑠偉選手、メジャーリーグではトロントブルージェイズのジョージ・スプリンガー選手などがいます。

背番号5 サード

高校野球の背番号5はサードを意味しています。

内野手の中で最も打者との距離が近いサードは、度胸を持った選手が適任です。素早い打球を処理し、時には体を張るポジションで、「ホットコーナー」の異名を持ちます。また、内野手の中で最もファーストから遠いため、肩が強いことも必要です。

背番号5をつけている代表的な選手には、プロ野球では福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩選手、メジャーリーグではサンディエゴパドレスのウィル・マイヤーズ選手などがいます。

背番号6 ショート

高校野球の背番号6は、ショートを意味しています。

「守備の花形」と呼ばれるショートのポジションは、チームの中心選手が起用されることが多く、カバーリングやダブルプレーなどその役割は多岐にわたります。バッティングが得意な選手も多く、走攻守が揃ったポジションという印象ですね。

背番号6をつけている代表的な選手には、プロ野球では読売ジャイアンツの坂本勇人選手、メジャーリーグではロサンゼルスエンゼルスのアンソニー・レンドン選手などがいます。

背番号7 レフト

高校野球の背番号7は、レフトを意味しています。

「左翼手」とも言い表されるレフトは、サードとショートの後方で外野の守備を担います。
レフトはバッティングが得意な選手が多く、長距離バッターのイメージが強いポジションです。プロ野球でもバッティングを期待されている外国人選手が、レフトを守っているのはよく見る光景ですよね。

背番号7をつけている代表的なプロ野球選手には、オリックスバファローズの吉田正尚選手などがいます。

背番号8 センター

高校野球の背番号8は、センターを意味しています。

外野の中心であるセンターのポジションは、レフトやライトと素早く的確な連携をとる必要があります。周りを見渡せる視野と広い守備範囲を持った選手が適任で、外野手のリーダー的存在ですね。
外野手のなかでもキャッチャーまでの距離が一番遠いことから、センターの選手は肩が強いことも必須です。

背番号8をつけている代表的なプロ野球選手には、阪神タイガースの佐藤輝明選手などがいます。

背番号9 ライト

高校野球の背番号9は、ライトを意味しています。

ライトは不規則な打球が飛んできやすいポジションで、どんな打球にも冷静に対応できる落ち着いた選手に任せられます。メジャーリーグで長年ライトを守っていたイチロー選手も、守備能力が高いことで有名ですよね。

背番号9をつけている代表的な選手には、プロ野球では福岡ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手、メジャーリーグではサンフランシスコジャイアンツのブランドン・ベルト選手などがいます。

プロ野球の代表的な出世番号を紹介

プロ野球で活躍した選手が以前つけていた背番号を、縁起が良い番号として「出世番号」と呼びます。

これは主に若手の選手や、期待されている選手が着用することで有名な背番号ですね。

野球好きなら知っておきたい、代表的な出世番号をご紹介していきます。

背番号51 イチロー

メジャーリーグでのシーズン最多安打や10年連続200本安打など、数々の大記録を残してきたイチロー選手。オリックス入団時から現役引退まで、イチローが大部分の期間つけていたのが背番号51です。

近年では、横浜DeNAベイスターズの宮崎敏郎選手や、広島東洋カープの鈴木誠也選手が着用してブレイクしています。

イチローと同じく高い打率を残す、「アベレージヒッター」が好む番号ですね。

背番号23 青木宣親・山田哲人

背番号23は、東京ヤクルトスワローズの出世番号と考えられます。

2000年に投手の藤井秀悟選手が着用すると、翌2001年には最多勝のタイトルを獲得します。その後2004年から背番号23をつけた青木宣親選手は、首位打者を獲得しメジャーリーグでも活躍しました。

青木選手の後に背番号23を受け継いだ山田哲人選手は、本塁打王やトリプルスリーを3度も達成するなど、今や球界を代表する選手に成長しています。

背番号63|丸佳浩

広島東洋カープの出世番号といえば、背番号63です。

丸佳浩選手が2008年から背番号63を着用し、3年後にレギュラー定着、5年後には盗塁王のタイトルを獲得しました。丸佳浩選手の後に背番号63を受け継いだのが田中広輔選手。田中選手はプロ入り1年目からレギュラーに定着して、日本代表に選ばれるまでに成長しています。

執筆現在、広島東洋カープで背番号63をつけているのは、西川龍馬選手です。西川選手もシーズン通算打率3割越えを記録しており、今後の活躍から目が離せません。

背番号32 松井稼頭央

背番号32を出世番号として広めたのは、埼玉西武ライオンズに所属していた松井稼頭央選手です。
入団当初から背番号32を着用して、プロ入り3年目には50盗塁を記録します。その後2004年からは、メジャーリーグの舞台で活躍しました。

また松井選手が西武ライオンズから離れた5年後には、浅村栄斗選手が背番号32を受け継ぎます。浅村選手は、2013年に打点王、2018年にはチームで日本人史上初の3割30本100打点という大記録を達成しました。

プロ野球の代表的な永久欠番を紹介

プロ野球には「永久欠番」と呼ばれる背番号もあります。

永久欠番とは、優れた功績を残した選手や監督の栄誉を称えるために、そのチーム内では永久に使用しないことにした背番号のこと。

代表的な「永久欠番」をご紹介していきますので、出世番号とあわせて押さえておきましょう。

背番号1 王貞治

プロ野球で最も有名な永久欠番は、読売ジャイアンツの背番号1ではないでしょうか。

この番号は、「世界の王」とも呼ばれる王貞治選手が現役時代につけていた背番号です。王貞治氏は、シーズン通算ホームラン868本の世界記録を樹立しており、この記録は現在も破られていません。

選手や監督として30年間読売ジャイアンツの背番号1を背負い、退団した翌年の1989年に永久欠番として認定されています。

背番号15 黒田博樹

選手の背番号が永久欠番になった例で、最も新しいのが広島東洋カープの背番号15です。

背番号15をつけていた黒田博樹選手は、プロ野球で最多勝や最優秀防御率のタイトルを獲得したのち、メジャーリーグに活躍の舞台を移しています。

2014年のオフには、メジャーリーグ球団からの20億円オファーを断って、広島東洋カープに復帰したことで話題になりました。
優秀な成績はもちろんのこと、高額オファーを断って広島へ戻るという「男気」の部分にも敬意を表されて、2016年に永久欠番に認定されています。

背番号77 星野仙一

東北楽天ゴールデンイーグルスの背番号77は、星野仙一が監督を務めたときに着用した番号です。

星野仙一氏は2013年に監督として、楽天を球団創設以来初めての日本一に導くなど、その手腕を振るいました。

監督時代のみ着用していた背番号が永久欠番になったのは初めてで、星野仙一氏への敬意と追悼の意を込めたものと思われます。

背番号42 ジャッキー・ロビンソン

メジャーリーグの全球団が、永久欠番に制定している背番号42。かつてジャッキー・ロビンソンという選手がつけていた背番号です。

ジャッキー・ロビンソン氏はアメリカで人種差別が問題になるなか、黒人選手として初めてメジャーリーグの舞台に立ちました。
その功績が称えられ、1997年にメジャーリーグの全球団で背番号42が永久欠番に制定されました。

執筆現在では、毎年4月15日を”ジャッキー・ロビンソン・デー”として、希望選手全員が背番号42をつける日になっています。

野球を見るときには背番号にも注目

野球を見る際、選手を見分けるために使われる背番号。

一つひとつの番号に込められた意味を知っていれば、これまでよりももっと野球を楽しめるはずです。

ぜひ推しの選手の背番号に注目しながら、野球を楽しんでいって下さい。