プロ野球観戦をしていて、「雨天で中止になったけれど、試合成立した」という場面に遭遇したことがある方も少なくないはず。 「プロ野球では、何回で試合が成立するんだろう?」と疑問に思っている野球観戦初心者の方に向けて、この記事では、プロ野球における試合成立の条件や、そのほか試合成立に関係するルールについて詳しく説明します。 詳しいルールを知ることで、より野球観戦を楽しめるようになるはずです。

プロ野球の試合成立条件とは

プロ野球の試合が成立するには、基本的に5回まで進んでいることが条件です。

野球の試合は通常、9回まであります。ですが、途中の5回で終わった場合でも、条件を満たしていれば、試合成立として公式記録に算入されます。

具体的には、5回裏まで試合が進んでおり、試合が終了または中断された時点で、以下の3つの条件のいずれかを満たしていると、試合成立になります。

  • 試合が5回裏まで終了している場合
  • 5回表の終了時、または5回裏の途中に、後攻チームが先攻チームにリードしている場合
  • 5回裏に後攻チームが先攻チームに同点まで追いついている場合

試合が5回裏まで終了している場合のスコア例

1345R
先攻010102
後攻001001

この場合、5回裏時点で2-0、先攻チームの勝ち

5回表の終了時、または5回裏の途中に、後攻チームが先攻チームにリードしている場合のスコア例

1345R
先攻010001
後攻001102

この場合、5回表、または5回裏の途中で1-2になり、後攻チームの勝ち

5回裏に後攻チームが先攻チームに同点まで追いついている場合のスコア例

1345R
先攻010001
後攻000011

この場合、5回裏時点で1-1で引き分け

プロ野球での試合開始と中止の判断は誰がするか

プロ野球では、試合が始まる前の段階では主催球団、つまり先攻チームの球団が試合を開始するかどうかの判断をします。

主催球団が「試合を開催する」と判断し、両監督がメンバー表を交換した時点で、試合開始になります。

また、試合開始後は、試合を続行するか否かは審判団の判断となり、先攻チームや後攻チームは関与しません。

ただし、シーズン終盤になると、試合前の中止の判断は主催球団ではなく連盟管理節になります。

ファンへの配慮なども考慮され、できる限り試合を成立させるよう、慎重な判断が行われているのがプロ野球の試合です。

プロ野球における試合成立に関係するルール

プロ野球では、試合成立に関するルールがいくつか存在します。

ルールを知っておくと、「この試合はこうなりそうだな」とより楽しく観戦ができるようになりますので、ぜひ知っておいてください。

 

プロ野球でのコールドゲーム

コールドゲームとは、途中で終わる試合のことを指します。

コールドゲームには2種類あり、一定以上の点差が開いた場合と、自然災害などで試合を続けるのが難しいと判断された場合に分けられます。

ただし、プロ野球は、点差によるコールドゲームの規定がないのが特徴。どんなに点差がついたとしても、試合を途中で打ち切ることはまずありません。

基本的にプロ野球では、降雨やグラウンドの状態悪化など、天候や状況によって球審が試合を打ち切る場合に、コールドゲームが適用されます。雨天コールド、もしくは降雨コールドとも言われます。

例えば、5回裏終了時点で雨天によるグラウンドの状態悪化で試合終了となった場合、コールドゲームとして、5回裏終了時点での点数で勝敗が決まります。

プロ野球でのノーゲーム

試合成立の条件を満たさない場合、試合はノーゲームとなり、記録は無効となります。コールドゲームとの違いは、「試合が成立したかどうか」という点です。

例えば、4回時点で雨天により試合が打ち切られた場合、試合が成立していないため、ノーゲームとして扱われます。その試合で選手がヒットやホームランを打ったとしても、ノーゲームになった場合、その記録も成績には反映されません。

ノーゲームになった場合は、その後、シーズン終盤に設けられている予備日に再試合が行われるのが基本です。

プロ野球でも高校野球でもノーゲームになることは珍しくありません。

ノーゲームとなった試合においては通常、観客などへの入場券は払い戻しとなることが一般的です。

プロ野球での延長戦

プロ野球の試合は、基本的に9回までです。ただし、通常の9回までに決着がつかなかった場合は、延長戦が行われます。

時間無制限で12回を限度として延長戦が行われ、それでも点差がつかないときは引き分けになります。

また、日本シリーズの場合は、第7戦は12回まで延長戦があり、第8戦以降は制限を設けない延長戦が行われ、勝敗が決まるまで続くのが規定です。

プロ野球でのタイブレーク

延長戦ルールに、タイブレーク制度というものもあります。

野球は、他のスポーツと違って試合時間が決まっていません。延長戦に入るなど、試合の進行に時間がかかる要素が多々あります。

そのため、早く勝敗を決定するために導入された特別なルールが、タイブレークです。

タイブレークのルールとしては、以下の3つが定められています。

  • 延長10回から開始する
  • 無死1、2塁、または無死2塁から攻撃開始する
  • 打順は前イニングから継続する

高校野球では、2018年からほぼ全ての公式戦でタイブレークが導入されています。

プロ野球では、2024年からファーム(2軍)の公式戦でタイブレーク制が試験導入されています。今後、一軍での導入も検討されている制度です。

プロ野球でのタイゲーム

試合が終了したときにお互いのチームの得点が同点だった場合の試合のことを、タイゲームと言います。いわゆる引き分けです。

審判が試合を終了させる場合、どちらかのチームの得点が相手チームを上回って勝敗の決着がついている際には「ゲーム」、両チームの得点が同点で決着がついていない場合には「タイゲーム」と呼ばれています。

プロ野球でタイゲームになった場合は、延長戦に突入するのが一般的です。12回を限度に延長戦が行われますが、延長戦でも決着がつかない場合は、引き分けとなります。

日本シリーズへの出場をかけて争うクライマックスシリーズでは、通常シーズンと同じく延長戦が12回まで行われ、12回終了の時点で同点の場合は引き分けになります。

また、対戦成績が五分になった場合は、レギュラーシーズンの順位が上のチームが勝ち抜けになるというルールです。

プロ野球でのサスペンデッドゲーム

野球では、野球場などの施設の事故や天災によって試合が一時的に中断され、翌日などに中断した前の時点から試合を再開することを「サスペンデッドゲーム」と言います。野球のほか、ゴルフやテニスでもサスペンデッドゲームになることがあります。

プロ野球においては、1987年5月23日の南海対ロッテ戦で、日没によりサスペンデッドゲームになりました。この試合を最後に日本のプロ野球ではサスペンデッドゲームは適用されていません。

南海対ロッテ戦以降も、一度も適用が無いまま、2012年1月24日に行われたパ・リーグの理事会において、同日付でサスペンデッドゲームの条項を削除することが決まりました。

これにより、日本プロ野球におけるサスペンデッドゲームは正式に撤廃されています。

試合成立のルールを知ってプロ野球を楽しもう

野球の試合成立にまつわるルールは複雑なため、野球観戦初心者の方は覚えるのに苦労するかもしれません。

しかしながら、野球の試合を観戦するなら、試合成立の基本的なルールも理解しておくことをおすすめします。

試合成立の条件を把握しておくと、観戦中に雨が降ったときなどに、「この試合、コールド負けになるかな?」「このまま5回裏まで逃げ切ったら勝てるな」など、より臨場感のある見方ができるようになるはずです。

野球観戦をもっと楽しむためにも、試合成立のルールは確認しておきましょう。