日本プロ野球におけるシーズンの流れ

日本プロ野球(NPB)では、レギュラーシーズンを通して継続的に試合を行います。それぞれの試合形式と順位の決め方をについて解説するので、基礎知識として知っておきましょう。
オープン戦
オープン戦とは、2~3月の公式戦の前(プレシーズン)に行われる調整試合です。レギュラーシーズンの公式戦と違い、セ・リーグ(セントラル・リーグ)とパ・リーグ(パシフィック・リーグ)の垣根を超えて12球団が対決します。
順位や成績も勝率順に発表されますが、レギュラーシーズンの結果には直接影響しません。ちなみに、野球ファンの間では「オープン戦で3位だったチームは公式戦で苦戦しやすい」というジンクスがささやかれています。
ペナントレース
プロ野球の各リーグの首位を争う公式戦を、ペナントレースといいます。優勝チームにペナント(優勝旗)が送られることから、このように呼ばれるようになりました。時期は4月~10月で、総当たり形式のリーグ戦です。
2025シーズンでは、1球団あたり143試合(リーグ内25回戦総当たり125試合・交流戦18試合)が行われます。順位の決め方は勝率で、各リーグ1~3位の球団がクライマックスシリーズに進出できるルールです。
交流戦
5月~6月にペナントレースの一部として行われるのが交流戦です。勝率で順位が決まり、同率に並んだときは以下の成績で決定します。
- 勝利数
- 当該チーム間の当年度交流戦の直接対戦成績
- TQB=(得点÷攻撃イニング)−(失点÷守備イニング)の大きい方
- ER-TQB=(相手自責点による得点÷攻撃イニング)−(自責点÷守備イニング)の大きい方
- チーム打率
- 前年度交流戦の上位チーム
3球団以上が並んだ場合は、上記の表から直接対戦成績を除外して順位がつけられます。交流戦の勝敗や成績は、ペナントレースにも反映される仕組みです。
クライマックスシリーズ
10月の途中から、日本シリーズの出場チームを決めるクライマックスシリーズが始まります。出場するのは、ペナントレースで勝率が高かった各リーグ上位3チームです。
ファーストステージ(3試合制) | 各リーグ2位チーム VS 3位チーム |
ファイナルステージ(6試合制) | ファーストステージ勝利チーム VS リーグ戦1位チーム |
上記のように、リーグごとにトーナメント形式で対戦するルールです。セ・リーグとパ・リーグそれぞれの代表チームを決定して、日本シリーズに進出します。
日本シリーズ
クライマックスシリーズを勝ち抜いた、各リーグ代表のチームが対戦します。時期は10月下旬~11月上旬ごろ。正式名称は「プロ野球日本選手権シリーズ」です。
日本一をかけて7試合制で戦い、先に4勝したチームが優勝します。日本一が決定した時点で終了となるので、試合が残っていてもそれ以降は行われません。
日本プロ野球における順位の決め方とは

さまざまな試合がありますが、日本プロ野球において最も重要なのは公式戦であるペナントレースです。順位の決め方と、同率になったときの対応をまとめました。
順位は勝率で決定する
ペナントレースでは、勝率が高いほど順位が高くなります。野球における勝率とは、試合数に対する勝利数の割合を示す指標です。
勝率の計算式は、勝試合数÷(勝試合数+敗試合数)です。引き分けは勝率にカウントしません。
たとえば143試合のうち85勝55敗3分だった場合は、85(勝試合数)÷85(勝試合数)+55(敗試合数)で、勝率は0.6になります。
勝率が並んだときの順位の決め方
勝率が並んだときの順位の決め方は、セ・リーグとパ・リーグで異なります。
セ・リーグ | 1. 勝率 2. 勝利数 3. 当該球団間の対戦勝率 4. リーグ内対戦成績の勝率 5. 前年順位 |
パ・リーグ | 1. 勝率 2. 当該球団間の対戦勝率 3. リーグ内対戦成績の勝率 4. 前年順位 |
勝率が同じなら勝利数、勝利数が同じなら当該球団間の対戦勝率というように、決め方の優先順位が決まっています。セ・リーグでは勝率に次いで勝利数が優先されますが、パ・リーグでは当該球団間の対戦勝率が2番目に優先です。
プロ野球の順位に関連する用語を紹介

プロ野球の順位に関連する用語を解説します。順位の決め方とあわせてチェックすれば、より理解が深まるはずです。
貯金
プロ野球の貯金とは、シーズン中における勝ち数と負け数の差を指します。つまり、勝ち越している試合数を表す指標のことです。チームの勝ち数−チームの負け数で計算します。
たとえばチームが33勝20敗なら、計算式は33(勝ち数)−20(負け数)で貯金は13になります。貯金が多いほどリーグ戦でのチームが強く、上位になりやすいと考えられます。
一方で勝ち数より負け数が多くなると、貯金はマイナスになります。30(勝ち数)−33(負け数)なら貯金は-3です。この場合は借金と呼ばれており、多くなるとリーグ戦でのチームの成績が悪くなるため、下位になりやすくなります。
ゲーム差
ゲーム差とは、勝率による順位における上位チームと下位チームの勝敗の差です。同じ順位になるために、下位チームが上位チームに何試合勝てばいいのかを表します。
たとえばゲーム差が1であれば、1勝すれば上位チームに追いつける、という意味になります。計算式は(上位チーム貯金数−下位チームの貯金数)÷2です。
12(上位チームの貯金数)−6(下位チームの貯金数)÷2の場合は、ゲーム差が3になります。
非常にまれなケースですが、消化試合数の違いにより、一時的に下位チームの貯金が上位チームを上回り、計算上ゲーム差がマイナスとして表示される場合もあります。
メジャーリーグにおける順位の決め方

メジャーリーグ(MLB)では、レギュラーシーズンとポストシーズンをへてシーズン優勝を決定します。それぞれの順位の決め方について、わかりやすくまとめました。
レギュラーシーズン
アメリカン・リーグ(ア・リーグ)15チーム、ナショナル・リーグ(ナ・リーグ)15チームの、合計30チームでリーグ戦を実施します。各球団が162試合を行い、勝率によって順位を決定するルールです。
東・中・西地区で勝率が1位だった3チームが地区優勝となり、さらに各地区2位以下の中から勝率がよかった3チームが加わって、ポストシーズンに進出します。
ポストシーズン(プレーオフ)
ポストシーズンでは、レギュラーシーズンの結果によって、ア・リーグ6チームとナ・リーグ6チームの計12チームが対戦します。以下のようなステージを、トーナメント方式で勝ち上がる仕組みです。
- ワイルドカードシリーズ
- ディビジョンシリーズ
- リーグチャンピオンシップシリーズ
- ワールドシリーズ
最後のワールドシリーズでは、勝ち上がったア・リーグとナ・リーグのチャンピオンが対戦し、先に4勝したチームが優勝になります。
プロ野球での順位の決め方を知っておこう
プロ野球の順位の決め方は、試合によって異なります。日本プロ野球で一番重要なのは、公式戦となるペナントレースです。試合数に対する勝利数の割合(勝率)によって、順位が決定します。
順位の決め方を知っておけば、推しているチームの現在の立ち位置がわかります。ペナントレースの勝率に注目して、試合観戦を楽しみましょう。メジャーリーグのレギュラーシーズンの順位も勝率で決まるので、あわせてチェックしてください。
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