この記事では、初心者向けに陸上の混成競技のルールや観戦ポイントをわかりやすくご紹介します。

陸上の混成競技とは?

陸上競技とは「走る・跳ぶ・投げる・歩く」といった、人間の基本的な動きをベースにしたスポーツの総称。大きく3つに分けられます。

まずは、競技場のトラックを走る「トラック競技」。短距離・中距離・長距離・リレー・ハードルなどが該当します。

「フィールド競技」競技場の内側や外側で行う、投げる・跳ぶ種目。走高跳・砲丸投・走幅跳などがそうです。

1人の選手が複数のトラック種目とフィールド種目を行うのが「混成競技」。

陸上競技の国際大会、世界陸上やオリンピックはもちろん、日本では国体(国民体育大会)や日本選手権などでも実施されています。

得点は、各種目の記録を国際陸上連盟(World Athletics)が定めたポイント表に基づいて算出します。例えば、男子100mで10秒を切れば高得点、走幅跳で7m飛べば得点が加算されるという感じ。種目ごとの得点は異なりますが、総合得点が多い選手が勝者となります。

混成競技の種目と実施スケジュール

混成競技は、2日間かけて複数種目を戦う総合力勝負。

記録に応じて換算されるポイントの合計で勝者が決まります。ドラマ性が高いのが魅力です。

選手の得意種目によって順位変動が激しく、最後まで目が離せない展開が続きます。

十種競技(デカスロン)

1日目

  1. 100m
  2. 走幅跳
  3. 砲丸投
  4. 走高跳
  5. 400m

2日目

  1. 110mハードル
  2. 円盤投
  3. 棒高跳
  4. やり投
  5. 1500m

十種競技は「キング・オブ・アスリート」と賞賛される種目。

100m、走幅跳、砲丸投、走高跳、400m、110mH、円盤投、棒高跳、やり投、1500mの10種目を2日間かけて行います。

短距離・跳躍・投擲・持久走すべてをこなすため、身体能力・技術・スタミナ・メンタルの総合力が問われます。

七種競技(ヘプタスロン)

1日目

  1. 100mハードル
  2. 走高跳
  3. 砲丸投
  4. 200m

2日目

  1. 走幅跳
  2. やり投
  3. 800m

七種競技は女子の種目です。

100mH、走高跳、砲丸投、200m、走幅跳、やり投、800mの7種目を2日間でおこないます。

技術種目(跳躍・投擲)の7スピード種目がバランスよく配置されており、女性アスリートの多才さを実感できる競技です。

混成競技(十種競技・七種競技)の基本ルール

混成競技の基本ルール

  • 記録によってポイントが加算される
  • 決められた順番で競技をする
  • どれか1種目でも「記録なし」になると失格

各種目のルールは通常の陸上競技と同様です。

ただし、混成競技ではスタート順や試技回数があらかじめ決められています。

トラック種目のスタート順は総合得点順。上位選手ほど内側のレーンからスタート。

フィールド種目の試技回数は、各競技者3回。1回あたりの試技時間も設定されており、その時間内に試技を追えなければ「無効試技」になります。

最終種目では、それまでの総合得点順に「1」「2」「3」と順位番号を身につけるルールも。多くの大会では前面に順位、背面に個別番号を身につけます。

得点計算の方法と順位の決め方

混成競技では単純に順位だけで勝敗が決まりません。記録をポイント表に換算し、各種目の得点を合計することで総合順位が決まります。

  • 短距離:タイムが速いほど高得点
  • 跳躍・投てき:距離や高さが出るほど高得点

得点の変動を把握すると、途中経過でも勝敗の予想や選手の強み・弱みが見えてきます。観戦する場合は「記録」と「得点」をセットで見るといいでしょう。

混成競技の種目ごとの注目ポイント

陸上競技のスタジアム観戦は、テレビでは味わえない「空気」と「迫力」が魅力。

しかし、ルールがシンプルであるがゆえに、現地での見方に少しコツが要るのも事実です。

ここでは、現地観戦をもっと楽しく・もっとわかりやすくするポイントを紹介します。

短距離(100m・200m・110mハードル)

瞬発力とスタートダッシュが勝敗に直結します。

混成競技では「いかにタイムで差をつけられるか」が鍵で、短距離得意選手が序盤で大きく得点を稼ぐ場面が多いです。

跳躍(走幅跳・高跳・棒高跳)

技術とパワーの両方が求められます。走幅跳は踏切のタイミング、高跳や棒高跳は助走のリズムやバーの越え方が見どころです。

初心者は「助走が長い=有利」ではなく、正確な踏切とフォームが重要であることを覚えておくと観戦が楽しくなります。

投てき(砲丸投・円盤投・やり投)

体力と投擲テクニックで距離を稼ぐ種目です。ポイント差がつきやすく、不得意種目で大きく失点する選手もいます。

観戦時は「フォームの美しさ」と「距離」を両方チェックすると、選手の個性が見えてきます。

中長距離(400m・800m・1500m)

スタミナとペース配分が勝負を左右します。疲労が蓄積した状態で走るため、順位の変動が激しく、最後まで目が離せません。

初心者は「途中で順位が入れ替わるドラマ」に注目すると、より楽しめます。

陸上競技を観戦するには?

陸上競技を観戦する方法は、おもに2つの方法があります。

テレビや配信を視聴観戦する

オリンピックや世界陸上など大きな大会は、テレビの生中継や配信を楽しむのもいいでしょう。

リプレイで勝負の分かれ目を確認することもできますし、解説があることで見どころが理解しやすいのがポイントです。

TVerやNHKプラスなどの配信は、スマホやタブレットからでも気軽に観戦できます。

スタジアムで観戦する

選手の気迫やスタート前の緊張感を肌で感じられるのは、競技場ならでは。

競技場で混成競技を観るのであれば、トラック全体が見える席(バックスタンドやゴール前)がいいでしょう。競技場とても広いため、オペラグラスや双眼鏡を持っていくといいでしょう。

また、競技場には屋根がありません。世界大会となると夕方から夜に行なわれることもありますが、観戦中はずっと屋外にいることは変わりありません。日除けグッズや飲み物、薄手の上着は、必ず準備しておきましょう。

陸上の混成競技に関するQ&A

Q1 混成競技って誰が勝つのか予測しやすい?

得意・不得意の差が大きいため、途中経過では順位が変わりやすく、最後まで勝敗がわかりません。

観戦のコツは、選手の総合得点を追うこと。選手同士の駆け引きや戦略が見えてくるでしょう。

Q2 他の陸上種目と何が違うの?

単種目競技は瞬間の勝負ですが、混成競技は総合力と戦略が試されます。

混成競技は、1人の選手がさまざまな能力を発揮する点が魅力です。

Q3 混成競技の観戦、知識がなくても楽しめるの?

ポイント表や各種目の見どころを押さえると、初心者でも十分楽しめます。

特に得意種目・不得意種目の差や、総合得点の推移に注目すると、テレビ観戦・会場観戦ともに面白さが増すのでおすすめです。

陸上競技は少しの知識があれば観戦が楽しくなる

陸上競技の観戦は「知らないことがあるのが普通」。ましてや混成競技となると、知らなくて当然です。

陸上競技を観戦する際は、はじめからすべて理解しようとせず「気になった競技だけでも楽しく観る」ぐらいの心構えで問題ありません。ルールや記録の意味も自然と分かってきます。

まずは、目の前で繰り広げられる“人間の極限バトル”を、五感で味わってください。