バレーボールのタイムアウトとは?

バレーボールにおけるタイムアウトとは、試合の流れの中で一時的にプレーを止め、チームが作戦を確認したり立て直しを図ったりするための時間です。
タイムアウトは単なる休憩ではなく、監督やコーチが選手に直接指示を出せる数少ない機会であり、試合の勝敗を左右する場面でもあります。
連続失点の直後や接戦の終盤など、重要なタイミングでタイムアウトが取られる傾向にあります。
タイムアウトの仕組みを理解すると、「なぜ今タイムアウトなのか」「この後どう変わるのか」といった視点で試合をより深く楽しめるようになるはずです。
チームが要求するタイムアウト

バレーボールのタイムアウトは、「チームが要求するタイムアウト」と「テクニカルタイムアウト」の2種類に分けられています。
テクニカルタイムアウトについては、国際大会では廃止されていますが、国内ルールでは大会により運用が異なるケースがあります。
ここでは、チームが要求するタイムアウトについて解説します。
タイムアウトの回数と秒数
6人制バレーボールでは、各セットにつき1チーム最大2回までタイムアウトを要求できます。
1回のタイムアウトの長さは30秒と定められており、この短い時間の中で監督やコーチは的確な指示を出さなければなりません。
タイムアウトには回数制限があるため、「ここぞ」という場面で使われます。
なお、各セットの間にタイムアウトを取らなかった場合も、次のセットに持ち越すことはできません。
タイムアウトの取り方
タイムアウトは、監督がブザーを鳴らして、審判に対して両手で「TIME OUT」の「T」の字を示すことで申告できます。
主審の笛が鳴り、スコアボードに「T」の表示が出ると、正式にタイムアウトが開始されます。
要求できるのはボールがデッドになった瞬間のみで、ラリー中に申請することはできません。
また、タイムアウトを取れる回数をすでに使い切っている場合は申請しても認められず、遅延行為とみなされることもあるため注意が必要です。
テクニカルタイムアウト

ここからは、テクニカルタイムアウトについても解説します。
テクニカルタイムアウトと要求タイムアウトの違い
テクニカルタイムアウトとは、チームの要求によらず、ルールによって自動的に取られるタイムアウトのこと。各セットでリードしているチームが一定の得点に達した時点で与えられます。
テクニカルタイムアウトは、主にテレビ中継や大会運営の都合を考慮して導入された制度で、チーム戦術とは直接関係ありません。
一方、要求タイムアウトはチーム側の判断で取るため、戦術的な意味合いが非常に強いという違いがあります。
テクニカルタイムアウトは国際ルールでは廃止されている
テクニカルタイムアウトは、2022年に開催された世界バレーから、ルール改正で廃止されました。
また、SVリーグでもリードするチームが12点到達時に設けていた60秒間のテクニカルタイムアウトが廃止されています。
ただし、国内リーグや学生大会、地域大会などは主催団体の規程が優先され、テクニカルタイムアウトが設けられている場合があります。
ちなみに、テクニカルタイムアウトが廃止された主な理由は、試合時間を短縮するためです。
現在のバレーボールは、試合のテンポや競技性を重視する流れが強まっており、より純粋なゲーム展開が楽しめるようになっています。
テクニカルタイムアウトの回数と秒数
かつての国際大会や国内リーグでは、1〜4セット目においていずれかのチームが8点もしくは16点(リーグによっては12点の場合もあり)に達した時点で、各1回ずつテクニカルタイムアウトが取られていました。
秒数は60秒と、要求タイムアウトより長く設定されていたのが特徴です。
テクニカルタイムアウトは選手の水分補給や簡単な確認が中心となり、細かな戦術修正よりもリズム調整の意味合いが強いものでした。
最終5セット目にテクニカルタイムアウトはない
最終の第5セットは15点制で進行が早いため、テクニカルタイムアウトは設けられていませんでした。
その分、要求タイムアウトの重要性が増し、1回の判断ミスが試合結果に直結するケースも少なくありません。
タイムアウトを取る目的

タイムアウトは各セットにつき1チーム最大2回までしか要求できないため、大切に使う必要があります。
ここでは、タイムアウトを取る主な目的を3つ紹介します。
悪い流れを断ち切る
タイムアウトの代表的な目的は、連続失点やミスが続くことで生まれた悪い流れを断ち切ることです。
バレーボールは「流れのスポーツ」とも言われ、相手に勢いが乗るとたった数分で点差が大きく開くケースも珍しくありません。
そこでタイムアウトを取ることで、試合の流れを一旦止め、選手たちの気持ちを切り替えようと試みます。
たとえ具体的な戦術変更がなくても、「一度落ち着こう」「次の1点を大事にしよう」という共通認識を持たせるだけで、プレーの精度が回復するケースもあります。
立て直しや修正を図る
タイムアウトは、試合中に見えてきた具体的な課題を修正するための貴重な時間です。
たとえば、サーブレシーブが崩れて相手に連続ブレイクを許している場合や、相手エースに何度も決められている状況など、明確な問題点が浮き彫りになったときに使われます。
観戦している側にとっても「ここで何を修正するのか」を考えながら見ると、試合をより楽しめるはずです。
選手のメンタルを整える
タイムアウトは、戦術面のみでなく、選手のメンタルを整えるための時間としても重要です。
とくに重要な場面でのミスやエースが連続で止められた直後などは、選手自身が自信を失いかけているケースもあります。
そんなとき、監督やコーチが「次は必ず決まる」「思い切っていこう」と声をかけることで、選手は気持ちを切り替えやすくなります。
また、ミスをした選手を責めるのではなく、チーム全体で支える姿勢を示すことも試合を立て直すうえで欠かせません。
チームによっては、キャプテンやベテラン選手が中心となって声を掛け合い、チームの空気を前向きに変える場面も見られます。
観戦時に注目したいタイムアウトの見どころ

バレーボールのタイムアウトはあっという間に終わってしまいますが、監督や選手に注目することでより試合を楽しめます。
観戦時に注目したいタイムアウトの見どころを3つ紹介します。
監督やコーチの指示内容
バレーボール観戦時には、可能であれば監督やコーチの表情や身振りにも注目してみましょう。
監督の指示が短く端的なのか、それとも細かく丁寧なのかによって、そのチームの戦い方や指導方針が見えてきます。
ジェスチャーを交えて熱く語るタイプの監督もいれば、落ち着いた口調で必要最低限のことだけを伝えるタイプの監督もいます。
どの選手と重点的に話しているのかを見ることで、「次はこの選手を軸に戦うのかな」と予想する楽しみも生まれます。
選手同士のコミュニケーション
タイムアウト中は、選手同士の関係性やチームの成熟度が最も表れやすい時間です。
キャプテンが中心となってまとめているのか、それとも自然と複数の選手が声を出して意見を交換しているのかは、チームカラーを知る手がかりになります。
とくに接戦の場面では、選手同士が目を見てうなずき合ったり肩を叩いて励ましたりする様子を見られるチャンスです。
こうした小さなやり取りから、チームの結束力や信頼関係を感じ取ることができます。
タイムアウト後のプレー変化
タイムアウトの「答え合わせ」は、試合再開直後のプレーに表れます。
サーブの狙いどころが変わった、ブロックの位置が修正されたなど、細かな変化がわかると観戦の面白さが一段と増します。
もし、狙い通りにプレーがはまって連続得点につながると「このタイムアウトは成功だった」と感じられるはずです。
タイムアウトを理解するとバレーボールがもっと面白くなる
バレーボールで現在主流となっている要求タイムアウトは、わずか30秒ほどの短い時間です。
しかし、その中には監督の判断力、選手の対応力、チームの一体感などが凝縮されています。
観戦時はただ点数の増減を追うのではなく、「なぜ今タイムアウトを取ったのか」「その後何がどう変わったのか」という視点を持つことで試合がより立体的に見えてきます。
タイムアウトの意味を理解したうえで観戦すると、これまで以上にバレーボールの奥深さを感じられるはずです。
ENSPORTS fanでは、バレー観戦をたくさんの方々に楽しんでいただくために、観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらもぜひチェックしてみてください。