SVリーグとVリーグは何が違う?初心者向けに解説

かつて日本のトップリーグだった旧Vリーグは2024年10月に再編され、新たにSVリーグが創設されるとともに、Vリーグは2部リーグとして再定義されました。
まずは、SVリーグとVリーグの位置付けを簡単に整理します。
| SVリーグ | Vリーグ | |
|---|---|---|
| リーグの位置付け | 日本のトップリーグ | 2部リーグの位置づけ |
| 目的 | 世界最高峰リーグの実現 | 競技人口拡大、選手育成 |
| 参加条件 | 厳しい入会審査あり | 参加条件はSVより緩やか |
| チーム数 | 男子10チーム、女子14チーム | 男子18チーム、女子12チーム |
| 運営方式 | プロ化を前提 | 社会人選手・プロ選手が混在 |
| 試合演出 | 音響・照明・演出などエンタメ性が高い | 地域体育館中心、アットホームな雰囲気 |
| 選手のレベル | 国内外トップレベル | 若手・アマチュア・クラブチームが中心 |
| 観戦の魅力 | 高いレベルの熱戦、豪華演出 | 選手との距離が近い、チケットが安い |
簡単にいうと、SVリーグは日本の最上位リーグで、Vリーグは2部リーグとしての役割を担いながら、地域密着や育成を重視しているのが特徴です。
SVリーグとは?

はじめに、国内トップリーグであるSVリーグについて解説します。
SVリーグの概要
SVリーグ(SV.LEAGUE)は、2024年10月に誕生した日本バレーボール界の新たなトップリーグ。
現時点では、男子・女子ともに、セミプロのバレーボールリーグです。
SVリーグでは、報酬を得て活動するプロと、企業に所属し、本業を持ちながら活動するセミプロのチームが混在していますが、将来的に完全プロ化を目標としているのが特徴。
公益社団法人SVリーグが主催しており、SVリーグの「S」は、Strong(強く)、Spread(広く)、Society(社会)の3つの理念を意味します。
男子のリーグ名は「大同生命SV.LEAGUE MEN」、女子リーグ名は「大同生命SV.LEAGUE WOMEN」です。
SVリーグは「世界最高峰のリーグを目指す」をコンセプトに掲げており、プロリーグ化を見据えた運営体制となっています。
また、演出や空間づくりを強化し、スポーツエンタメとして進化している最中です。
SVリーグ創設の背景
2023年、当時のVリーグ(V.LEAGUE)を発展させた新リーグの結成が正式発表されました。
同年4月、新1部リーグをSVリーグ(SV.LEAGUE)、新2部リーグをVリーグ(V.LEAGUE)とすることが発表されました。
SVリーグ誕生の背景には、次のような課題意識があります。
- 日本代表がより飛躍するためには国内の競技レベル強化が必要
- 選手・クラブの待遇や育成環境を改善する必要があった
- 既存リーグでは興行価値に限界があった
これらを改善し、世界基準のリーグを作るために誕生したのがSVリーグです。
日本のバレーボール界を次のステージへ引き上げる目的があります。
SVリーグに所属するチーム
SVリーグの所属チームは、国内トップクラスの企業チームや地域クラブが中心です。
2025年12月時点で男子10チーム、女子14チームが所属しています。
| 男子 | 女子 |
| ヴォレアス北海道 東京グレートベアーズ VC長野トライデンツ 東レアローズ静岡 ジェイテクトSTINGS愛知 ウルフドッグス名古屋 大阪ブルテオン サントリーサンバーズ大阪 日本製鉄堺ブレイザーズ 広島サンダーズ | アランマーレ山形 デンソーエアリービーズ Astemoリヴァーレ茨城 群馬グリーンウイングス 埼玉上尾メディックス NECレッドロケッツ川崎 KUROBEアクアフェアリーズ PFUブルーキャッツ石川かほく クインシーズ刈谷 東レアローズ滋賀 大阪マーヴェラス ヴィクトリーナ姫路 岡山シーガルズ SAGA久光スプリングス |
選手契約や待遇の仕組み
SVリーグでは、企業の社員として働きながらプレーするセミプロ選手のほか、選手として雇用契約を結んでいるプロ選手も在籍しています。
プロ選手の定義は、「バレーボールの活動による対価(出場給、勝利給等)を得ている選手」です。
SVリーグは、プロ化への移行を前提に創設されています。
2026-27シーズンからは、「チームメンバーの過半数がプロ契約選手であること」が参加要件になるなど、本格的なプロ化へ移行するために基準が策定されました。
そのため、プロ契約を前提とした報酬体系、専属スタッフ・医療体制の整備、年間通じた強化プログラムなど、選手の競技人生を長期的に支える仕組みが強化されています。
SVリーグの観戦の魅力
SVリーグには国内外のトップレベルの選手が集結し、高いレベルの熱戦が繰り広げられます。
競技性のみでなく、試合の演出があるなどエンターテインメント性も近年高まっているのが特徴です。
また、SVリーグは「J SPORTS バレーボールパック」などで配信されており、どこからでも手軽に観戦できるのも魅力と言えます。
Vリーグとは?

つづいては、SVリーグの下位大会にあたるVリーグについて解説します。
リーグの概要
Vリーグは、1994年に創設された、かつての国内トップリーグの総称です。
Vリーグは長年日本のバレーボール界を支えてきました。その後、SVリーグの設立を機に、トップリーグであるSVリーグと、2部リーグであるVリーグに分けられました。
Vリーグの主催は、一般社団法人ジャパンバレーボールリーグです。V2やV3など複数カテゴリで構成されており、選手育成の基盤となっています。
「全国にバレーボール文化を広げる」という重要なミッションを持つリーグです。
Vリーグ創設の背景
Vリーグは、長く国内トップリーグとして機能してきました。
しかし、2024年の再編成にともない、国内2部リーグとして生まれ変わりました。
現在は、バレーボールの普及や育成の役割へとシフトしています。
Vリーグに所属するチーム
Vリーグは、少人数運営のクラブや地域の体育館で試合を行うチームもあり、ファンと選手の距離が近いのが魅力です。
2025年12月時点で男子18チーム、女子12チームが所属しています。
| 男子 | 女子 |
| 北海道イエロースターズ つくばユナイテッドSun GAIA レーヴィス栃木 埼玉アザレア 千葉ドット TM東京スパークル 東京ヴェルディ 富士通カワサキレッドスピリッツ 長野GaRons トヨタサンホークス愛知 アイシンティルマーレ碧南 大同特殊鋼知多レッドスター ヴィアティン三重 近畿クラブスフィーダ クボタスピアーズ大阪 きんでんトリニティーブリッツ 奈良ドリーマーズ フラーゴラッド鹿児島 | アルテミス北海道 リガーレ仙台 東京サンビームズ 信州ブリリアントアリーズ JAぎふリオレーナ ブレス浜松 ヴィアティン三重 倉敷アブレイズ 広島オイラーズ カノアラウレアーズ福岡 福岡ギラソール フォレストリーヴズ熊本 |
選手契約や待遇の仕組み
SVリーグと比べると契約形態は多様で、社会人として働きながらプレーする選手も少なくありません。
Vリーグでは、多くのチームが企業の実業団として運営されているのが現状です。
企業の社員として働きながらバレーボールをするセミプロの選手のほか、選手としてチームと年単位の雇用契約を結びアスリートとして生計を立てているプロの選手も在籍しているなど、多様な選手が活躍しています。
Vリーグ観戦の魅力
Vリーグは、将来的にSVリーグを目指すチームや選手を中心に構成されています。普及や育成を担いながら、結果としてSVリーグを目指すチームや選手も多く在籍しているのが特徴です。
そのため、今後のリーグの発展や新たなスター選手の誕生が期待できます。
小規模の体育館などで開催されることが多く、アットホームな雰囲気で開催されており、チケットが取りやすい、比較的安いのも嬉しいポイントです。
また、選手との距離が近いため観戦のさいに声を掛けやすいというメリットもあります。
現行SVリーグは2025限りで終了
ジャパンバレーボールリーグは、2025年12月17日、Vリーグの運営を2025-26シーズンを最後に終了することを発表しました。
合わせて、2026-27シーズンより、SVリーグの2部リーグとして「SVリーグ・グロース」を発足することを決定。Vリーグチームの多くはSVリーグ・グロースに移されることになります。
「アマチュア活動主体のチームや、SVリーグ・グロースを目指すには力が足りないチームに関しては、日本バレーボール協会が試合環境を整備していく」との情報もありました。今後アマチュア志向のチームが参加する新リーグが作られる可能性は高いと言えるでしょう。
SVリーグとVリーグ、どちらを見るべき? 目的別に比較

SVリーグとVリーグは、同じ国内リーグでありながら異なる特徴を持ちます。
そのため、「どちらを観に行くべきか」と迷う方は少なくありません。ここでは、目的別にSVリーグとVリーグのどちらを見るべきかを解説します。
迫力・エンタメ重視ならSVリーグ
「とにかく迫力のある試合を見たい」「イベントとして楽しみたい」という方にはSVリーグが向いています。
SVリーグでは、世界トップレベルの高さ・パワー・スピードを体感できます。
また、国内大会としては異例とも言える演出力の高さも魅力です。
大型アリーナを中心に開催され、入場演出・選手紹介のライティング・音響・ビジョン演出などが盛り込まれます。
地域密着・応援しやすさ重視ならVリーグ
「地元のチームを応援したい」「アットホームな雰囲気が好き」という方にはVリーグが向いています。
Vリーグは複数のカテゴリがあり、地域のクラブチームが多数所属しています。
開催会場は地元の体育館が多く、観客と選手の距離が近いのが最大の魅力です。
「応援しているチームが自分たちと同じ地域に根付いている」という一体感を感じやすいはず。
若手選手の発掘をしたい場合はVリーグ
「未来の日本代表を一足先に見てみたい」「若手選手の発掘をしたい」という方にはVリーグが向いています。
Vリーグは、若手選手の登竜門といわれる舞台です。
数年後にSVリーグへ移籍し、国際大会で活躍するであろう選手も多く在籍しています。
若手選手はプレーの成長速度が早く、観戦していて楽しいと感じるファンも多いのが特徴。
大型ルーキーの成長物語を間近で見られるのは、Vリーグ観戦ならではです。
国内リーグを知るとバレーボール観戦がもっと楽しくなる
SVリーグとVリーグでは役割が異なり、それぞれ違った楽しみ方があります。
日本バレーボール界は、リーグ改革で新しい時代に突入しました。
ぜひ両リーグをチェックし、自分だけの推しチームや推し選手を見つけてみてください。
バレーボール観戦の楽しさが何倍にも広がるはずです。
ENSPORTS fanでは、バレー観戦をたくさんの方々に楽しんでいただくために、観戦マナーや観戦初心者のためのルール解説記事なども公開中。そちらもぜひチェックしてみてください。