「日本で一番強いクラブチームはどこか」と問われたとき、答えを導く鍵となるのが”三大タイトル”です。それぞれの大会が異なる意義や歴史を持ち、多くのサッカーファンから注目されています。本記事では、日本サッカーにおける三大タイトルについてくわしく解説します。

日本サッカー三大タイトル獲得はクラブの大きな目標のひとつ

タイトル名開催時期試合形式
J1 リーグ2月〜12月ごろ(年間通して)ホーム&アウェイ方式
天皇杯春にスタート、決勝は12月か1月トーナメント方式
ルヴァンカップ春にスタート、決勝は11月頃トーナメント方式
(途中までグループステージあり)

日本サッカーには”三大タイトル”と呼ばれているのは「J1リーグ」「天皇杯」「ルヴァンカップ(Jリーグカップ)」です。

大会規模や形式は異なりますが、いずれのタイトルも日本のクラブチームにとって特別なものです。

いずれのタイトルも簡単には獲得できないため、各クラブチームは全力で挑みます。

ファンにとってもタイトル獲得は大きな目標であり、シーズン終盤やクラブが勝ち進むにつれて応援にも熱が入ります。

J1リーグ|日本最高峰のリーグ戦

日本サッカーにおける三大タイトルでもっとも知名度が高いのは、J1リーグでしょう。

J1リーグは、1年をかけて行う「長期戦」。勝ち点を積み上げて順位を競うため、いわばクラブチームにとって総合力が試される舞台です。

まずは、J1リーグの概要や歴史を解説します。

J1リーグの概要

J1リーグは、日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)の1部リーグです。

公益財団法人日本サッカー協会(JFA)傘下の公益社団法人日本プロサッカーリーグが主催しています。

シーズンは2025年シーズンまでは毎年2月頃に開幕し、12月頃に閉幕する「春秋制」を採用。2026年シーズンからは、8月第1週から始まり2027年5月最終週に閉幕する「秋春制」へ移行します。

全20クラブによるホーム&アウェイ2回戦総当たりを行い、勝利は勝ち点3、引き分けは勝ち点1、負けは勝ち点0が与えられます。

シーズン終了時に最も勝ち点の多いクラブが王者です。上位3クラブにはAFCチャンピオンズリーグエリートの本戦出場権が与えられ、下位3クラブはJ2に自動降格します。

三大タイトルの中ではルヴァンカップの後、天皇杯の前にタイトルが決まります。

J1リーグの歴史

Jリーグの前身は、1965年から1992年まで存在した日本サッカーリーグ(JSL)です。

Jリーグは、1993年に10クラブでスタートし、当初は1部リーグのみで開催されていました。

1999年からは「Jリーグ ディビジョン1」と「Jリーグ ディビジョン2」による2部制に移行。

さらに、2014年にはJ3リーグJ3が創設され3部制に移行されました。

J1リーグの歴代王者

J1リーグの歴代王者(過去10年間)は次のとおりです。

年度優勝クラブ
2015サンフレッチェ広島
2016鹿島アントラーズ
2017川崎フロンターレ
2018川崎フロンターレ
2019横浜F・マリノス
2020川崎フロンターレ
2021川崎フロンターレ
2022横浜F・マリノス
2023ヴィッセル神戸
2024ヴィッセル神戸

J1リーグの歴代優勝クラブには、鹿島アントラーズ、川崎フロンターレ、横浜F・マリノスなどが名を連ねています。

日本を代表するクラブが毎年のように激戦を繰り広げており、特に激しい優勝争いは見逃せません。

天皇杯|日本サッカー界で最も伝統ある選手権大会

天皇杯は1921年に創設された、日本サッカー界で最も伝統ある選手権大会。全国のチームが一発勝負で戦います。

天皇杯はアマチュアも出場できるため、真の「日本一決定戦」とも言えるでしょう。

ここでは、天皇杯の概要や歴史を解説します。

天皇杯の概要

天皇杯は1921年に開始されたサッカーの日本選手権大会で、正式名称は「天皇杯 JFA 全日本サッカー選手権大会」です。

Jリーグやルヴァンカップとは異なり、公益財団法人 日本サッカー協会が主催しています。

もう1つの大きな特徴は、都道府県トーナメントを勝ち上がったアマチュアにまで参加資格がある点です。

プロチームとアマチュアチームが同じ舞台でタイトルを争う公式戦として、多くのサッカーファンから注目を集めます。

天皇杯の歴史

天皇杯の歴史は100年を超え、Jリーグ発足以前から続く「サッカー日本一決定戦」として、多くのドラマと伝統を生んできました。

第1回大会は、1921年に「ア式蹴球全國優勝競技會」の大会名で開催され、同年には日本サッカー協会の前身である大日本蹴球協會が創設されています。

第31回(1951年)からは大会名を「天皇杯全日本サッカー選手権大会」と変更し現在へと至ります。

第93回(2013年)までは、元日に国立霞ヶ丘競技場陸上競技場で決勝戦が開催されていました。

お正月の風物詩」として愛されていた天皇杯ですが、近年は国際大会の日程との兼ね合いで元日以外の開催が続いています。

天皇杯の歴代王者

天皇杯の歴代王者(過去10年間)は次のとおりです。

年度優勝クラブ
2015ガンバ大阪
2016鹿島アントラーズ
2017セレッソ大阪
2018浦和レッズ
2019ヴィッセル神戸
2020川崎フロンターレ
2021浦和レッズ
2022ヴァンフォーレ甲府
2023川崎フロンターレ
2024ヴィッセル神戸

天皇杯の優勝チームには、AFCチャンピオンズリーグ2への出場権が与えられます。

J1リーグに所属するクラブが優勝するケースが多いものの、まれに番狂わせが起こるのが天皇杯の魅力です。

 ルヴァンカップ|若手起用を推進しているカップ戦

ルヴァンカップは、若手起用を推進しているカップ戦で、別名「Jリーグカップ」とも呼ばれているタイトル。

主にJ1チームが参加し、サッカーファンには若手選手の活躍の場所としても有名です。

ここでは、ルヴァンカップの概要や歴史を解説します。

ルヴァンカップの概要

ルヴァンカップはJリーグに加盟するクラブが参加するカップ戦で、正式名称は「JリーグYBCルヴァンカップ」です。

ルヴァンカップは、1stラウンド、プレーオフラウンド、プライムラウンドの3つのラウンドで構成されています。

出場資格や試合形式はその年によって異なりますが、2024年大会からは全てのJ1・J2・J3所属クラブに出場資格が与えられます。

特筆すべきはリーグ戦と並行して開催されるため、若手選手が積極的に起用されている点です。

最も活躍した21歳以下の選手に贈られる「ニューヒーロー賞」があり、若手選手の登竜門となっています。

ルヴァンカップの歴史

ルヴァンカップは、1992年に社団法人日本プロサッカーリーグの主催でスタートしました。

第1回大会よりヤマザキビスケット(旧・ヤマザキナビスコ)が冠スポンサーとなっており、2016年のグループステージまでは「Jリーグヤマザキナビスコカップ」の大会名称が用いられていました。

決勝戦の開催スタジアムは長らく国立霞ヶ丘競技場陸上競技場でしたが、その後は何度か会場を変え、2022年からは国立競技場で開催されています。

ルヴァンカップの歴代王者

ルヴァンカップの歴代王者(過去10年間)は次のとおりです。

年度優勝クラブ
2015鹿島アントラーズ
2016浦和レッズ
2017セレッソ大阪
2018湘南ベルマーレ
2019川崎フロンターレ
2020FC東京
2021名古屋グランパス
2022サンフレッチェ広島
2023アビスパ福岡
2024名古屋グランパス

日本サッカー三大タイトルに関してよくある質問

Q1.三大タイトルの重要度は?

A.日本サッカーにおける三大タイトルの重要度は、J1リーグ>天皇杯>ルヴァンカップです。

最重要タイトルはJ1リーグで、優勝したクラブにはその年の”日本一のクラブチーム”の称号が与えられます。

ほかにもJ1リーグが重要視される理由として、賞金額が多い、AFCチャンピオンズリーグエリート出場枠が多いなどが挙げられます。

天皇杯とルヴァンカップと賞金はほぼ同額ですが、天皇杯の優勝チームにはAFCチャンピオンズリーグエリートの出場権が与えられます。

上記の理由から、ルヴァンカップよりも天皇杯のほうが重要視されます。

Q2.三冠達成クラブは存在する?

A.同年に三冠を達成したクラブは、鹿島アントラーズ (2000年)とガンバ大阪 (2014年)の2クラブのみです。

Jリーグの歴史のなかで三冠を達成したのはたった2チームですから、三冠達成がいかに難しいかは容易に想像がつくのではないでしょうか。

三冠は「国内完全制覇」ともいわれ、クラブの歴史に金字塔を打ち立てる出来事といえます。

Q3.三大タイトルを獲るとアジアや世界大会に出られる?

A.一部の大会で優勝や上位に入ることで、アジアや世界で戦えるチャンスがあります。

翌年のACL(アジアチャンピオンズリーグ)への出場権が得られるのは…

  • J1リーグの上位チーム(通常は1位〜3位)
  • 天皇杯の優勝チーム

FIFAクラブワールドカップへの出場権が得られるのは、ACLの優勝チームです。つまり、三大タイトルを獲得してACLに出場し優勝することで、クラブワールドカップに進出できます。

日本サッカーの三大タイトルに注目しよう

日本サッカーの三大タイトルは、J1リーグ、天皇杯、ルヴァンカップです。

それぞれが異なる意義や魅力を持ち、毎年さまざまなドラマが繰り広げられます。

1年を通してそれぞれの大会を楽しむことで、日本サッカーの多層的な面白さを実感できるはずです。

三大タイトルに注目して日本サッカーをより楽しみましょう。