サッカー観戦を検討する際、フーリガンの存在を気にする方もいらっしゃるはず。ニュースでの暴動を観て、不安を感じているかもしれません。 本記事では、フーリガンについての基礎知識や遭遇したときの対処法をまとめました。 フーリガンにならないためのルールとマナーも紹介するので、サッカー観戦初心者の方はぜひチェックしてください。

フーリガンとは会場内外で暴動を起こす集団のこと

フーリガンの基礎知識をまとめました。意味や由来、サポーターとの違いなど、基礎的な知識を紹介します。

 フーリガンの意味

フーリガンとは、サッカー会場の会場内外で暴力的な言動・行動をおこなう集団のこと

「ごろつき」「不良」「暴れ者」といった意味があり、1960年代にイギリスのサッカーファンの暴動が問題になったことで使われるようになりました。

フーリガンの目的は、チームの応援ではなく暴力行為や喧嘩であるとの考え方が一般的。あらゆる迷惑行為をおこなうため、場合によっては逮捕されることもあります。

 フーリガンの由来

フーリガンの由来は諸説あり、以下の説が有力とされています。

  • 19世紀のロンドンで名を馳せた非道なアイルランド系一家の家名「フーリハン」
  • 19世紀の古い歌に登場するアイルランド系住民の家名
  • 1745年のジャコバイト蜂起の際、ゲール語を聞き間違えてミドリムシへの苛立ちをフーリガンと表現した

その後に「乱暴者」を意味する英語として定着しました。

このような由来を経て、サッカーの試合会場内外で暴力行為や破壊行動をおこなう人たちを「フーリガン」と呼ぶようになったわけです。

 フーリガンとサポーターの違い

サポーターの意味は「支援する人」で、特定のチームを応援するサッカーファンを指します。声援やチャントで応援する、公式グッズを購入するなど、さまざまな形でチームに貢献するのが特徴です。

フーリガンとサポーターの違いは、暴力的な言動・行動の有無にあります。サポーターを自称していても、何らかの迷惑行為をおこなえばフーリガンとみなされるため注意が必要です。

こちらの記事では、サポーターについてまとめてご紹介しています。ぜひこちらも参考になさってください。

日本におけるフーリガンとは

日本におけるフーリガンとは、試合に熱狂するあまり迷惑行為をおこなうサッカーファンのこと。海外と比較すると大変めずらしい存在のため、大規模な事件に発展する心配もほぼないでしょう。

一方で試合後に集団となって騒ぐなど、日本でもフーリガン行為は確認されています。2023年の天皇杯4回戦では、浦和レッズサポーターを名乗る100人あまりの暴徒が暴力行為を働きました。

これによって浦和レッズは、2024年度の天皇杯出場権が剥奪されることに……

一部の熱狂的なファンによる過激なフーリガン行為によって、チームそのものが損害を受けることもあるのです。

海外におけるフーリガンとは

海外におけるフーリガンの被害は、日本より深刻な傾向があります。その歴史や事情を詳しく解説しましょう。

海外のフーリガンの歴史

海外のフーリガンの歴史は1960年代に始まり、1970年代から大きく広がりました。品行方正な労働者の娯楽としてのサッカーのイメージや、イギリス国民文化・権威への反抗が理由とされています。

フーリガン行為のピークは、1970年代後半から1980年代半ば。若者たちによる暴動が多発しました。労働者階級の自治の象徴であった立ち見席は、この頃になるとフーリガンが集まる場所として認識されるようになります。

その後、多くの死傷者を出したヒルズボロの悲劇とヘイゼルの悲劇をきっかけに、フーリガン行為は減少。1980年代半ばから1992年にかけて減っていきました。

しかし完全になくなったわけではなく、現在でもフーリガンによる暴力行為がたびたび問題になっています。

海外のフーリガン事情

多くの国では警備隊が警備にあたるなど、さまざまフーリガン対策が実施されています。その結果、サッカーの観客は増加していますが、犯罪などの逮捕者は激減しているそうです。

スタジアム内ではフーリガンの暴力行為は減った一方、スタジアム外での騒動は現在も発生しています。海外でサッカー観戦の予定がある方は、万が一に備えて対処法を確認しておきましょう。

どのような行動がフーリガン行為に該当するのか

以下のような行動がフーリガン行為に該当します。

  • 観客席で暴れる
  • 敵チームのサポーターや警備員に対して暴行する
  • スタジアム内を意図的に汚す
  • 敵チームの選手やサポーターに対する悪質な罵詈雑言を浴びせる
  • スタジアムや設備を破壊をする
  • 人種や宗教に関する差別的な発言をする
  • フィールドに入り込む
  • フーリガン行為を扇動する
  • 違法駐車や騒音など近隣住民に迷惑をかける行為をする

フーリガンはアルコールを摂取して暴れることが多く、集団となることでより過激化する傾向があります。

また、意図せずフーリガン行為をおこなっているケースもあるため、あらかじめ観戦マナーを把握しておき、それを意識しながら観戦するようにしましょう。

フーリガンに遭遇したときの対処法

スタジアムで暴動が発生したとき、巻き込まれる可能性があります。

被害にあわないために、対処法をチェックしておくと安心です。

スタジアムで暴動が発生したら

スタジアムで暴動が発生することは少なくなりましたが、もし遭遇したときは以下のような行動をとってください。

  • 自分と同伴者の安全を最優先で行動する
  • フーリガンと言葉や視線を交わさない
  • 物が投げられたりロケット花火が使用されたりしたときは伏せて身を守る
  • 安全が確認できたらフーリガンがいる反対方向の出口に向かう
  • 出口に人が殺到している場合は他の出口から出る
  • フーリガンの集団に巻き込まれたら流れに逆らわず一緒に移動する

安全を確認したうえで、同伴者をつれて速やかにスタジアムの外に移動することが重要です。フーリガンを刺激するような言動は、絶対に避けましょう。

スタジアム外で暴動が発生したら

フーリガン行為はスタジアム外で発生することが多いため、対処法を確認しておくと安心です。

  • サポーターであることがわかる物は外す
  • フーリガンの集団がいたら逆の方向に素早く移動する
  • 暴動が起きている場所や警察隊が行動している場所を避ける
  • 車を運転している場合は鍵をかけて周囲の人を怪我させないように慎重に移動する
  • 車で移動できないときは道路脇に停車して群衆からなるべく離れる
  • 車に危害を加えられても反応しない
  • 相手を批判したり武器を持ったりフーリガンを挑発するようなことはしない
  • 攻撃されたときは頭と顔を守る

安全が確認できたあとは、地域を管轄している警察署へ通報します。ケガをした場合は、病院にいって手当を受けてください。

フーリガンにならないためのルールとマナー

迷惑行為をおこなうことで、意図せずにフーリガンになってしまう可能性があります。サッカー観戦のルールとマナーを確認しておきましょう。

持ち込み禁止のものを確認する

Jリーグでは以下のような物は持ち込めません。

  • 花火・爆竹・発煙筒・ガスホーン
  • ビン・缶類(中身は入口で紙コップに移す)
  • 盲導犬・聴導犬以外のペット

その他にも試合の運営・進行を妨害したり、他人の迷惑をかけたりする物はNGです。安全のために持ち物検査が実施されることがあるため、気をつけましょう。

危険な方法で応援しない

座席の上に立ち上がったり、フェンスから身を乗り出したりする応援方法はとても危険です。転倒や設備の破損・損傷を招く可能性があります。

大怪我や現状復旧費用の請求などのリスクがあるため、安全な方法で応援しましょう。他にもスタジアムやエリアごとに禁止されている応援方法があるので、事前に確認しておくと安心です。

入場や退場のときに周囲に迷惑をかけない

周囲に迷惑をかけないように順番を守って入場・退場します。流れに逆らって途中で止まったり、周囲の人を押したりするのはNG。また、再入場の際にはチケットの確認が必要などスタジアムごとにルールがあるため、チェックしておきましょう。

スタジアム周辺で迷惑行為をしない

スタジアムの周辺では、以下のような迷惑行為はNGです。

  • ゴミやタバコのポイ捨て
  • スタジアム周辺や店舗への違法駐車・無断駐車
  • 横断歩道のない場所での無理な横断
  • 集団になり路上で大騒ぎする

近隣住人に迷惑がかかり、応援しているチームの印象を悪くすることにつながります。サッカー観戦が終わったあとは、騒がずに帰宅してください。

フーリガンにならないようにマナーを守ってサッカー観戦を楽しもう!

フーリガンとは、サッカー会場の会場内外で暴力的な言動・行動をとるサッカーファンのこと。日本でも遭遇することは考えられるため、対処法を確認しておくことが重要です。

また、迷惑行為をすることで、サポーターでもフーリガンと認識されることもあります。意図せずフーリガンにならないように、基本的なルールとマナーを把握しておきましょう。