サッカーの監督に関する基礎知識

サッカー監督になる方法やスーツを着用する理由を紹介します。サッカー観戦を楽しむための基礎知識として、チェックしておきましょう。
サッカー監督になるにはライセンスが必要
サッカー監督になるためには、各国のライセンスを取得する必要があります。JFA(日本サッカー協会)ライセンスの制度は、以下の通りです。
公認キッズリーダー | 10歳以下の子どもに指導ができる |
D級コーチ | 主に12歳未満の選手で構成されるチームに指導ができる |
C級コーチ | 主に12歳未満の選手で構成されるチームに指導ができる |
B級コーチ | 主に18歳未満の選手で構成されたチームを指導ができる |
A級コーチU-12/U-15 | U-12とU-15それぞれの指導者として最上位 |
A級コーチジェネラル | サテライトチーム・JFL・なでしこリーグの監督ができる |
A-proコーチ | 女性指導者対象でWEリーグチームの指導ができる |
Proライセンス | Jリーグトップチーム・WEリーグ・日本代表の監督ができる |
ちなみに、海外のライセンスは別にあり、JFAライセンスとUEFA(欧州サッカー連盟)ライセンスとは互換性がありません。AFC(アジアサッカー連盟)とは、互換性があります。
サッカー監督がスーツを着用する理由とは
サッカー監督にスーツ着用を義務付ける規定はありません。それでも着用する監督が多い理由は、サッカー発祥の地イギリスにあります。
- 階級社会において下の階級でないとアピールするため
- パブリックスクールでサッカーを指導していたのが教師だった
そのほかの理由として、オーナーやスポンサーと会う機会が多いため、身だしなみとしてスーツを着用しているケースも。しかしながら、最近では動きやすいラフな格好を選ぶ監督も増えてきています。
サッカー監督の役割とは

サッカー監督はチームにとって非常に重要な存在です。監督の役割はいくつかありますが、中でも重要な3つについてくわしく解説します。
チーム戦術の考案
サッカー監督は、試合に勝利するための戦術を考案します。フォーメーションや守りと攻めの比率など、多くの戦術から適したものを選択するのが大きな役割です。
戦術を踏まえた練習メニューの考案や、先発メンバーの決定などもおこないます。監督の方針やスタイルがチームの特色になり、勝率を大きく左右することは少なくありません。
試合の分析
試合のあと内容を分析して選手にフィードバックするのも、監督の重要な役割です。結果をもとにチームの状況を把握して、チーム戦術を修正します。
そのほかにも、相手チームや最新の戦術トレンドを分析して攻略法を見つけるなど、あらゆる分析をおこないます。
選手への指導・指示
選手たちがパフォーマンスを発揮できるよう、適切に指導します。スピードやテクニック、フィジカル、戦術から課題を見つけ出し、改善することが役割です。モチベーション向上のために、積極的なコミュニケーションも求められます。
試合前や試合中の指示も監督の重要な役割です。監督によるフォーメーション変更や選手交代が、戦況を左右するケースは少なくありません。ハーフタイムに指示を出したり、交代選手をメッセンジャーにして伝えたりすることもあります。
名将と名高いサッカー監督:日本代表編

名将と呼ばれるサッカー日本代表の監督をまとめました。それぞれの経歴や戦術スタイルを紹介します。
森保一
現役時代のポジションはMF(ミッドフィルダー)で、現役時代にはドーハの悲劇を体験しています。2018年から日本代表に就任しています。2022年のワールドカップカタール大会では、日本代表をベスト16に導きました。選手一人ひとりの良さを引き出しつつ、組織力を高める戦術スタイルが特徴的です。
アルベルト・ザッケローニ
イタリア出身で、2010年から2014年まで日本代表の監督を務めました。2011年AFCアジアカップ優勝や、ワールドカップブラジル大会予選の世界最速突破などの結果を残しています。堅守速攻を基本として、柔軟なシステム変更や戦術の調整をおこないました。
岡田武史
元サッカー日本代表のサッカー選手で、現役時代のポジションはDF(ディフェンダー)です。2010年ワールドカップ南アフリカ大会では、自国開催以外初の決勝トーナメント進出を決めています。正確で早いポジショニングや、セットプレーの技術など、日本人のよさを活かした戦術スタイルが特徴です。
イビチャ・オシム
旧ユーゴスラビア代表やギリシャ、オーストリアなど世界各国で指導経験がある監督です。数々の名言はオシム語録として親しまれました。基本の戦術スタイルはトータルフットボールで、日本代表監督時代は日本人のよさである器用さや精神面の協調性を伸ばすことに注力していました。
ジーコ
ブラジル出身のサッカー選手で、現役時代は最も優れたパサーの一人に数えられました。2004年AFCアジアカップでは、日本代表を優勝に導いています。組織よりも個人を優先する、ブラジル式のサッカー戦術が特徴的です。
フィリップ・トルシエ
フランス出身のサッカー監督で、フランスやナイジェリア、カタールなど世界各国で指導歴があります。2002年のワールドカップ日韓大会では、日本代表を初の決勝トーナメント進出に導きました。3人のDFが並んで最終ラインを上げ下げする、フラット3が印象に残っています。
名将と名高いサッカー監督:Jリーグ編

Jリーグには、名将と呼ばれるサッカー監督がたくさんいます。それぞれの戦術スタイルに注目すれば、サッカー観戦がさらに楽しめるはずです。
鬼木達
2017年の監督就任1年目で川崎フロンターレをJ1リーグ優勝させ、さらに初のルヴァンカップ獲得に導いた名将です。現在は鹿島アントラーズの監督に就任。ショートパスを基本とした攻撃的なスタイルを基本に、相手の状況にあわせて柔軟に戦術を使い分けます。
ミハイロ・ペトロヴィッチ
現在Jリーグ登録歴がもっとも長く、サンフレッチェ広島や浦和レッズなどを指導してきました。北海道コンサドーレ札幌の監督に就任後、クラブ史上最高の4位にまで押し上げJリーグ優秀監督賞を受賞。ミシャという愛称で親しまれ、超攻撃的な戦術スタイルを貫いています。
吉田孝行
V・ファーレン長崎やヴィッセル神戸を指導したサッカー監督です。2023年にヴィッセル神戸を初のJ1リーグ優勝に導き、J1優勝監督賞を受賞しています。チームのルールを徹底する、緻密に考えられた戦術スタイルが印象的です。
長谷川健太
清水エスパルスやガンバ大阪、FC東京で指導し、現在は名古屋グランパスで監督をつとめています。ガンバ大阪をJ1優勝に導き、さらにJリーグ日本人監督として初の国内三冠を達成しました。ファストブレイク(速攻)を掲げ、奪ってから早く攻める戦術スタイルを得意としています。
ミゲル・アンヘル・ロティーナ
東京ヴェルディやセレッソ大阪、清水エスパルス、ヴィッセル神戸を率いたサッカー監督です。セレッソ大阪時代は、J1で最も高い平均勝率を記録しています。安定した守備がよい攻撃を生むという哲学をもとにした、組織的な守備重視の戦術スタイルが印象的です。
名将と名高いサッカー監督:海外リーグ編

世界的に有名な、海外リーグのサッカー監督を紹介します。世界最高峰の戦術に、ぜひ注目してください。
シャビ・アロンソ
レアル・ソシエダBやバイエル・レバークーゼンをへて、現在はレアル・マドリードを指揮しています。バイエル・レバークーゼンを、シーズン無敗のままブンデスリーガ初優勝に導きました。革新的かつ攻撃的な戦術スタイルは、多くのファンを魅了しています。
ステファノ・ピオリ
インテルやフィオレンティーナ、ACミランなど多くのクラブを指揮したサッカー監督です。ACミラン時代には、8季ぶりにチャンピオンズリーグ出場権を獲得。戦術家よりモチベーターとしての特徴が強く、士気を高めることでチームを勝利に導きます。
カルロ・アンチェロッティ
バイエルン・ミュンヘンやレアル・マドリードなどを指揮し、現在はブラジル代表の監督に就任しています。レアル・マドリードを、チャンピオンズリーグとラリーガで優勝に導きました。個人の能力を引き出すことに優れていて、重要な局面での大逆転につなげています。
ジャン・ピエロ・ガスペリーニ
パレルモFCやジェノア、アタランタを指揮した名監督です。アタランタをUEFAヨーロッパリーグ制覇に導き、クラブに初の国際タイトルをもたらしました。マンツーマンディフェンスを主体とした戦術スタイルを確立し、結果につなげています。
ペップ・グアルディオラ
バルセロナやバイエルン・ミュンヘン、マンチェスター・シティを指揮した名将です。マンチェスター・シティの監督に就任してから、6度プレミアリーグを制覇しました。常に新しい革新を試み、戦術としてチームの完成度を高めるスタイルがファンを魅了しています。
サッカー観戦は監督の戦術に注目すると楽しい
サッカー監督の役割は、チーム戦術の考案や試合の分析、選手への指導・指示などです。チームや選手に与える影響は大きく、その方針や戦術スタイルは勝敗にも大きく影響します。
名将と呼ばれる監督の戦術スタイルに注目すれば、サッカー観戦がより楽しめるはずです。チームの監督について予習したうえで、スタジアムに足を運んでみてはいかがでしょうか。