サッカーのチャントとは応援歌やコールのこと

サッカーにおけるチャントとは、サポーターがチームや選手を応援するための応援歌やコールのことです。語源や種類、効果など基本的な知識をまとめました。
チャントの語源は?
チャント(chant)は歌うという意味で、9世紀から14世紀にフランス北部中心で使用されていた古フランス語に由来します。日本語だと唱和や詠唱、詠和と訳されることが多いようです。
一定のリズムで打たれる節を繰り返す祈りの様式が、語源とされています。そのためサッカーなどの応援で一定のリズムに乗せて歌う応援歌のことを、チャントと呼ぶわけです。
チャントにはさまざまな種類がある
サッカーの試合観戦では、チームやシーンによって異なるチャントが使用されます。チーム全体の鼓舞や特定選手への称賛、敵チームへの威圧など、使い分けるのが基本です。
日本代表や海外チームはもちろん、高校サッカーでも歌われます。お気に入りのチームを応援するために、代表的なチャントやチーム特有のチャントを覚えておきましょう。
チャントがもたらす効果は?
サポーターが歌うチャントは、スタジアムの雰囲気を大きく左右します。一丸となって歌うことで、一体感や臨場感を生み出せるわけです。
熱心な応援として届けば、選手のモチベーションアップに効果を発揮します。一方で、相手チームや選手へのブーイングとして使うこともあるようです。
日本サッカーでよく使用される定番のチャント

日本サッカーで使用される代表的なチャントの、歌詞をまとめました。意味や原曲とあわせて解説します。
VAMOS! NIPPON
オーーバモニッポン
ニッポン ニッポン バモニッポン
ハイ ハイ ハイハイハイハイ
VAMOS(バモス)はスペイン語で「さあ、行こう!」という意味。つまりバモニッポンは、「さぁ、行こう日本」になります。
原曲はカナダのロックバンドであるメン・ウィズアウト・ハッツの「Pop Goes the World」です。
アイーダ
アイーダに歌詞はないため、すべて「オー」だけで歌います。
1871年初演のオペラアイーダで演奏された「凱旋進行曲」が原曲。
イタリアのACFフィオレンティーナというチームから広まり、日本でも定番になりました。
日本オーレ
ニッポンオオレー ニッポンオオレー ニッポンオオレー オーレ―
オーレはスペイン語で「いいぞ!」「がんばれ!」といった意味です。
シンプルな歌詞なので、すぐに歌えるようになります。原曲はとくにありません。
Go West
オーレ― オオニッポン
オーレ― オオニッポン
オーレ― オオニッポン
オーレ― オオニッポン
アメリカのグループであるヴィレッジ・ピープルの「Go West」が原曲。
原曲のリズムにあわせて同じ歌詞を4回繰り返すだけなので、誰でも簡単に歌えます。
なでしこジャパンを中心に、Jリーグで幅広く歌われているチャントです。
ジェリコ
ララララララララニッポン ニッポン ニッポン
ララララララララニッポン オーオーオーオーオー
2010年の南アフリカワールドカップに向けて作成されました。
原曲は黒人霊歌の「ジェリコの戦い」です。
当時不評だったことから、歌われる機会は少なくなっています。
entertainer(エンターテイナー)
オーオオ オオ オオー オオオ オオオオ オーオー
オーオオ オオ オオー オオオ オオオオ オーオー
オオオオ(ニッポン) オオオオ(ニッポン) オオオオ オーオー
「オー」で構成された歌詞の途中で、「ニッポン」の合いの手を入れます。
原曲はアメリカの作曲家兼ピアニストであるスコット・ジョプリンが作曲した、「The Entertainer」です。
Jリーグで有名な代表的なチャント

Jリーグのチームでは、それぞれ独自のチャントを使用しています。
有名なチャントの歌詞をまとめたので、ぜひチェックしてください。
清水エスパルス「グリコ」
オレ オレ オレオレ (手拍子×2)×7
オレ オレ オレ 清水エスパルス
オレ オレ オレ 清水エスパルス
清水エスパルスのスポンサーである江崎グリコにちなんだ名前がついたチャントです。
同社のCM曲として使われたこともあり、高い知名度があります。
ベガルタ仙台「刃(やいば)」
立ち上がれ 死んでも譲れないものがある
振り向くな 後ろに道はない着き進め
いざ行こう信じたこの道をどこまでも
いざ行こう仙台がある限り
スタジアムで配っている一覧にも記載されているチャントです。
重厚でカッコいい歌詞とメロディが、サポーター達から愛されています。
浦和レッズ「仕掛けろ浦和」
ラーラーラー ララーララララ 俺たちが オオー 浦和レッズ
ラーラーラー ララーララララ さあ行こうぜ オオー浦和レッズ
オーオーオー オオーオオオオ オーオーオー オオーオオオオ
ラーラーラー ララーララララ 仕掛けろ 浦和 オー浦和レッズ
原曲はセルビアのロックバンドGrupa JNAの「U mislima mojim」です。
テンポがよく、盛り上がるチャントになっています。
北海道コンサドーレ札幌「すすきのへ行こう」
すすきのへ行こう すすきのへ行こう
すすきのへ行こう みんなで行こう
勝利したあとサポーターと選手が一緒になって歌います。
アメリカ民謡の「I’ve Been Working on the Railroad」が原曲です。
FC東京「東京ブギウギ」
東京ララララ ラララララララ
ラララララララララララ(わっしょいわっしょい)
ララララララ ララララ ラララララララ
東京ララララ ラララララララ
ラララララララララララ(わっしょいわっしょい!)
ララララララ ララララ ラララララララ(イエーイ)
笠置シヅ子の「東京ブギウギ」が原曲です。
日本人にも馴染みが深い曲なので、すぐに覚えられるのではないでしょうか。
川崎フロンターレ「FRONTALE RABBIT」
かわさき フロンターレ
アレオ オオ アレオー
さあゆけ フロンターレ
アレオ オオ アレオー
原曲はないオリジナルのチャントです。
明るい曲調が歌っていて楽しく、スタジアムを盛り上げるのに適したチャントといえます。
横浜F・マリノス「民衆の歌」
戦う者の歌が聴こえるか 鼓動があのドラムと響き合えば
新たに熱い命が始まる 明日が来た時 そうさ明日が
列に入れよ 我らの味方に 砦の向こうに世界がある
戦え それが自由への道
戦う者の歌が聴こえるか 鼓動があのドラムと響き合えば
新たに熱い命が始まる 明日が来た時 そうさ明日が
戦う者の歌が聴こえるか 鼓動があのドラムと響き合えば
新たに熱い命が始まる 明日が来た時 そうさ明日が
レ・ミゼラブルの「民衆の歌(日本語訳)」が原曲で、歌詞をそのまま使用しています。
帝国劇場ミュージカルとのコラボから始まり、試合前に歌うのが通例です。
ガンバ大阪「もっといったれ」
ガンバ ガンバ もっといったれー
ガンバ ガンバ もっといったれー
ララララ ララララ ララララ ララララー
もっといったれ ララララ ララララー
イタリアの大衆歌謡である「ニクリ・フニクラ」が原曲です。
鬼のパンツのメロディとしても有名なので、誰でもすぐに歌えるようになるのではないでしょうか。
サンフレッチェ広島「広島ナイト」
さあ行こうぜ どこまでも
走りだせ 走りだせ
輝け俺達の誇り 広島 広島
オオオーオー オオオーオー
原曲は、スコットランドのロックバンドであるベイ・シティ・ローラーズの「Saturday Night」です。
チーム定番チャントの一つでよく歌われます。
アビスパ福岡「勝ちたいなら」
勝ちたいなら 気持ち見せろ 俺のアビスパ 突き進め
勝ちたいなら 気持ち見せろ 何処にいても 歌おうぜ
アレアレアレ アレアレアレ アレアレアレアレ アレアレアレ
アレ(Allez)はフランス語で「がんばれ」「行け」といった意味があります。
「イングランドのサッカークラブであるリヴァプールのチャント、「Allez Allez Allez」が原曲です。
サッカーのチャントで知っておきたいマナーと注意点

サッカー観戦を楽しむためには、基本的なマナーを確認しておくことが大事です。
チャントに関するマナーと注意点をまとめたので、ぜひチェックしてください。
チャントが禁止されているケースがある
感染症対策など、チャントが禁止されているケースがあります。
定められたルールに違反すると退場を促される可能性があるので、注意が必要です。
公式サイトでえチャントが禁止されていないか、あらかじめ確認しておきましょう。
鳴り物の使用について確認しておく
応援を盛り上げるために、チャントと一緒に鳴り物を使用するのをよく見かけます。
ただし、鳴り物についてはスタジアムごとに厳格なルールがあるので、注意が必要です。
基本的にブブゼラやホイッスル、拡声器などは禁止。
エリアによっては太鼓など一部の鳴り物が認められているケースもあるので、事前にチェックしておいてください。
海外では差別的なチャントもある
海外では、差別的なチャントが大きな問題になっています。
根付いた文化の影響から意味を考えずに歌われており、なかなか改善されません。
もし海外チームの応援をする機会があるなら、調べておくと安心でしょう。
チャントを覚えておけばサッカー観戦をさらに楽しめる
チャントはサッカーの応援歌で、一体感を生んだり選手のモチベーションをアップしたりする効果があります。
代表的なチャントを歌えるようになれば、応援にもさらに力が入るはずです。
また、チャントは短いものが多いので簡単に歌えるようになるでしょう。
日本サッカー定番のチャントや応援にいくチームのチャントをチェックして、サッカー観戦を楽しんでください。