ボクシングのスパーリングは、ボクサーの技術向上やメンタル強化のために欠かせません。ファンやメディア向けに公開されることもあり、仕上がりやコンディションを確認できます。 本記事では、ボクシングにおけるスパーリングの基礎知識と効果をまとめました。試合・マスボクシング・ライトスパーリングとの違いや観るときのポイントまで、わかりやすく解説します。

ボクシングにおけるスパーリングの基礎知識

ボクシングでは、実戦形式のトレーニングとしてスパーリングが行われます。種類や使用する道具など、基礎知識をまとめました。

スパーリングとは実戦形式の練習のこと

スパーリングとは実戦に近い形式で行う練習のことで、スパーと略されることも。ボクサー同士が向かい合い、試合のような攻防を繰り返します。

体を鍛える基本的な練習と違い、擬似的な対戦で経験を積むことが目的としており、スパーリングの相手のことは、スパーリングパートナーといいます。

スパーリングの種類

スパーリングは大きく分けて、ライト(テクニカル)スパーリングとハードスパーリングに分かれます。

ライト(テクニカル)スパーリング強打を控えて技術や動きの確認をする
ハードスパーリング実戦に近い強度で実戦対応力を高める

ライトスパーリングよりハードスパーリングのほうがより実践的。ライトとハードの両方を含む総称としてまとめて「スパーリング」と呼ばれることが多いです。

ハードスパーリングは体への負担が大きいため、日常的なトレーニングは主にライトスパーリングで行います。

スパーリング時に使用する道具

ボクシングのスパーリングでは、安全管理のため防具の装着が必要です。日本ボクシングコミッション(JBC)では、通常の試合のグローブを8オンス(227g)~10オンス(283.5g)と規定しています。

オンスとはグローブの重さを表す単位で、数字が大きいほどクッション性が高くなります。

スパーリングでは、厚さのある14オンス(396.8g)のグローブを装着してダメージを軽減。頭部を守るためのヘッドギアを装着し、さらにボディを保護するプロテクターを使用することもあります。

スパーリングが安全に行われるための仕組み

ボクシングのスパーリングでは、練習生・選手の安全が最優先です。「勝ち負け」ではなく「成長」が目的なので、スパーリングではプロボクサーも無茶をしません。

怪我や体調不良の兆候が見られた場合は、トレーナーや選手自身の判断で中止されます。相手との掛け合いで強度を調整するなど、スパーリングパートナーとのコミュニケーションも大切です。

公開スパーリングとは

公開スパーリングとは、興行の一環として行われるスパーリングのことです。ファンに向けて、会場や映像の配信で公開します。

日本ボクシングコミッションでは、公開スパーリングは6ラウンド以内と規定をもうけています。注目度が高いビッグマッチの前は行われる可能性が高いので、アリーナで観戦する前にチェックしておくのもいいかもしれません。

スパーリングがもたらす3つの効果

では、スパーリングはボクサーにどのような効果をもらたすのでしょうか。

ボクサーの成長につながる3つの要素についてご紹介します。

1.実戦に近い状況で技術を試せる

実戦形式で行うスパーリングでは、パンチの軌道・スピードや相手との距離感を肌で感じられます。ミット打ちやサンドバッグなど基礎練習だけでは得られない、実践的な経験を積めることが魅力です。

タイミングや間合いの感覚を身につけることで、予測能力や回避能力が向上。さまざまな相手とスパーリングを重ねて戦術の幅が広がれば、勝利への近道となります。

2.メンタルの強化

実戦形式でスパーリングパートナーと打ち合うことで、プレッシャーや恐怖を体感。実践的な経験が自信につながり、試合への心構えができます。

とくに格上とのスパーリングは効果的です。揺るがないメンタルを作ることで、緊張時にも冷静に判断する能力が養われます。試合当日にも冷静かつクレバーに戦えるわけです。

3.弱点の発見・修正

スパーリングで実際に打ち合うことで、客観的な視点から技術のチェックが可能です。動画で動きを確認したり、トレーナーから指摘されたりすることで、クセや弱点を見つけます。

発覚した問題点をもとに、フォームやフットワークを修正。弱点を一つずつ解消して技術を高めることで、試合で勝てるボクサーへと成長します。

試合・マスボクシング・ライトスパーリングの違い

種類強度目的観戦ポイント
試合非常に高い勝敗総合力
ハードスパーリング高い実戦対応仕上がり
ライトスパーリング技術確認戦術
マスボクシング技術練習駆け引き

ボクシングにはスパーリング以外にも複数の練習形式があり、それぞれ目的や強度が異なります。

この章では強度順で試合とスパーリング、マスボクシングの違いをわかりやすくご紹介します。

試合(本番)

 試合は勝敗をつけるため、スパーリングは技術向上のために行われます。

スパーリングはあくまで練習なので適切な強度で行い、安全性が最優先。試合と違って勝敗をつける必要がなく、審判とジャッジもいません。

ハードスパーリング

ハードスパーリングは、試合に近い強度で行う実戦的な練習。強度は高いものの、勝敗を目的とせず安全管理のもとで行われます。
観戦すると、ボクサーの仕上がりや実戦対応力がよくわかります。

ライトスパーリング

ライトスパーリングはスパーリングの一種で、パンチを軽く当てながら行う練習方法です。スパーリングとマスボクシングの中間に位置づけられます。

ダメージを与えないように力をセーブしつつ、動きやコンビネーション(パンチの組み合わせ)をチェック。安全性を保ちながら実践感覚を磨き、技術の確認やフォーム修正を行います。

マスボクシング(マススパーリング)

マスボクシング(マススパーリング)とは、パンチを当てずに攻防を行う練習方法です。寸止めするのでダメージが入りにくく、安全性を確保できます。

マスボクシングの目的は、駆け引きやタイミング、適切な距離感を養うことです。相手を読む力やペースをコントロールする力を磨けるため、初心者からプロまで幅広く取り入れられています。

スパーリングを観るときのポイント

公開スパーリングは、試合とまた違った楽しみ方ができます。より深い視点でスパーリングを見るための、ポイントをまとめました。

ボクサーの仕上がりをチェックする

公開スパーリングから、試合前の調整状況をチェックしましょう。動きのキレやパンチのスピードから、コンディションが推察できます。

また、試合の予習としてもおすすめです。両ボクサーの公開スパーリングを観ることで、期待が高まります。それぞれの仕上がり具合から勝敗を予想するのも、楽しみ方の一つです。

スパーリングパートナーをチェック

スパーリングパートナーは、同格もしくは格上のボクサーから選ばれます。ビッグマッチ前の公開スパーリングでは、知名度の高いボクサーが務めることは少なくありません。

階級が異なるボクサーなど、試合では観られない組み合わせを楽しめることも。スパーリングパートナーの実績やスタイルを調べておけば、スパーリング観戦がさらに面白くなります。

戦術やスタイルを確認する

スパーリングは実戦形式の練習なので、戦術や駆け引きは本番さながらです。試合を観戦する前の予習として、攻撃やディフェンスなどに注目しましょう。

アウトボクサーやインファイターなど、スタイルの違いをチェック。スパーリングでボクサーの個性を理解しておけば、試合をより深い視点から観戦できます。

ミット打ちやインタビューにも注目する

公開スパーリングでは、ウォームアップやミット打ち、インタビューがあわせて公開されることがあります。ミット打ちのパンチ音や素早い手の動きをチェックしましょう。

試合前のインタビューでは、ボクサーの試合にかける意気込みや対戦相手への思いなどが語られます。バックボーンを把握することで、試合の解像度があがります。

ボクシングのスパーリングにおけるよくある質問

ボクシングのスパーリングについて、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。よくある質問とその回答を紹介するので、疑問解消に役立ててください。

Q1.スパーリング中は本気で殴っていますか?

スパーリングでは安全性が重視されるので、試合ほどの強打を打ち合うことはなく、安全性を意識した強度で行われます。

スパーリングパートナーに怪我をさせない範囲で、実践的なパンチを打つのが基本。相手を倒すことが目的でないため、スパーリングパートナーへの配慮が求められます。

Q2.スパーリングで怪我をすることはありますか?

スパーリングでは厚いグローブやヘッドギアを装着しているので、試合より怪我をするリスクは低くなります。

ただし、実戦形式で行う以上、完全に怪我を避けることはできません。体調管理やトレーナーによる監督、適切な強度設定が求められます。

Q3.公開スパーリングはいつ行われますか?

ボクシングの世界タイトルマッチの場合、試合の1〜2週間ほど前に公開スパーリングを行うのが一般的。試合前の仕上がりやコンディションを、ファンやメディアに示すことを目的としています。

ただし、公開スパーリングのタイミングには、明確な基準はありません。観戦したい試合の前に、ニュースやジムの公式サイト・SNSをこまめにチェックすることが大切です。

Q4.スパーリング大会とはなんですか?

スパーリング大会とは、ボクサーが集まって行うスパーリングのイベントです。おもにボクシングジムが主催し、集まったボクサー同士でスパーリングを行います。

初心者向けだったり、プロ・アマ問わなかったりと、対象となるボクサーは大会によってさまざま。30歳以上のボクサー限定の「ザ・おやじファイト」が有名です。

公開スパーリングを観戦して試合に備えよう

ボクシングにおけるスパーリングとは、技術・戦術・メンタルを鍛えるための実践的な練習です。試合前にスパーリングが公開されれば、ボクサーの仕上がりやコンディションを確認できます。

基礎知識を押さえておけば、スパーリングはさらに面白くなります。本番さながらの駆け引きや技術の応酬が楽しめるので、試合観戦の予習としてもおすすめです。

そのほか、ENSPORTS fanではボクシング観戦初心者にむけて基本ルール試合時間を解説した記事も公開中。ぜひそちらも試合観戦前にチェックしてみてください。