バスケットボールのディフェンスとは?

「ディフェンスとは何?」「オフェンスとの違いは?」などの疑問を抱えている方もいるはずです。はじめに、バスケットボールのディフェンスの基本情報を解説します。
ディフェンスの意味
まず、ディフェンス(defence)の言葉の意味は、守り、守備、防御、防衛など。
バスケットボールにおける「ディフェンス」は、相手チームの攻撃(オフェンス)を防ぐ行動全般を指します。
得点を狙うのがオフェンスであるのに対し、ディフェンスは得点を許さないための戦術です。単にボールを奪うことだけではなく、相手にプレッシャーを与えて低確率のシュートに追い込む、またはターンオーバーを誘発することを目的としています。
ディフェンスは得点シーンほどの派手さはありませんが、ディフェンスこそ勝敗を大きく左右します。
ディフェンスの役割
ディフェンスの最大の役割は、当然ながら相手を止めることではありません。
- シュートを打たせない
- 打たれても確率の低いシュートに追い込む
- ボールを奪う(スティール)
- シュートを防ぐ(ブロック)
といった複数の目的があります。
つまり守りながら試合の流れをつかむことがディフェンスの真の役割なのです。
守備で相手のチャンスを封じ込めることで、味方にリズムをもたらし、速攻(ファストブレイク)のチャンスを生み出すこともできます。
また、試合の流れを変えるきっかけにもなるため、ディフェンスはチームの土台ともいえるでしょう。
ディフェンスとオフェンスの違い
オフェンスは「攻め」、ディフェンスは「守り」とよく言われます。
オフェンスは自らの得点を狙う能動的なプレーであり、ディフェンスは相手の得点を阻止する受動的なプレーです。
実際は攻守の切り替えが瞬間的に行われるため、ディフェンスは単なる「守り」ではなく、次の攻撃への布石ともなります。
ディフェンスで相手を止め、速攻(ファストブレイク)につなげるシーンは観戦の醍醐味のひとつともいえるでしょう。
また、オフェンスは個人技や創造性を発揮しやすいのに対し、ディフェンスはチーム連携や読みの力がより重要視されるのも特徴です。
バスケットボールのディフェンスの種類

バスケットボールのディフェンスにはさまざまな動き方がありますが、今回は基本となる3つのパターンを紹介します。
マンツーマンディフェンス
マンツーマンディフェンスは、選手がそれぞれ相手の特定の1人を守る戦術です。
NBAや日本のBリーグでももっとも基本的な守り方とされており、個々の能力が試される戦術でもあります。
一人ひとりの責任範囲が明確で、相手の得意なプレーを封じやすい反面、味方同士のカバーリングが遅れると突破されやすい弱点があります。
マンツーマンディフェンスでは、個々のディフェンス能力が非常に重要です。観戦時には「誰が誰をマークしているのか」を意識すると、試合の見方が一気に広がるでしょう。
ゾーンディフェンス
ゾーンディフェンスは、特定の相手選手ではなく「自分のエリア」を守る戦術です。
たとえば「2-3ゾーン」では2人が外を、3人がゴール付近を固めます。
ゾーンディフェンスには、ペイントエリア(ゴール下)を固めやすく相手のドライブを防ぐ効果があり、外角シュート(スリーポイント)に弱い点がデメリット。
試合でゾーンが使われると、流れが一気に変わることも多いです。
プレスディフェンス
プレスディフェンスは、相手に強いプレッシャーをかけ、ミスを誘発するディフェンス。おもに相手との点差を離したいとき、または点差を縮めたいときに行われます。
カウンターの起点にもなる重要な戦術ですが、チームの連携と高い体力が必要です。
特にフルコートプレスで、相手がボールを持った瞬間から全員で囲みに行く場面は、会場が一気に盛り上がるシーン。初心者でもわかりやすい迫力ある観戦ポイントとなります。
ディフェンス3つの注目ポイント

ディフェンスはシュートやダンクに比べると目立ちにくいものの、試合の勝敗を左右する重要な要素です。
ここでは、ディフェンスの注目ポイントを3つ紹介します。
1.フットワーク
ディフェンスの要は、フットワークです。バスケのディフェンスは「足」で守るとも言われるほどです。
横に素早く動く「スライドステップ」や、ジャンプしてシュートを防ぐ動きなど、常に俊敏なフットワークが求められます。
足をクロスさせずに進む「ショルダーステップ」や足をクロスさせながら移動する「クロスステップ」を使い分け、常に低い姿勢で、重心を安定させることで反応速度を高めます。
観戦時は、選手がどれだけ軽快に動けているかに注目してみましょう。
2.体力とスタミナ
ディフェンスには、体力とスタミナが必要不可欠。
試合時間は40分以上続きます。そのあいだ、攻守が目まぐるしく入れ替わるため、ディフェンスは非常に体力を消耗するのです。
相手の突進を体で止める「チャージング」を狙うためには、強靭な下半身と体幹の筋力、そして40分間動き続けられるスタミナが求められます。
最後まで守り切るチームは、それだけで勝利に近づきます。後半に足が止まるチームはディフェンス力で差が出るので、観戦の見どころのひとつです。
高い集中力と判断力
3.高い集中力と判断力
ディフェンスは一瞬の判断で結果が変わります。シュートに飛びつくか、それともパスを読んでカットに入るか。わずかな判断ミスが失点につながります。
- ディナイ:相手にボールを渡さない
- クローズアウト:外角シュートを打たせない
- スティール:タイミングを見極めてボールを奪う
- ブロックショット:相手のシュートを直接弾き返す
スティールやブロックショットでは、豪快な動きを楽しめるため、観客から大きな歓声が上がることも少なくありません。
とくに試合終盤に守備力が落ちると、そこを突かれて失点するケースが少なくありません。観戦時は終盤の守備強度にも注目しましょう。
バスケ観戦時のディフェンス注目ポイント

ディフェンスの役割や基本的な動きは分かったものの、具体的にどの点に注目すべきか悩む方もいるはずです。
そこでつづいては、バスケットボール観戦時のディフェンス注目ポイントを3つ解説します。
ディフェンスの重要性を理解する
はじめに、ディフェンスの重要性をよく理解しましょう。「守りこそが試合のカギ」と意識するだけで観戦は何倍も面白くなります。強いチームは例外なくディフェンスが堅いのです。
バスケットボールの試合は得点シーンに目を奪われがちですが、実際にはその前にディフェンスが成功しているケースが多くあります。
守備がなければ攻撃のチャンスも生まれないという事実を意識すると、観戦の面白さも倍増するでしょう。
個々の選手がどのように守っているかに注目する
個々の選手がどのように守っているかに注目しましょう。同じディフェンスでも、選手によって守り方や得意なプレーは異なります。
たとえば「背の低いガードが大きな相手をどう止めるのか」や「スピードのある選手に対してどんなステップで対応するのか」など、個々の守備を見ると選手の個性が見えてきます。
相手のドライブに強い選手、スティールを狙うタイミングが巧みな選手など、個性を見つけるのも観戦の楽しみです。
チーム全体のディフェンス連携を見る
バスケの醍醐味は連携です。観戦に慣れて少し余裕が出てきたら、チーム全体のディフェンス連携を見ましょう。
味方が抜かれたら瞬時にカバーするヘルプディフェンス、マークの受け渡し(スイッチ)など、チーム全体が一枚岩となって相手を封じるシーンを観ると、チームの成熟度がわかるでしょう。
うまく連携が取れているチームは失点が少なく、試合運びも安定します。
タイムアウト後にも注目
タイムアウト後には、守備戦術が変化することがあります。
例えばマンツーマンからゾーンに切り替えたり、突然プレスを仕掛けたりするなど、相手のリズムを崩す意図があります。
これらの変化に気づけるようになると、周囲から「バスケ通」と言われるかもしれません。
バスケのディフェンスによくある質問

Q1. ディフェンスで一番ファウルになりやすいのは?
A. 手を使って相手の動きを止める「ハンドチェック」や、体をぶつけて進路をふさぐ動きはファウルになりやすいです。
Q2. オフェンスが有利なのに、なぜディフェンスが重要?
A. どんな強力なオフェンスチームでも、守備でリズムを崩されれば得点力は落ちます。ディフェンスが試合の勝敗を決める場面は非常に多いです。
Q3. 有名なディフェンスの名手は?
A. NBAではドレイモンド・グリーン、ルディ・ゴベア、日本代表では比江島慎や渡邊雄太のディフェンスが有名です。彼らの守備を見るのも観戦の楽しみ方のひとつです。
ディフェンスが分かるとバスケ観戦がもっと楽しくなる
バスケットボールのディフェンスは一見目立たないようで、実は試合の勝敗を左右する最重要要素です。
強いチームほど守備の完成度が高く、相手チームに自由を与えません。
観戦時には得点のみでなく、裏にある守備の駆け引きや戦術の変化にも注目してみましょう。
ディフェンス戦術を理解することで、バスケットボール観戦は何倍も奥深く、刺激的なものになります。
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