アメフトとは
アメフトはフットボールと呼ばれる競技の一種であり、楕円形のボールを使って2チームに分かれて試合をおこないます。
本場アメリカには圧倒的人気を誇るプロリーグ(NFL)や近年メジャーリーグと匹敵する人気を誇るカレッジリーグ(NCAA)があります。日本国内では、社会人チームの王座決定戦であるライスボウルが人気です。
さまざまなファンの方が多い一方で「興味はあるが複雑なルールが覚えられない」「アメフトとラグビーの違いが分からない」という意見もよく耳にするスポーツです。
アメフトの用語
まずはアメフトを理解するために基本的な用語を覚えましょう。
ヤード
主にアメリカやイギリスで使用される長さの単位です。
- 1ヤードは0.914m
- 10ヤードは9.14m
- 50ヤードは45.7m
- 100ヤードは91.4m
エンドゾーン
フィールド両端にある得点エリアです。攻撃側がボールを運び込むと得点になります。
ゴールポスト
フィールド両端に設置された得点装置です。
ダウン
攻撃側がボールを前進させるために与えられるプレーの回数を指します。
ファーストダウン
4回のダウンのうち、最初のダウン(1回目のプレー)を指します。
レシーブ
ボールを捕球する動作です。
アメフトの基本ルール
アメフトは、相手のエンドゾーンへボールを多く運んだ回数を競う陣取りゲームです。
攻撃側は100ヤード先にある相手のエンドゾーンまでボールを運び、得点を狙います。一方守備側は相手の攻撃を防ぐためにボールを奪うか、進行を10ヤード以内に抑えて攻守交代を狙います。
アメフトの出場人数
試合中は各チーム11人ずつがフィールドに出場します。
しかし他のスポーツと異なり、交代は無制限に可能です。基本的に攻撃時には攻撃に特化した選手11人を出場させ、攻守交代のタイミングで守備に特化した選手11人を送り出します。ただし、攻守の両方でプレーする「アイアンマン」と呼ばれる起用法が取られる選手もいます。
アメフトの時間ルール
アメフトは4クォーター制で1クォーターは15分です。つまり1試合の合計試合時間は60分となります。ただし、これは「プレイングタイム」(実際にプレーが行われている時間)であり、プレーが中断している間は時計が停止します。
アメフトで試合時間が停止する状況
- パスが不成功の場合
- ボールがサイドラインの外に出た場合
- タイムアウトが取られた場合
- 反則があった場合
- 得点が入った場合
延長戦・オーバータイム
第4クォーター終了時点で同点の場合は、延長戦が行われます。
NFLでは10分間の延長時間が追加されます。それでも同点の場合はリーグ戦では引き分けとなり、トーナメントでは点数が入るまで試合が続きます。一方NCAAや日本国内では時間制限がなく、点数が入るまで試合が続きます。
アメフトの試合進行
試合開始から終了まで一連の進行を説明します。
試合準備
審判がトスしたコインの表裏を当てたチームが、陣地を取るか開幕キックオフのレシーブを取るかを選びます。陣地を取ったチームがキックオフを行います。
キックオフ
自陣30ヤード地点(エンドゾーンからのヤード数)から相手陣地に向かってボールを蹴り込みます。レシーブした選手(リターナー)が相手にタックルされた地点から、レシーブ側から最初の攻撃を始めます。
第1クォーター
キックオフによってゲームがスタートします。
両チームが慎重に相手の戦術や選手の特徴を探りながら、試合の流れを掴もうとします。
第2クォーター
第1クォーターの終了地点から、攻守が引き継がれて開始されます。
試合で得た情報を元に両チームが戦術を具体化し、激しい攻防が行われます。
ハーフタイム
15分間の休憩となります。
両チームいったん控え室に引き揚げ、戦術の確認や作戦会議を行います。一方フィールドではチアリーダーや大会主催者によるハーフタイムショーが行われます。
第3クォーター
両チームの自陣を互いに交換し第1クォーターでレシーブを選択したチームが、キックオフをして開始します。
この時間帯ではスタミナや選手交代が試合運びの鍵となり、特にリードを広げるか挽回するかでプレイスタイルが大きく変わります。
第4クォーター
第3クォーターの終了地点から、攻守が引き継がれて開始されます。
試合のクライマックスであり、アメフト最大の見どころです。両チームがさまざまな作戦を駆使して攻防を繰り広げ、全力を尽くして勝敗を確定します。
アメフトの攻撃と守備について
攻撃側と守備側の選手が試合中に何をしているのかを説明します。
攻撃側
攻撃側は4回の攻撃機会(ダウン)で、10ヤード以上前進しなければ攻守交代になります。10ヤード進むごとに再び4回のダウンが与えられ、それを繰り返して相手のエンドゾーンを目指します。
具体的なプレーとしては、選手がボールを持ちながら前進するプレー(ラン)やボールを味方がキャッチして前進するプレー(パス)などがあります。
守備側
守備側は4ダウン以内に10ヤードの進行を阻止するか、相手からボールを奪い攻撃を失敗させてターンオーバーを狙います。
具体的なプレーとしては、相手を倒す(タックル)やクォーターバックに突撃する(ブリッツ)などがあります。
アメフトのポジション
アメフトでは攻撃と守備で役割に応じたポジションがあり、チームの戦略に沿って動きます。
クォーターバック(QB)
攻撃の司令塔であり作戦やパスの指揮をする選手です。
ランニングバック(RB)
クォーターバックからボールを受け取り相手エンドゾーンへ前進する選手です。
ワイドレシーバー(WR)
素早くフィールド上を駆け回り、ディフェンスをかわしながらボールを受け取る専門の選手です。
タイトエンド(TE)
レシーバーでありながらブロックする役割をもつ選手です。
オフェンシブライン(OL)
相手が攻め込んでくるのをブロックし、クォーターバックやランニングバックを相手から守る選手です。
ディフェンシブライン(DL)
攻撃ラインの正面に立ち、ランプレーを止める選手です。
ラインバッカー(LB)
守備の司令塔であり相手の動きを察知して攻撃に対応します。フィールド全体をカバーする選手です。
コーナーバック(CB)
主にワイドレシーバーをマークし、パスを防ぐ選手です。
セーフティ(S)
自陣のフィールド上で少し離れた位置に立ち、得点危機を防ぐエンドゾーン最後の選手です。
アメフトの反則ルールについて
試合中に反則を犯すとペナルティが課されます。ペナルティは主に罰退ヤードとして適用され、審判によって後退が指示されます。悪質な反則では、退場や強制敗退もあります。
ディレイ・オブ・ゲーム
- 前の攻撃終了から40秒、または審判の笛から25秒以内に攻撃を開始しない行為です。
- この反則が発生すると5ヤードの罰退となります。
ラフィング・ザ・パッサー
- パスを投げ終えたクォーターバックにタックルや接触をする行為です。
- この反則が発生すると15ヤードの罰退となります。
ホールディング
- 相手選手を掴んで抑える行為です。
- この反則が発生すると10ヤードの罰退となります。
アンネセサリー・ラフネス
- 悪意のある乱暴なプレーをする行為です。
- この反則が発生すると15ヤードの罰退となります。
アメフトの得点の種類
方法や点数について説明をします。
タッチダウン
ボールを相手のエンドゾーンまで運ぶと6点を得られます。
エクストラポイント
タッチダウン後に、追加得点を狙えるルールがあります。選択肢は2つあり、ゴールポストにボールを蹴り込めば1点、再びエンドゾーンにタッチダウンすれば2点を得られます。
フィールドゴール
その場でゴールポストにボールを蹴り込み、ボールがポストの間を通過した場合に3点を得られます。
アメフトとラグビーの違い
アメフトとラグビーには似た部分もありますが、ルールやプレーの進め方には大きな違いがあります。
アメフトとラグビーのルールの違い
ルール | アメフト | ラグビー |
---|---|---|
試合人数 | 11人 | 15人 |
選手交代 | 無制限 | 8人 |
試合時間 | 60分(1クォーター各15分間) | 80分(前後半各40分間) |
前方へパス | 1ダウン1回のみ可能 | 禁止 |
ブロック(タックル) | 全員 | ボールを持った選手以外禁止 |
派手なシーンがアメフトの醍醐味!
アメフトのルールは一見複雑そうに見えますが、基本を押さえれば意外とシンプルなスポーツです。
まずは攻撃のパスやランによる派手なプレー、守備の迫力あるタックルやターンオーバーに注目してみてください。慣れてきたら、戦術やプレーの駆け引きもおすすめです。
ピッチ外ではドラフト会議やハーフタイムショーなど、試合観戦以外の楽しみも豊富です。
自分のペースで少しずつ範囲を広げていけば、アメフトというスポーツをさらに深く味わえるようになります。